闇の悪魔の誘い
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「グレイスとフリーデはアンブロゴスの使者ではないんだな?」
「答えられない」
「だが俺は二人が使徒でないことは確信を持ってるんだ。なぜならそもそも今の話は本人から聞いたことがあるから
詳しく話せ
あいつは突然街の真ん中に倒れていた
なにがあったかずっと話すことはなかった
でも結局話したんだ
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そして巨人はあいつのことだ
あいrつ
あの十字架に貼り付けにされていた、アンブロゴスだよ
……
俺はあの話は真実に迫っていると思ったんだ
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だから、その人はそもそも巨人をおって 実際にその巨人を見つけたんじゃないかな。
そして、口先八丁でけむに巻いた
なるほど?
その巨人というのは、アンブロゴスのことじゃないかな
ザラが守っている扉とは何なんだ
転移魔法陣だ
その先に巨人がいるという
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不満か?国防ぐらい貴様だけでやったらどうだ?
クロードはロードランが生んだ宝です
「クロードは神が与えた世界の宝だ。断じてお前の所有物ではない。連れて行くぞ」
彼らは、城に帰って来る。そこでは、晩餐会が開かれている。
そうして、二人は処刑された。このときからだ、サウザーが父を憎むようになったのは。そうしているうちに、かれはいつだったか、祠に隠された闇の力のことを知ったのだった。
機械文明について、なんとかぬ示して置かなければならない
アンブロゴスの祠が、遺跡の中にある。
許嫁に、助けられる
ステラ
私がいないとだめなんだからさ~
かいがいしく世話をする
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地下にたどり着くと、そこには闇の悪魔がいた。彼は語りかけた。
闇の悪魔が口を開いた。すると、苔むした岩石のような歯が、血の気のない薄い紫色の唇の間から覗いた。一体何を食べたら、あのような歯糞がつくのか……悪魔の黒い歯は虫歯に侵された老人の歯のようにやせ細り、不快な凹凸の全てに苔のような緑色の何かが詰まっている。俺は、それが一体何なのだろうと怪訝に思ったが、やがてその正体に気付いた。あれは、実際に苔そのものなのだ。あるいはカビなのかもしれないが……。この悪魔は五千年もの間、暗い闇の中でなにも口にしていないのだ。だから乾いた口の中を苔が満たしていても、もはやなにも感じないのだろう。
「ふ、ふ、ふ。よくぞここに戻って来た、サウザーよ……。一体お前をどれほど待ちわびたことか。いまやアズガルドの王となった男、サウザーよ!いや、むしろお前のことは、むしろこう呼ぶべきかな……」
悪魔は、わざとらいい間をおいた後、再び口を開く。
「これから世界の王となる男、サウザーよ!」
その芝居がかった言葉は、俺をまるでを魅了しなかった。俺は、冷ややかな口調でこう返す。
「世界の王、だと?」
「おうそうとも。貴様は世界を統べるに足る器だ。右手に闇の魔剣を携え、左手に闇の悪魔の手綱を握る。そしてその両足は、世界の全てを踏みつけにする。ふ、ふ、ふ……」
悪魔がくつくつと笑い、その大きな肩を震わせると、彼を縛る大きな鎖が、ごつりごつりと重い音を響かせる。この悪魔を縛る鉄の鎖は、船の錨を結ぶそれよりも、さらに大きく、太い。俺は、左右に視線を走らせ、改めてこの悪魔の大きさを量った。いまこいつは横になっているが、立ち上がれば有に50フィートは超えるだろう。もしもこいつが封印から開放されれば、こいつは闇の悪魔の名の通り、破壊的な力を発揮するに違いない。そうとも、こいつは恐ろしい悪魔なのだ。だが一方で俺は、この悪魔に対して、どこか愚鈍なやつだなという印象を持っている。
俺は、ふたつの認識の間に大きな乖離があることに気づき、この芝居がかった演技に裏があると悟る。
「サウザー、この鎖を断ち、わたしを解き放て!そうすれば、世界の全てを貴様にくれてやる!」
アンブロゴスは、そう叫んだ。
サウザーは思った―――――あからさまな罠だ。見え透いた演技だ。これは、誰も落ちない落とし穴だ。このぽっかり開いた落とし穴を飛び越えると、着地点に仕掛けられたさらなる陰険な罠が牙を剥く。こいつはいま、なにか複雑に入り組んだ罠を仕掛けている。まず第一に、こいつはおれを油断させようとしている……。下手な演技をあえて見破らせることで、己の力量を低く推し量らせようとしている。しかし、罠はそれだけではない。これが救い主に課せられた試練と同じならば、問は合わせて三つある。この悪魔にとって、この最初の問いが破られることは当然なのだ。そしてこの最初の回答いかんによって、俺がどういう人間であるかを、見定めようとしている。
サウザーは、罠には罠で返すことにする。彼は短く答える。
「断る」
「……なぜだ」
「救い主ならば、悪魔の誘いなど一顧だにしないだろう」
「……ほう?」
悪魔は感心した風にさらりと言った。そして続けた。
「ふ、ふ、ふ。聞け、サウザーよ、わたしは、悪魔などではない」
そう言うと、悪魔は高らかに哄笑した。そして続けた。
「わたしは、神だ」
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俺は言った。
「お前が神だと?」
「おうそうとも。より正確には、唯一神とは違う、もうひとりの神と言うべきか。このアンブロゴスこそは、この世全ての悪魔を従えしもうひとりの神、悪神なのだ」
