連続放火事件
この住宅火災は、東京の高級住宅街で起こり、4人家族が亡くなった。父親は某総合商社で営業部長を務めるエリート。7歳と11歳の兄妹は有名私立小学校に通い、母親はそこのPTA会長だ。これだけ見れば誰もが羨むほどの超金持ち一家だ。だが、なぜこんな幸せそうな家庭で火災なんかが起こってしまったのか。単なる事故なのか?それとも。。
私がこの火災にこれほど執着するのは、今東京である事件が騒がれているからだ。それは、連続放火殺人事件。
これは一昨年2023年の夏頃から騒がれ始め、連続放火として数えられているのが、計37件。この37件とも東京の高級住宅街で起こり、被害者はどれも小学生などの小さな子供のいる家庭だった。火元は、住宅前のゴミステーションで発火原因はタバコの吸い殻がゴミに引火したことだそうだ。犯人は同一犯と思われ、防犯カメラには犯人の顔は映っておらず、上下黒のジャージに白のスニカー、グレーのキャップを被った人物だ。身長は170前後で男女の区別はついていない。発火原因や火災が起こった場所、防犯カメラに映る人物が同じことから連続放火として今注目されている。
今回の火災が放火なのかは火元や防犯カメラの映像が出ていないことからまだ分からないが、幸せな家庭が狙われているというこの連続放火事件と酷似している。だから、どうしても気になってしょうがない。
「東京かあ〜。遠いなあ〜。あっ。そうだ!お兄ちゃんが東京にいるじゃん!…あっ、でも。。」
ふと東京に住んでいる兄のことが思い浮かんだ。兄は東京の大学に進学するために上京して一人暮らしをしている。兄とはLINE、インスタで繋がってるし、いつでも連絡できる。上京する前はそう思っていたが、最近は連絡しても既読無視ばかり。一体どうなっているんだか。
「お兄ちゃん何してるかな。電話してみよう。」
スクールバックの中からスマートフォンを取り出して、兄に電話をかけてみた。
ーおかけになった電話は電波の届かない場所にあるか、電源が入っていないため、かかりません。
「やっぱり出ないか。ったく連絡くらいしてくれてもいいのに。」
なかなか連絡が取れない兄に嫌気がさすが、大学生は忙しいし、バイトとかもあるだろうから、今日のところは諦めた。
「まあ夜遅いし、また明日かけてみよう。」
今日は珍しく家族以外の人と話したし疲れたから早く寝よう。そう思い、ベッドに寝っ転がった。6畳半の部屋に扇風機だけの音が鳴り響き、まるで眠りにつくよう誘導しているようだった。
私は天井を見ながら、あの時の記憶が甦るような感覚が起こり、いつのまにか、この静かな温もりの中で重たい瞼が潤んだ瞳にそっと蓋をした。