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4話 修行

「お疲れではありませんか?」


うさ耳が気遣うように聞いてきた。パパとママとの歓談は終わった。

単に俺が変なことしていないかの訪問だと思ったが、姉の結婚話をしてくるとは思わなかったので、気疲れしてしまった。


パパとママは帰るかと思ったが今日は泊まっていくらしい。

明日は北町の見学もしたいと言っていた。歓楽町も行くのだろう。

若干、気まずいが隠しようがないのでどうにもできない。

歓楽町の収益は男爵家にとっても大きな意味があるので、何か言われたらその線で誤魔化すしかない。


「お湯の支度ができています」


うさ耳が風呂の準備が整っていると教えてくれた。

今日は一日、パパとママと一緒にいたから疲れたので大変ありがたい。


うさ耳の案内で風呂場へと向かう。

城館の風呂場は専用の施設になっている。

北町や砦では鍛冶屋の火を有効活用している。

城館、ついでに言えば実家の城では風呂の為だけに火を使い湯を沸かしている。


元々、王国には湯に浸かる文化がない。

だが、砦や歓楽町での評判が広がり、男爵領ではすっかり当たり前になった。

おかげで城館への設置の時も「作りたい」と言っただけで準備してもらえた。


城館の一階部分を改築し風呂場が作られた。


浴槽は四つある。俺専用の風呂。使用人の男女別風呂。そして来客用の風呂場だ。

いずれもそこまでは大きくないが専用風呂場があるのはちょっと嬉しい。

最初は使用人の風呂場はいらないと言われたが、臭いのは嫌なので作らせた。


風呂場の手前には脱衣所がある。


そこで服を脱いで風呂に入るのだが……問題は、その脱衣所にうさ耳がいることだ。

犬耳と委員長はいない。


犬耳は入浴の準備を担っているので下男たちへの指示で走り回っている。

たまに見かける程度だ。


委員長は逆に風呂の時は一切見ない。

入浴前と後の準備をしてくれているのだ。


うさ耳は俺の世話をするのでこうして脱衣所までついてくる。ただし、風呂場には入ってこない。


風呂場に入ってからは基本的に全部自分で行う。

使用人に体を洗わせることはしない。

てっきり、洗ってくれるのかと思った。


そもそも裸を見せると言うのはマナー的に良くないらしい。でも、体拭くときは見せてるじゃん。と文句を言いたくなるが仕方ない。


清灰で体を洗い、湯船に身を沈める。

熱が皮膚を包み、ようやく頭が空っぽになる。


清灰の品質は錬金術師の長髪眼鏡君の努力もあり、良くなっている。

おかげで体が臭いとかはあまりなくなった。


ただし、シャンプーとリンスがない。

清灰で洗っているのだが、髪がごわごわになるので、ここは要検討だ。

リンスの作り方なんて知らない。清灰に油でも混ぜればいいのだろうか?


湯船に浸かり精神を整える。

この後に待ち受ける試練の為にここで心を穏やかにしなければならないのだ。


ある程度の時間で湯船から上がり脱衣所へと戻る。


「お召し替えの支度はできております」


うさ耳が出迎えてくれた。

その横には湯沸かしなどで走り回っていた犬耳が役目を終え、うさ耳の補佐の為に控えている。


試練の始まりだ。


前提として俺は十四歳だ。今年で十五歳になる。

対するうさ耳は俺の二つ上、十六歳だ。

委員長はその上で十七歳。

犬耳が俺と同じ十五歳となる。


もう、男の子、女の子と呼べる年齢ではない。


この二年で互いに成長もしている。

俺は相変わらずの小太りだが、それなりに体格は良くなってる気がする。子供の体型ではない。


更に言えば、うさ耳は美少女だ。犬耳も可愛いし、委員長は綺麗だ。

俺はそうでもないが、それはどうでもいい。


さて、ここは風呂場だ。


俺は裸だが、うさ耳たちは裸ではない。

だが、熱気がそれなりにあるのと動きやすい格好をする必要があるので必然的に薄着で動きやすい格好になっている。


つまり、体の線をものすごく意識してしまう格好をしているのだ。


”十六歳”の”女性”が”体の線がよくわかる服”を着てたら意識しちゃうでしょーが。

これは俺が悪いのか? いや、俺は悪くない。自然の摂理だ。


だが、俺はそれに逆らう努力をしなければいけない。

なぜか? 一目でわかりやすい部分が反応しちゃうからだよ。


大きく深呼吸をする。要は見なければいいのだ。


「お体をお拭きください」


大きな布を差し出された様なので受け取る。

視線は漠然と前だけを見つめる。

そうなると、どこに布があるのかが曖昧になってしまうので、意図せずうさ耳の手に触れてしまう。別に手ぐらい触れてもなんとも思わないのだが、この状況だと話が変わってくる。


もう一度、大きく深呼吸をする。

俺はやれる。


体を一通り吹き終わると着替えの時間だ。

うさ耳が服を着せてくれる。

これはいつもの事だ。

別に体に触れるとかもないのでどうってことはない。


━━なんか良い匂いがする。


いかん。息を止めろ。

奴は五感で攻めてきている。

触れずに触れるという高等テクニックだ。気配も遮断させるのだ。


「お預かりします!」


犬耳の元気な声にふと犬耳に視線を向けてしまった。

可愛らしい顔とは不釣り合いな体の線が目に飛び込む。


”反応してしまった


健康な体がこれほどまでに憎いと思う日がくるとはな……服は着ていたので大きな問題にならなかったのが不幸中の幸いだ。

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