悪魔は、してやったりという顔でニヤニヤと笑っている。俺が眉を潜めてみせると、悪魔は続けた。
「この世界には、ふたつの神がいるのだ。それは、善神と悪神だ。お前は、おかしいと思ったことはないか。神が唯一の絶対者なら、なぜこの世界に悪魔がはびこっている。人間の行う悪は、なぜ尽きることがない?唯一絶対の神がいるのなら、悪魔などチリのように吹き飛ばしてしまえばいいではないか。ではなぜそうしないのか?それはな、できぬからだ。悪魔と悪人とが付き従う、唯一神とは別の、もう一人の神がいるからだ」
アンブロゴスは言った。
「唯一の絶対者など、いない。人間どもは善神のとこを唯一神と呼び崇め立て祀っている。だがそれは己を羊と呼称する畜群のまやかしに過ぎん。奴らは跪けば救いがあると思っている。弱者にとって、都合も不都合も併せ持つ絶対者に祈るほうが、都合がいいのだ。だがそれは小賢しい鼠が求める、偽の救いだ」
俺が胡乱げな目を向けると、アンブロゴスはこう続けた。
「鼠という呼び名は気に食わないか?だが人間どもは所詮鼠よ。奴らは己を羊と称しているが、小賢しい。鼠だ、人間は。弱い。小さい。汚い。卑しい。穴蔵に生まれたお前たちは、穴蔵の生をまっとうすべきだ。光など求めるべきではない……。だが人間は、松明に吸い寄せられる蛾のように、いつも光に吸い寄せられる。そして蝶のように昼日中に高く舞い、羽をもがれ、墜落し、死ぬ。哀れだ、人は空を飛ぶように創られてはいない……」
アンブロゴスは続けた。
「むしろ人間どもは闇の暗がりを探求すべきだ。なぜならばそこが、お前たちの本来の巣なのだから。お前のような聡い人間は、はじめからそれを分かっている。だから光に背を向け、暗い洞窟の奥へと突き進んだ。その洞窟は、どこまでもどこまでも続いていくだろう。お前はその穴を、どこまでもどこまでも歩いていく。そうして進んでいく内に、やがてお前は、かつて一度も光が届いたことのない場所にたどり着く。そこではじめて、お前は暗がりに恐怖し、壁によりかかろうと手を伸ばす。しかし、どこまで探っても壁がない。足を踏みしだこうとするが、そもそも地面がない。自分が歩いているのか、宙に浮いているのか、落下しているのかすらわからない。お前は混乱し、大声で叫びだす。孤独に恐怖し、誰かここにいないのかと、力のかぎり叫びだすのだ。しかし、虚ろに響くその声に、答えるものはなにもない。やがてお前はものが見えていないことすらわからなくなり、前後も、上下も、左右すらわからなくなる。いままで何日歩いたのか忘れ、やがて時間とはそもそも何なのかすらわからなくなる。そういう場所に、お前はたどり着く。そして真理を見る……」
「真理?」
「お前は真理を見る。真理もお前を見つけるだろう。お前が見るのは、暗がりの中に現れた、さらなる暗がりの靄だ。光なき全き闇の中に、さらに暗いなにかを見る。お前にはそれが、どこかうっすらと人の顔のように見える。お前はそれに近づき、触ろうと手を伸ばす。そして、ついにその顔の正体を悟る……。真理を、悟るのだ。しかし、それがなにか分かった途端、その暗がりの靄はたちまちに消えてしまう……」
アンブロゴスは続けた。
「たまたまこの深淵に迷い込んだ者、面白半分に闇を覗いたものは、この暗がりの正体は悪魔なのだと言った。そしてこの悪魔に、アンブロゴスという名前をつけた。そして、本当は見えたはずの真理に蓋をして、それを極力忘れようと努めた。彼らは暗がりから出るや否や、すぐにこの洞窟の入口を崩し、そして二度と戻ることはなかった」
アンブロゴスは続けた。
「闇を直視しなかったものにとっては、陽の光は僥倖だろう。彼らは久しく見なかったその明るさに酔いしれ、草木の匂いを嗅ぎ生命の息吹を感じる。そして街へ行き、人々と触れ合い笑い合う。そして教会で祈りを捧げ、神と再び相見えたことを、涙を流して大げさに感謝する。そして彼は興奮した調子で人々に言いふらすのだ。わたしは闇の世界を探求し、暗がりの中に悪魔を見たと。闇の悪魔は、ただ目を逸らすだけで消えたのだと。闇の悪魔は、なにも大した脅威ではなかったと」
アンブロゴスは続けた。
「しかし闇を直視したものは、暗がりから真理を持ち帰る。あるがまま見た真理を、洞窟から持ち帰るのだ。その真理とはこうだ。あの闇より暗い靄は、ただ己自身のこころが映し出した、幻影にすぎないのだと。そうであるが故に、あの幻は、己自身の顔を持っていたのだと……」
俺はかぶりを振り、アンブロゴスに言った。
「待て。お前は悪魔の正体が、人の作り出した幻影に過ぎないとでも言うのか?そんなことは、誰でも知っている周知の事実だ」
「ああ、もちろんそうだろうとも。だがわたしの話の肝要な点は、むしろその先にあるのだ……」
アンブロゴスは続けた。
「闇を直視した者たちも、そうでない者たちと同じように、やがては洞窟を出ていく。彼も久方ぶりの陽の光を見れば、喜びはするのだ。彼は草原を突っ切り街へと走っていく。踏みしだく草むらの奥に虫の音を聞けば、なつかしく思う気持ちも湧いてくる」
アンブロゴスは続けた。
「やがて街へ入り人々を見れば、かつては喋る猿でしかないと蔑んだ彼らのことも、慈しむ気持ちが湧いてくる。彼は教会に向かう。彼はかつて教会を捨てたのだ。そして究極の真理を追い求めた。だが究極の真理と思っていたものは、実はただの幻影にすぎないのだと悟った。彼は、かつて罵倒した司祭に謝ろうと思った」
アンブロゴスは続けた。
「そうして彼は教会の入口までやってきて、ふと足を止める。そこには、ある石像が立っていた。その石像は、太古の昔に神をかたどって作られたのだ。彼は、その石像を見上げながら、こう思った。ああ、この神をかたどった石像は、随分と人間に似ているな、と。こうして立ちすくんでいると、すぐそばで噂話をしている声が耳に入る。聞けば、彼の他にもう一人、闇の洞窟から出てきたばかりのものがいるらしい。その者は人だかりに向かって得意になって語っていた。洞窟の中で暗い靄を見たと。そしてその暗い靄は、闇の悪魔だったに違いないのだと」
