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妄想の帝国 その113 戦後記念行事・レシ反省大会

作者: 天城冴

再度、悲惨な目にあったニホン国では本当に、絶対、過ちを繰り返さないため戦後記念として新たな行事が…

8月15日。気候変動がようやく収まりつつあるとはいえ、まだ酷暑の続くニホン国。

今日も朝から30度越えの気温の中、戦後記念行事の会場には続々と人が集まってきた。

「ひいいいいい、こ、こんなに人がああ。こんな大勢の人にみ、みられるなんて」

“アー、テレビだけでなく、各種動画サイトにも生中継でつながってますヨー。世界の皆がアナタ方をみてる、うれしいでしょ、承認欲求つよいですよねえ、ネトキョクウさんたちは特に…”

「そ、それを言うなあ。お、おれは改心したんだあああ。ポリエモンだのヒドユキだのの自称カシコイ奴らに騙されたり、アベノ元首相の選挙演説のサクラやったり、サンサン党で他の奴ら煽ったりしたけど、い、今ではフツウに」

“エー、全然普通じゃないですよ、歴史修正主義っていうか、怪しげな説を信じて、またまき散らそうとかしてたじゃないですカー”

「敵国で、ぎゃ、虐殺なんて、そんな人数ころせるわけないじゃないか…、それに餓死なんて…」

“ソノウ、各国の資料からも旧ニホン国のやったことは明らかナンデスヨー。だいたいアナタのひいおじいさんが、女子供も銃剣つきつけて穴に落とした簡単だったって、自慢げに語っていて、心底嫌気がさしたって、おばあさんの日記にもあるんですケドネー。ニホン国の伝統とか言いつつ、ロクに親戚まわりもしなかったんですネー、『お盆はそんな話ばっかりで、酷いことだ、やっちゃだめだって、毎年のようにおばあちゃんたちが言ってたのに、なんで兄貴はろくに知らないで、デマを信じるネトキョクウになったんだろ、きっと手伝いもしないで隅でゲームばっかやってたせいよ、男の子だからって手伝わないとアホになるんだから』って妹さんがいってたのはホントですネ”

「あ、あいつ、兄貴を売るなんて」

“マー、当然のことですよ。あれだけ酷いことになれバ。なにしろサンサン党の核何とか発言で、中ロだけでなく、アメリカから狙われて再占領。ドランプ大統領のせいで滅茶滅茶になったアメリカの立て直しのためにニホン国から技術も、人もなにもかも奪われそうだったんですから、実際だいぶもってかれましたシ。貴方のせいでニホン国はどーしようもない無知、無恥、無教養の人モドキをトップにいただく輩、義務教育受けても理解できないサル以下の国民とか揶揄されたんデスカラ”

「だ、だからって、サンサン党だのメイジの党だのジコウ党だのの関係者とかフツーのニホン人をさらし者にするなんてええ」

“さらし者デハナイデスヨー。後悔を公開してるダケデスヨ。ほら、過ちは二度と繰り返しませんって。ニホン国を破滅に導きかけた政治家やらその支持者たちには、今度こそ、きっちり罰をあたえるべき。原発の廃炉作業強制労働とか、ウィルス人体実験の被検者とか、極刑案もでたんですけどねえ、再独立の時に。それをレイワンだの共産ニッポンの新政府のトップが教育しなおすからーと、反省だけですましてもらえたんデスヨー。下っ端支持者デスカやネトキョクウさんたちは。ジコウ党のハギュウダンさんとか、サンサン党のカミヤンさんとか、エンイリ・ザーヤさんみたいなのがお望みデスカ”

「や、やだ。暴れまくって介護者を軒並みけがをさせて、いく場所のないぼけ老人の世話とか、フクイチで防護服着て重労働とか、そんなんばっかじゃないか。ぼ、ボロボロになっちまう」

“アナタ方のお嫌いな外国人の方がヤッテタコトデスヨー。みんな帰ったか、もっとましな国に行きましたからねえ。罪人にはぴったりですけドオ”

「ざ、罪人って。俺はこ、更生してる、も、もうソウルフードとか、コリアンダーがなにかはわかる!」

“そんな常識がわかるぐらいでドヤ顔をされてもネ。老若男女学びなおしで、低俗娯楽番組を禁止、広告会社大規制してなんとかホモ・サピエンスと認めてもらったんですヨ。ニホン国民の教養の高さをしめすために養生訓とは、ぐらい解説してみてくださいよオ。ニホン国伝統いうなら”

「え、えっと、養命酒とかの…」

“ブッブー、ちょっと難しすぎましたかねえ。では、昔の大臣に華族はいるか、いないか、トカ。味噌は熱々のお湯でとくべきか”

「ちゅ、中国人なんていない!味噌は熱湯だ、それにとくじゃなくていれるんだああ!」

“全部不正解。みそに熱湯って、菌が死んじゃいますよ、まったく味噌ってどうやって作るかも知らないんですネ。やっぱり、まだまだ勉強不足です。今年も反省の意を十二分にしめし、戦後史をじっくり学び、その歪んだ歴史観から何から何までなおして真っ当なニホン人になりましょうネ。さ、反省文を…”

「い、いやだああ、また、反省文をみんなの前で読み上げるのは嫌だああ!明日からまた馬鹿にされるううう」

“ちゃんと学ばないからですヨ。学びなおしをおえて、私らAIではなく、ニンゲンのパートナーみつけた人もいますカラ。ニホン国の女性はどうしようもないのでも立ち直りそうなら相手にしてくれるラシイデスヨ。ま、子育ては我々がやりますケド、またこんなになったら困りますカラネ”

「ま、まなぶって。い、いつまで。あんだけやっても、まだまだなんて。チクショウ、いつまで勉強すればいいんだああ」

“一生ですよ、普通…。あ、実は勉強の仕方、面白さがわからなかったんですネ。わたしとしたことが。常に人生を振り返り、過ちを繰り返さないよう、反省するってことをまずお教えしないトネ。惨事を繰り返さないように。そうすれば来年もこれを繰り返さずにスミマスヨ”

「ううう」

ながーい反省文がかかれた原稿用紙を手にカレは力なく、壇上に上がった。


ニンゲンは、一生学びですねえ。自分が間違ってるかも、まだまだかも、と思いつつ、学習して前より少し賢くなれるといいんですけどねえ。

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