長崎への帰り道
朝、鳥のさえずりに目が覚め、起き上がると、インターホンが鳴った。
「おはよう。起きてるか?」
翔だった。
「おはよう。今起きた。」
私はあくびまじりの声でそう答え、ドアを開けた。
「朝食もうすぐで終わるけど行くか?」
「朝食?行く!」
今日からお父さんの事件のことを調査するんだから栄養をしっかり摂っておかないと。
「人いっぱいだな。とりあえず席取っとくから、美咲先に飯取ってきていいぞ。」
翔はそう言いながら2人分の席が空いてないか確認しに行った。
朝食はバイキング形式だった。私たちは朝食をとり終えて席に着き、黙々と朝ごはんを食べ始めた。私は洋食、翔は和食。
「また、スパゲッティ食べるのかよ。」
翔は私の取ってきたナポリタンを見て呆れた様子で言ってきた。
「イタリアン好きなんだもん。」
「イタリア人もこんなにスパゲッティ続けて食べないだろ。」
「そんなことないでしょ。日本人だって3食白ごはんってことあるじゃん。」
私たちはそんなたわいのない話で盛り上がり、朝食バイキングを堪能した。
朝食を食べ終え、チェックアウトした後、私たちは東京駅に向かった。長崎に帰るために。
「おみあげ買ったか?」
「買った〜。東京ばなな。」
「新幹線の中で食べ尽くすなよ。」
翔は子供を見て笑うようにそう言ってきた。
「ちょっと。バカにしないでよ。子供じゃないんだから。」
「あははっ」
翔はお腹を抱えながらケラケラ笑っていた。
私たちが乗る新幹線が到着し、早速席に着いた。
「もう長崎帰っちゃうのか〜。もっと東京満喫したかったなあ。」
「そうだな〜」
「それに、事件のこと調べるんだったら東京の方が良くない?東京で起こった事件なんだから。」
「まあ、そうだけど。でも、泊まる金ねえしなあ。またくればいいよ。」
「はあ〜お金欲しいな〜。お兄ちゃん家泊まればよかった。」
「いやいや、怒られるだろ。早く帰れって言ってたんだし。」
「そっか〜。まあネットとかで調べられることは調べて、あと、神崎さんにも情報聞き出せば良いか。」
「そうだな。とりあえずはそういうことで。」
長い新幹線の旅の合間、私たちは出来ることから事件について調べようと思い、とりあえずネットで情報収集することにした。