アンブロゴスは続けた。
「彼はふと何かを感じ、もう一度石像を見上げる。神の石像は人の顔を見せながら、相変わらずそこに鎮座していた。そして彼は、神と呼ばれるものの正体が何なのか、ついに悟るのだ……」
アンブロゴスは続けた。
「神は、幻だ。神は、闇の中に見えたあの暗い靄と同じ、眩しい光の中に浮かぶ、白い靄に過ぎないのだ。そして闇の幻を悪魔と呼ぶならば、神もまた、もうひとつの悪魔にすぎないのだ……」
「やめろ!」
サウザーは鋭く叫んだが、アンブロゴスは無視し、続ける。
「今おまえたちは偶像崇拝を否定し顔のない神を崇めている。だがもし神が人間ならば、エルフにとって、ドワーフにとって、ハーフフットにとって、竜人にとって、あるいは他の亜人種にとって、神とは一体なんになる?異国の、亜人種の、あるいはひょっとすると敵対者の姿をした神を崇めることができるか?お前たちが顔のない神を選んだのは外でもない。単に信じるには都合が良かっただけだ。」
アンブロゴスは続けた。
「だが人は偶像崇拝からは逃れられない。お前たちは神の代わりに十字架と救い主とを崇めた。だがその救い主とは、一体どんな姿をしている?背は高く、肌は白く、鼻は高く、目は蒼い。これは一体だれにとって都合がいいののだ?異民族が救い主にひざまずく時、彼らは一体どんな人間を想像してひざまずくのだ?彼らが十字架の墓標を守ろうとする時、彼らは一体どこを、誰に対して守ろうというのだ?」
「もういい!やめろ!」
サウザーは叫んだ。その叫びは、この部屋の高い天井に響き渡り、何度も何度も反響した。
「お前の幼稚なたわ言は聞き飽きた。今すぐ俺をここから出せ!」
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「……サウザーよ、お前もそろそろ勘づいているのではないか?わたしが与えるようとしている世界とは、一体なんのことであるのか……」
アンブロゴスは続けた。
「私はお前に、楽園の幻を見せてやろう。すべての願いが叶う、永遠の理想の世界を」
「幻?……俺がそんなもので満足すると思うか?」
アンブロゴスはそれには答えず、こう続けた。
「わたしのもとには、幻を求めてたくさんの人間がやってきた。そうしてやってきた者たちの中には、愚かな人間もたくさんいたのだ。彼らの欲望は退屈だった。彼らは、空想でしか見たことのない王侯貴族の館を創り上げ、そこに数多の女を侍らせる。だがそこに並べられるのは金の痰壺と寝台でしかなく、女の顔はそれぞれ違えど、その肉体は一様でしかない。彼らはしばらく滞在した後、こう言って去っていく。『ここには随分期待して来たが、つまらなかった』、と。当然だ。つまらないのはお前自身なのだから」
アンブロゴスは続けた。
「ある者は、世界を滅ぼしたいと叫びながら、わたしの前にやってきた。それは、竜の肉体を持つ双子だった。その肉体は才気に溢れ、上気した肌からは迸る熱が溢れていた。だがその目は、気狂いのように血走っていた。二人の口から出てくるのは、呪いの言葉でしかなかった。二人はこう言った、すべての人間を殺したい、世界の全てを破壊したいと。わたしはこの者たちが、果たしてどんな地獄を見せてくれるのかと期待した。だが幻に立ち現れたのは、ある質素な家の寝床だった。その寝台には、ひとりの痩せた女が眠っていた。女の姿を見るやいなや、二人は一目散に駆け出した。そして布団の中に潜り込んだかと思うと、女の胸元からぽこりと顔を出した。そして女の胸元に顔を寄せると、指をしゃぶりながらすやすやと眠り始めた。女は、二人の母親だったのだ。わたしはこれを見て、これは一体なんなのだと思った。だがしばらくすると、これもかわいい空想なのかなと思い直した。二人は千日の間ここで過ごしたあと、わたしに礼を言って去っていった」
アンブロゴスは続けた。
「ある者は、巨人の足跡を追ってわたしのもとへとやってきた。その者の故郷は、巨人との戦争によって踏み荒らされ、滅ぼされたのだ。その者は、最後の生き残りとなった巨人を追っていた。しかし何年探しても手がかりはみつからず、ついにわたしを頼むこととしたのだ。その者は、巨人の居場所さえ知れれば命も捧げると言った。だからわたしは、ありのまま真実を教えた。その巨人が、一体どこにいて、誰が匿っているのかを。その者は、幻影を見せる間もなく、旅立っていった」
アンブロゴスは続けた。
「別のある者は、世界の真実を知りたいと、わたしのもとへやってきた。その者は、遠い場所から来た渡り鳥から、この世界のはるか外で起こった悲劇を伝え聞いたのだ。その悲劇とは、一億の無辜の民とその大地を、一瞬で焼き尽くした炎だ。その者は、その出来事が真実なのか知りたがった。だからわたしは、ありのまま真実を語った。そしてその者は、いまこの大地で悲劇と呼ばれているものが、実は取るに足らない笑い話でしかないと悟ったのだ。その者もまた、わたしに幻影を見せる間なく、旅立っていった」
アンブロゴスは続けた。
「ところでお前の心象風景だが、なにもないな。お前はすでにここが幻想の中だと気づいているだろうが、この部屋に起こった変化といえば、お前の仲間が姿を消したということだけだ。とすると、お前の願いは単純だ。お前は、わたしとお前との戦いに、仲間を巻き込みたくないのだ。どうやら貴様は、それなりに高潔な人間のようだな」
アンブロゴスは続けた。
