2人の調査
夕飯を済ませホテルに帰ってきた私たちはそれぞれの部屋に入り、明日の朝、本格的に調査を開始することにした。
ホテルの別々の部屋に入り、一息つこうとベットにダイブしたその瞬間、私のスマホにLINEの着信音が鳴った。兄からだ。
『美咲へ。
今日は辛い思いをさせて悪かった。でも東京まで来てくれてありがとうな。久々に会えて良かったわ。
それにしても、美咲に友達ができて良かったわ。俺がいなくても元気にやってけそうだな。
まあ時間できたら、おじいちゃんおばあちゃんにも会いたいし、長崎帰るわ。
じゃあ、気をつけて帰れよ〜おやすみ〜』
「なによ。今まで全然連絡してこなかったくせに。実は心配してたんだぞ〜みたいな。」
兄からの久々のLINEに嬉しく思いながらも、ちょっとモヤモヤした。
「『おやすみ』っと!」
私はすぐに返信して、お風呂に入った。
今日はとりあえず疲れたし、明日これからのこと考えればいっか。そう思って、ベットに入り、照明を消して眠りにつこうと思った。しかし、どうしても今日起こった出来事が大きすぎて眠れず、目を開いた。
私は天井を見上げながら、事件について調べると言ったはいいものの、どうすればいいかも分からず、この先どんなことが起こるのか不安になり、眠るのが怖くなった。するとベットの脇に置いていたスマホから電話がなった。こんな時間に誰だろうと起き上がり、画面を見ると、翔からだった。
「美咲〜?起きてるか?」
「起きてる。なかなか眠れなくて。」
「そっか。俺も。」
「そうだったんだ。」
「羊数えてたんだけど、今2852匹目なんだよ。」
「何それ。今どき羊数える高校生いる?」
私は翔の意外な一面に衝撃を受け、笑いが止まらなかった。
「笑ったな。バカにするなよな〜」
翔は笑ってそう言うが、どこか嬉しそうだった。
「ありがとう。心配して電話かけてくれたんでしょ。」
「ふふ。そんなんじゃ...」
翔は照れくさそうに誤魔化したが私は翔のそんな優しさに気づいていた。
それから私たちは今日東京で行った場所を、思い返しながらたくさん話した。
「美咲〜?おーい...」
私は電話越しに聞こえる翔の声がどんどん遠くなり、まぶたが下がってきていた。
「美咲おやすみ」
そう、翔の声が聞こえてきた気がしたが、安心しきっていつの間にか眠りについていた。