夕陽の中で
コンビニで買い物を終え、そのまま帰ろうとすると、高梨翔が買い物袋の中からアイスを取り出して、私の前に差し出した。
「今日のお礼。コンビニ案内してくれてありがとう。あっちにベンチあったし一緒に食わねえ?」
暑い中アイスが目の前にあると、どうしても欲求に耐えられないものだ。
「ありがとう。食べよう。」この胸の高まりを悟られまいと冷静な表情でそう言った。
「うめえな。暑い中食うアイスは。」
「そうだね」
「ってか景色やばくね?!夕陽が沈むとこ初めて見るんだけど!」
「綺麗でいいよね」
「そうだ。ちょっと持ってて。」
翔がそう言って私に食べかけのアイスを渡すとズボンのポッケからスマホを取り出した。
「写真撮ろうぜ。」
「写真?夕陽撮るの?」
「夕陽をバックに一緒に撮ろうぜ。」
どうして一緒に撮るの。別に特別でもなんでもないのに。年頃のせいか、男子と一緒に撮るなんて恥ずかしくて照れてしまう。
カシャっ。
「えっ撮ったの?」
「うん。美咲変な顔になってるぞ。半目じゃん。」
笑いながら翔は言った。
「えっ!だってハイチーズとか言わないから。消してよ!」
「やだね。俺と美咲の記念すべき初ツーショットなんだから。」
翔はケラケラ笑いながら言った。
今日会ったばっかりなのに私たちはいつの間にか冗談を言い合えるほど打ち解けあっていた。翔の方を見ると夕陽に隠れて彼の顔が少し赤らんでいるのに気づいた。