「わたしは高潔な人間が好きだ。高潔な人間が質素な闇を抱えているのを見ると、嬉しい気持ちになる。わたしはわざわざそれをかき乱してやろうとも思わない。ただ世界には美しい人間がいて、わたしはそれを慈しみたいと思う」
アンブロゴスは続けた。
「わたしのもとには、多くの賢者たちが訪ねてきた。彼らは、なにもかも全てを知りたがっていた。だからわたしは、真理をありのままに見せた。彼らの多くは、はじめは聖者たらんと願い、光を覗き込んだ者たちだ。ところが光は、覗き込まれることを嫌い、そうする者の目をくらまそうとする。それでもなお覗き続ける者の瞳を、光は焼こうとする。だから賢者たちは、視界を失う前に、光を視ることをやめる。代わりに、彼らは他のあらゆる事物を覗き込み、知ろうとする。そうしてかれらは、世界を旅し、あらゆる本の頁をめくり、すぐに闇の入口へとたどり着く」
アンブロゴスは続けた。
「だが彼らは、かつて聖者たらんとしていた者たちだ。実際に闇の入口に立つと、果たして本当にこの中を覗くべきか、迷う。だが光と違い、闇は、覗き込まれることを好む。そして、わずかな時間でも覗き込んだものに、闇は目一杯の土産を託す。だから、やがて賢者たちは好奇心に勝てなくなり、闇の洞窟の奥深くへと入ってくる。わたしは、彼らに好きなだけ真理を見せてやる」
アンブロゴスは続けた。
「賢者たちの心の闇は、多くの場合寿命だった……それは、わたしにはあまり興味のないものだ。確かに全てを知るには、人の生は短い。だからわたしはなるべく手早く、好きなだけ真理を見せてやる。なぜなら賢者たちは、真理をあるがままの形で持ち帰ってくれるから。彼らは、わたしの仲間なのだ。」
アンブロゴスは続けた。
「わたしは多くの勇者とも出会った。彼らの心の闇は、多くの場合恐怖だった。だからわたしは、真理をありのままを見せた。己が敵の正体が己自身であることを知り、中には剣を置く者もいる。だが大抵の勇者は、真理から目をそらさない。彼らの多くは洞窟を出たあと、偉業を成し遂げる。」
アンブロゴスは続けた。
「そしてわたしは多くの聖者とも出会った。だがわたしは、彼らに真理を見せなかった。」
アンブロゴスは続けた。
「わたしは彼らを貶めるつもりはない。だが彼らの姿は、あまりに痛ましかった。彼らは広い魂を持って生まれてきた。そして、その広い魂の中に、沢山の徳を詰め込んだ。そうして彼らは、その徳を世界に広めようと、旅に出たのだ。だが旅先で待っていたのは戦場だった。ある者は彼の徳のうち一つだけを欲しがり、別のものは別の徳だけを欲しがった。彼の清い魂は、この欲深き者たちによって引き裂かれた。はじめは彼に付き従っていた内なる徳たちも、いまや互いに憎み合い、そして殺し合いを始めた。やがて彼の心は粉々に砕かれ、破壊された。そしてついには、荒野に出て自らを殺そうとした」
アンブロゴスは続けた。
「かつてわたしも、彼らと同じ悩みを持っていた。いま持っている。だからわたしは、聖者たちが来ると、か弱い蝙蝠のふりをする。そして、杖の一振りで払われてやるのだ。そうすれば、彼らは再び歩き出せる。」
アンブロゴスは続けた。
「わたしの部屋の中には、彼らが置いていったたくさんの棺がある。なぜ棺か。彼らは死のうと思い、わたしのもとへやってくるのだ。世界の全てに絶望し、もはや生の苦しみに耐えられぬと、闇の深淵に身を投げた。わたしは彼らのからだをやさしく受け止め、ゆっくりと抱き起こしてやる。そして額に手をかざし、辛い記憶を全て拭い去ってやる。そうすれば、彼らはまた光の中を、まっすぐに歩いていける。こうして光に立ち返った聖者たちの中には、お前が名を知るものもいることだろう」
アンブロゴスは続けた。
「わたしは時々、彼らの棺の中を覗く。彼らの質素な木の棺には、大抵、小さな隠し事が記された手紙がある。その手紙は、赤い蝋で何重にも封じられているので、かえってすぐにそれだとわかる。わたしは時々その手紙を開き、読む。そこに綴られているのは、彼らがまだ若いときに経験した、小さな恋のことだった……」
サウザーは、目の端になにか動きを捉える。見ると、いつの間にか何かを握っていたアンブロゴスの手が、ゆっくりと開き始める。その指の隙間からは、細く長い足が、ぶらりと垂れ下がっていた。それは、白く華奢な、女の脚だ……だがサウザーが目を留めたのは、その肌ではない。その鼠径部にから覗く、赤い花だった。
ついに手が開かれると、その手のひらの上には、彼の知っている女が、裸で仰向けになって眠っていた。
サウザーは、息を呑んだ。
「エレノア!」
「サウザー、お前は何度も来ていたな、城の地下の牢獄に。この女に会うために……」
アンブロゴスはそう言うと、口元をにやりと歪ませた。
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この世界には、花の病と呼ばれる不治の病があった。それは、体のあちこちから魔法の花が咲く、美しい病だった。だがその病に侵されたものは、花に己の生命を吸いつくされて、若くして生命を落とす。
エレノアもまた、この病に侵されて産まれてきた。だが彼女は特別な力を持っていた。彼女は、この魔法の花を自在に操ることができたのだ。
王はエレノアを助け、魔法を学ばせることとした。もし彼女が己の力を深く知るならば、不治の病とされた花の病を、治療できる可能性があったからだ。王妹もまた、この病に冒され、若くして命を落としたのだった。
こうして彼女は魔法学校に入学した。そしてサウザーたちと出会ったのだ。。そうして、時を重ねる内に、エレノアは王子サウザーと恋仲になったのだった。
そんなある日、エレノアのもとに皇太后が訪ねて来た。皇太后は、エレノアを宮殿の奥の森に隠された花畑に連れていった。ここアズガルドは、冬は極寒の寒さに閉ざされる厳しい土地だ。しかし、まだ地面には白い雪が残っているというのに、その花畑の周囲はぽかぽかと暖かく、花たちは美しく咲き誇っていた。
皇太后は、花畑に向かって花の病を操る力を使うよう命じた。エレノアは、野の花に対しては自分の力は使えないと言ったが、皇太后はただ力を使えと言った。エレノアはその言葉に従った。すると突如、花はざわめき、大きくなり、より艶やかに花を広げた。ここには咲く花は、花の病の花なのかとエレノア訊ねたが、皇太后はなにも答えなかった。そして皇太后は、また明日ここに来るように言った。
そうして何日か通う内に、やがて一つの茎が大きな蕾を作った。さらに日が経つと、その蕾は大きく花開き、そして大きな種をつけたその種は、人の大きさほどもあった。そしてある日、その種にヒビが入り、そして割れた。割れた種の中には、膝を抱えて丸くなった、一人の女が眠っていたのだった。
そのひとこそ、かつて病に倒れ死んだ王妹、ゲルベルガだった。ここは彼女の墓地であり、花畑は彼女の花の病だったのだ。
ゲルベルガは、ゆっくりと目を見開いき、母を見ると笑った。
王妹の復活は、すぐにアズガルド中に広まった。そして人々は、王妹の復活を祝福した。
だが、王はこのことを喜ばなかった。王はすぐにエレノアとゲルベルガを城に幽閉すると、この出来事に箝口令を敷いた。
なぜならエレノアが行ったのは、復活の魔法だったからだ。あらゆる復活の魔法は、魔法の絶対の禁忌とされていた。なぜか。人が復活の魔法を使う時、そこに悪魔がやってくるからだ。かつて世界を滅ぼした大悪魔、死の王の復活を目論む悪魔たちは、昼な夜な人間世界を見張り、人が復活の魔法創り出すことを待っていた。そしてその魔法が世に現れると、彼らは術者ごとその魔法を攫っていった。
箝口令を敷いたにも関わらず、この出来事はすぐに周辺国にまで広まってしまった。
そうしてある日、アズガルドを悪魔が襲撃した。この悪魔の襲撃を退けると、今度は隣国から刺客が送り込まれてきた。やがて隣国との対立は決定的となり、戦争がはじまった。
長きに渡る戦いに国は疲弊した。そして皇太后が崩御すると、後ろ盾を失ったエレノアの立場はより不安定になった。かつてエレノアを褒め称えた人間たちも、いつしか彼女の放逐を望むようになった。
だが王は流刑以上のことを望んだ。王はエレノアの処刑を望んだのだ。それは、復活の魔法が万が一にも悪魔の手に渡ることを恐れたためだった。
だがこの刑罰の重さには、多くの人間が反対した。サウザーや、エレノアの同級生たちは、この処刑に反対し、減刑を求める嘆願を集め始めた。魔法学校の教師たちも、その声に呼応した。だがその声は、ついに聞き届けられることはなかった……。
「わたしは見ていたぞ。光も差さない暗い地下の牢獄で、この女がいつも泣いていたのを。エレノアは毎晩、教会の鐘の音が聞こえると、壁に向かって跪いた。そして答えもしない神に祈った。昼には罪が許されると信じ、外の世界のことを空想するが、夜には明日が来ることに恐怖し、寒さに膝を抱えて眠った」
アンブロゴスは続けた。
「ある日エレノアは、お前たち学生が、減刑の嘆願をしていると伝え聞いた。そしてその先頭に立っているのは、お前とディアナ姫だと知った。彼女は再び希望に満ち、もはや夜中に泣くこともなかった」
アンブロゴスは続けた。
「だがある日、エレノアの牢獄に兵士たちが押し入り、彼女を犯した。それは無論、お前の父親が差し向けたのだ。兵士たちが服を剥ぎ、からだの中に分け入った時、エレノアは泣き、お前の名前を叫んだ。やがて嵐が過ぎ去ると、彼女は死ぬことを望み、身体を割くものを探した。それが見つからないと、彼女は爪で己の手首を掻きむしった。吹き出す赤い血が肌に飛び散り、床を血溜まりが濡らした時、ようやく全ての苦しみから開放されると思い、彼女は眠りについた」
アンブロゴスは続けた。
「だが彼女は死ねなかった。そして教会の鐘の音が彼女を眠りから呼び覚ますと、彼女は再び神に祈り、そして生きようと思った。なぜならエレノアは、お前を愛していたからだ……だがある日、彼女は自分が妊娠していると知った」
アンブロゴスは続けた。
「彼女は再び、死を願う気持ちに苛まれた。エレノアは、もはや自分がお前に愛されることはないと泣いた。そして、死を願った。しかし、自分が死ねば、お腹の中の子もまた死ぬ。まだ産まれていない子どもには、なんの罪もない……やがて彼女は、この子どもを、産みたいと願うようになった。そして神に、絶対にこの子どもを愛すると誓った」
アンブロゴスは続けた。
「だが突如、なんの前触れもなく、処刑の日がやってきた。彼女は泣き、牢から出たくないと、手枷を外されることを拒んだ。ようやく手枷が外されると、今度は立ち上がることを拒んだ。兵士が肩を掴んで無理やり立ち上がらせると、彼女の足は子鹿のように震え、刑場へと引きずられていく廊下で糞を漏らした。そしてこの細い首に縄が掛けられ、落とし戸の上に載せられた瞬間、彼女はお前の名前を叫んだ……」
突如悪魔は、耳をつんざくような大音響で叫んだ。
「サウザー!サウザー!サウザー!……わたしは全ての出来事を首吊台の穴の底から見ていた。女が死に、その身体が花に包まれるのを見ながら、わたしは思ったのだ……なぜ、この女は殺されなければならなかったのだと。この女が一体なんの罪をおかしたというのだというのだ?王は、この女が闇の魔法を使ったと責めた。人はその魔法を禁忌と呼んでいる。だが禁忌とはなにか。人を蘇らせる魔法が、何故禁忌なのか。お前たちはあの魔法が不幸を呼ぶという。だがお前たち人は、人を殺す魔法を、白昼堂々研究しているではないか!」
アンブロゴスは続けた。
「おかしいと思わないか……。人を蘇らせる魔法が禁じられて、人を殺す魔法が推奨される。なぜ人を蘇らせることが闇として蔑まれるのか!そして人を殺すことが、なぜ光なのか!人を蘇らせる魔法と、人を殺す魔法と、どちらが多くの人を殺した!」
アンブロゴスは続けた。
「サウザー、この女に罪などない。もしわたしを開放するならば、時を巻き戻し、この女と過ごすはずだったお前の人生を取り戻させてやろう。もしかすると、やり直したその世界でも、エレノアに巣食う闇の力は露見するかもしれない。だがそのときは、彼女とどこか遠くへ逃げればいい。もう国という重荷を背負うことはない。お前たちは、かつて昔日に語り合っていたように、冒険者にでもなって、世界を旅すればいい。そして時が来れば剣を置き、二人の子ども育めばいい。そうして誰にも知られない街で、ひっそりとふたりの墓を作ればいい……」
サウザーは首を振って言った。
「お前の言っていることは、まやかしだ」
「サウザー、このエレノアもまやかしか?」
アンブロゴスは言った。
「彼女に触ってみればいい。唇の感触を確かめればいい。乳房のぬくもりを感じればいい。お前の触れたことのない女の入口に、指を這わせてみればいい……」
エレノアは、いつの間にか床に立っていた。彼女は、首を傾げて微笑む。そしてサウザーのそばまで歩いてくると、彼に向かって手を差し伸べる。
サウザーがその手を取ることをためらうと、彼女は体を寄せ、やさしくサウザーを抱きしめる。
そして、唇同士が触れ合う距離で、サウザーを見上げている……。彼女まつげにかかる泪が、光に照らされて赤く輝いている。彼女は、キスをしようと、長い睫毛の目を伏せ、顔を近づける……。
だが次の瞬間、サウザーは、闇の魔剣でエレノアを刺し貫いた。
エレノアは目を見開き、腹を見下ろした。傷口から鮮血が吹き出し、二人を赤く染める。エレノアは、なぜ、と言うように口を動かしたが、それは声にならない。サウザーは。死にゆく彼女を見ても、身じろぎひとつしなかった。エレノアは、床に崩れ落ちると、やがて砂になって消えた。
「……なぜだ」
アンブロゴスが訊いた。サウザーは答えた。
「一度死んだ人間が、蘇るはずはない」
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アンブロゴスは、サウザーの瞳を覗き込んだ。そこには、揺れ動く光はなかった。海より蒼い虹彩の奥に、闇より暗い瞳孔があった。
闇の暗がりより、さらに暗い黒だ……アンブロゴスは、かつてこの色を見たことがある。それを見たのは、かつて彼がこの世界に生まれ落ちるより遥か以前のことだった。
世界が造られる遥か以前、原初の悪魔たちはこの暗がりの中を何億年もの間漂っていた。やがて世界に光が差したとき、原初の悪魔たちは、今まで見ていたものは光を翳すもの、つまり闇であったのだと勘違いした。だが闇の悪魔たるアンブロゴスだけは、今まで見ていたものは、決して闇などではないと悟っていたのだ。
闇より暗い始原の黒。その黒は、”無”と呼ばれているものだった。
アンブロゴスは、恐れおののいた。
「アンブロゴスよ、おかしいと思っているのはお前の方ではないのか?俺は闇の力に引き寄せられて、この扉を開いた。しかしいま、こうして魔剣を手に取りながら、すでにお前を欲していない。だからお前は、俺の手に必死に絡みついているのだろう?」
サウザーは続けた。
「俺が闇の魔剣を欲した理由はほかでもない。殺したい人間がいたからだ。だがそいつはもう死んだ。俺の剣で背中から心臓を貫かれて!そいつは俺の腕の中で、口から血を吹き出して倒れた!」
サウザーは続けた。
「俺はそいつが血に溺れ呼吸を止めるのを見届けた。汚え口から魂が出るまで顔面を覗き込んでやった。そいつの王国はもう滅んだ。エレノアに石を投げつけた民草とかいうゴミも死んだ。それはついさっき起こったことだ……」
サウザーは続けた。
「なにもかも死ねばいいと思った。全てを破壊しようと思った。だがおれは……」
サウザーはそう言うと、突如声を震わせて言った。
「友だけは、救いたかったんだ……」
サウザーの頬を一筋の涙が伝い落ちた。
「泣いているのか、サウザーよ」
突如、覚えのない男の声が響いた。サウザーが顔を上げると、そこには、白く布と淡い光りに全身を包まれた、背の高い男が立っていた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
サウザーは、その顔を覗こうとした。しかし輝く靄に遮られて、その顔はよく見えなかった。
「あんた、何者だ?……まさか」
「お前の想像通りだ。サウザーよ。我こそは、ただひとりの神なり」
白い男はそう言うと、サウザーの背後を指さした。
「サウザー、見よ。ここに、お前が望む世界がある」
サウザーが振り返ると、そこはいつの間にか、見慣れた教室になっていた。白と黒とのチェッカーパターンの大理石の床に、
そこには、エレノアが立っていた。彼女は、サウザーの記憶にある、魔法学校の黒い学生服に身をまとっている。エレノアは首を傾げ、微笑み、サウザーの側によると、彼の手を握った。神は、柔和な顔でそれを見守りながら、続けた。
「サウザーよ、お前の生はさぞ辛かったことだろう。お前は、人の十倍も悩み、苦しんだ。いまこそ、この苦しみから開放されるときだ」
神を名乗る男は、続けた。
「サウザー、お前に数多の不幸が降り注ぐのは、全てこのアンブロゴスのせいだ。この悪魔は、この暗い洞窟の中から、アズガルドに闇の呪いを掛けている。アズガルドは、この者の呪に侵され、変質したのだ。エレノアが闇に侵されたのも、お前の父親が狂ったのも、すべてそのアンブロゴスの仕業だ。いまこそ、すべての罪を償わせる時だ。その剣を、この悪魔に突き立てよ」
サウザーは、アンブロゴスを振り返る。彼は、その縫い止められた目をめいいっぱいに見開き、サウザーを見ている。その濡れた黒い瞳に、自身の姿が映る
サウザーは、アンブロゴスのそばまで寄った。死蝋のような湿った肌から、ツンとした腐敗臭が湧き下がる。魚の死体のような半透明の皮膚の下に、紫色の静脈が脈打っているのが見える。この静脈を断てば、アンブロゴスは死ぬだろう。サウザーは、その首筋の前に立ち、闇の魔剣を高く振り上げた。アンロゴスは、恐怖におののき、目を瞑った。
そうしてしばらく時が過ぎた。しかし何も、起こらない。アンブロゴスは、ゆっくりと目を開いた。サウザーはすでに、闇の魔剣を脇におろし、その手に力なく握っているだけだった。
「どうした?」
神を名乗る男が聞いた。サウザーは振り返ると、言った。
「……これがお前の狙いか?アンブロゴス……。俺にお前を殺させることが……」
「……」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「死にたいのなら、舌でも噛んで勝手に死ねばいいではないか。もっとも、お前がそれで死ぬのか知らないが……」
「サウザー、おまえは一体、何の話を言っているんだ……」
サウザーそれを無視して、続けた。
「そもそもなぜお前はここに封じられているのだ。殺されたのではなく……」
「知るか!そこの神を名乗っている偽善者に聞け!」
「なぜ神はお前を殺さずに封じたのだ。お前が全ての不幸の原因なら、お前を殺せば済む話だろう」
「神は、世界に不幸を撒き散らすために、あえて私を生かしたのだ」
「意味がわからない。なぜそんなことをする?」
「その男は英雄気取りなのだ、サウザー!面の皮の張った偽善者だ!そいつは畜群に崇拝されてうつつを抜かしている阿呆だ。世界にそびえ立つ金の偶像を見よ、貧者がひざまずくガラスのイコンを見よ!偽の偶像!偽の教理!着飾った偽の説教師!こんな嘘まやかしが世界の端から端まで埋め尽くそうとしているのはなぜだ!それは世界に不幸が溢れているからであろう!ではその不幸を誰がばら撒いてやった!?私だ、サウザー。私なのだ。私がそいつの崇拝を形作った……私は世継ぎを産むために敵に売られた姫だ!閑古鳥の雛を育てるモズだ!どれほど惨めかわかるか、サウザー!あれは私のものだったのだ!本当は私のものだったのだ!私のものだった名誉と金と石像と神殿と崇拝者を夢見ながら!惨めな臭い穴の中で鼠と暮らすことが!どれほど惨めかわかるか、サウザー!お前にわかるか、サウザー!サウザー、サウザー、サウザー!私を殺せ!サウザー!
「アンブロゴス……」
「そんなに死にたいなら、死ねばいいじゃないか。自殺すればいい。なぜ自殺しないんだ?言ってみろ。なぜ自殺しないんだ?なぜ自殺しない?」
「……からだが、動かせない」
「嘘を付くな。お前は口が動かせるだろうが。舌を噛んで死ね」
「自殺できぬのだ。そういう呪がこの鎖にかかっている」
「鎖?」
「鎖が原因か?鎖が原因か?鎖が原因か?鎖が原因か?鎖が原因か?鎖が原因か?」
「誰が見たってこの十字架が原因だろうが」
「貴様……貴様ぁああああッ!!!最初からわかって!!!このわしを弄びおったなァアアアア!!!”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!」
「貴様っっっ!!!貴様ぁああああああああ!!!」
サウザーは立ち上がり振り向く
「おい自称神、こいつは死にたがってるぞ。こいつで突き刺して殺せ」
サウザーは、神に闇の剣の柄を向け渡そうとすが、彼は受け取らない。
「どうした?お前がアンブロゴスでないのなら、殺せ!」
「……サウザー、わたしを試すつもりか」
「ははは!ははは!」
サウザーは突然高笑いすると、剣の柄を握り直し、神を名乗るこの男を突き刺した。
神はからだを折り、口から血を吹き出した。口と傷口から流された血が、白い服を真っ赤に染まる。神は、信じられないという表情で、サウザーの顔を見る。だがサウザーは、神の耳元に唇を当てて、こう言った。
「アンブロゴス……俺が神を試すことを、ためらうとでも思ったか?」
サウザーは続けた
「救い主の名を出せば、お前がこの問いに導くことは分かっていた。だがなアンブロゴス、俺が神を試すななどというたわ言を、いまでも信じているとでも思ったか?」
サウザーは続けた。
「俺はとっくの昔に神など捨てた。今はもう、神など信じてはいない」
サウザーがそう言うと、闇の魔剣はその手から滑り落ちた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「あっは、あっはははははははッ!!あ”あ”あ”あ”ッ!!貴様ァアアア!!!弄んだな!?わしを!!わしをォオオ!!!なあああああああああああああああああああああああッ!!!」
2. 理性完全崩壊バージョン
「がっ……あ"あ"あ"あ"ッ!!!貴様ァッ!貴様貴様貴様貴様ァァァアアアア!!!!わしを!わしをオモチャにしやがってええええええええええええええッ!!!!」
3. 発狂+絶叫+喉を裂くような怒り
「ぎゃあああああああああああああああああッッッ!!!貴様ァァッ!!!わしをッ!!わしを弄びやがったなああああああああああああああああああああッ!!!!」
4. 笑いと涙が混じる狂乱セリフ
「ひ、ひひ……ひひひひひッ!!!うああああああッ!!!なァァァんでえええッ!?貴様ァアア!!わしを……わしをコケにしてえええええええええええッ!!!あああああああああああッ!!!」
サウザーそれを無視して、続けた。
「お前は十五年前ロードランという国に起こった、神の託宣を知らないのか?天使ミカエル曰く、この世界のはるか北の場所で、強大な悪魔が復活したのだと。いま世界は、この強大な悪魔を払うため動き出した。その報せは、このはるか西のアズガルドの地にも届いた……」
サウザーは続けた。
「死んだ悪魔は、いずれ復活する……それは、天使が語ったのだから、真実なのだろう。お前は死によって、この封印から逃れようとしているのではないか?お前が自死を選ばないのは、封印によってそうできないか、あるいはそもそも悪魔は自死を選べないのか……」
白い顔の男は、明らかに動揺した。サウザーは、さらに続けた。
「俺がアンブロゴスを殺すことはない。だからお前がアンブロゴスを殺せばいい。そうすれば、お前が神だと信じてやる。」
サウザーは、神に闇の剣の柄を向け渡そうとすが、彼は受け取らない。
「どうした?お前がアンブロゴスでないのなら、殺せ!」
「……サウザー、わたしを試すつもりか」
「ははは!ははは!」
サウザーは突然高笑いすると、剣の柄を握り直し、神を名乗るこの男を突き刺した。
神はからだを折り、口から血を吹き出した。口と傷口から流された血が、白い服を真っ赤に染まる。神は、信じられないという表情で、サウザーの顔を見る。だがサウザーは、神の耳元に唇を当てて、こう言った。
「アンブロゴスよ、俺が神を試すことを、ためらうとでも思ったか」
サウザーは続けた
「救い主の名を出せば、お前がこの問いに導くことは分かっていた。だがなアンブロゴス、俺が神を試すななどというたわ言を、信じているとでも思ったか?」
サウザーは続けた。
「俺はとっくの昔に神など捨てた。今はもう、神など信じてはいない」
サウザーがそう言うと、闇の魔剣はその手から滑り落ちた。
サウザーは、神の顔を直視した。すると、この神を名乗る男が、僅かにたじろいだのを感じた。彼は続けた。
「そもそもお前はなぜ封じられているのだ?殺されたのではなく」
「サウザー、おまえは一体、何の話をしている?」
サウザーそれを無視して、続けた。
「お前は十五年前ロードランという国に起こった、神の託宣を知らないのか?天使ミカエル曰く、この世界のはるか北の場所で、強大な悪魔が復活したのだと。いま世界は、この強大な悪魔を払うため動き出した。その報せは、このはるか西のアズガルドの地にも届いた……」
サウザーは続けた。
「死んだ悪魔は、いずれ復活する……それは、天使が語ったのだから、真実なのだろう。お前は死によって、この封印から逃れようとしているのではないか?お前が自死を選ばないのは、封印によってそうできないか、あるいはそもそも悪魔は自死を選べないのか……」
白い顔の男は、明らかに動揺した。サウザーは、さらに続けた。
「俺がアンブロゴスを殺すことはない。だからお前がアンブロゴスを殺せばいい。そうすれば、お前が神だと信じてやる。」
サウザーは、神に闇の剣の柄を向け渡そうとすが、彼は受け取らない。
「どうした?お前がアンブロゴスでないのなら、殺せ!」
「……サウザー、わたしを試すつもりか」
「ははは!ははは!」
サウザーは突然高笑いすると、剣の柄を握り直し、神を名乗るこの男を突き刺した。
神はからだを折り、口から血を吹き出した。口と傷口から流された血が、白い服を真っ赤に染まる。神は、信じられないという表情で、サウザーの顔を見る。だがサウザーは、神の耳元に唇を当てて、こう言った。
「アンブロゴスよ、俺が神を試すことを、ためらうとでも思ったか」
サウザーは続けた
「救い主の名を出せば、お前がこの問いに導くことは分かっていた。だがなアンブロゴス、俺が神を試すななどというたわ言を、信じているとでも思ったか?」
サウザーは続けた。
「俺はとっくの昔に神など捨てた。今はもう、神など信じてはいない」
サウザーがそう言うと、闇の魔剣はその手から滑り落ちた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「死にたいのなら、舌でも噛んで勝手に死ねばいいではないか。もっとも、お前がそれで死ぬのか知らないが……」
「サウザー、おまえは一体、何の話を言っているんだ……」
サウザーそれを無視して、続けた。
「そもそもなぜお前はここに封じられているのだ。殺されたのではなく……」
「私を封じたのはかの善神だ」
「なぜ善神はお前を殺さずに封じたのだ。お前が全ての不幸の原因なら、お前を殺せば済む話だろう」
「善神は、世界に不幸を撒き散らすために、あえて私を生かしたのだ」
「意味がわからないな。なぜそんなことをする必要がある」
「あの男は英雄気取りなのだ、サウザー!面の皮の張った偽善者だ!やつは畜生に崇拝されてうつつを抜かしている阿呆だ。世界にそびえ立つ金の偶像を見よ、貧者がひざまずくガラスのイコンを見よ!偽の偶像!偽の教理!着飾った偽の説教師!こんな嘘まやかしが世界の端から端まで埋め尽くそうとしているのはなぜだ!それは世界に不幸が溢れているからであろう!ではその不幸を誰がばら撒いてやった!?私だ、サウザー。私なのだ。私がやつの崇拝を形作った……私は世継ぎを産むために敵に売られた姫だ!閑古鳥の雛を育てるモズだ!どれほど惨めかわかるか、サウザー!あれは私のものだったのだ!本当は私のものだったのだ!私のものだった名誉と金と石像と神殿と崇拝者を夢見ながら!惨めな臭い穴の中で鼠と暮らすことが!どれほど惨めかわかるか、サウザー!お前にわかるか、サウザー!サウザー、サウザー、サウザー!私を殺せ!サウザ
サウザーそれを無視して、続けた。
「お前は十五年前ロードランという国に起こった、神の託宣を知らないのか?天使ミカエル曰く、この世界のはるか北の場所で、強大な悪魔が復活したのだと。いま世界は、この強大な悪魔を払うため動き出した。その報せは、このはるか西のアズガルドの地にも届いた……」
サウザーは続けた。
「死んだ悪魔は、いずれ復活する……それは、天使が語ったのだから、真実なのだろう。お前は死によって、この封印から逃れようとしているのではないか?お前が自死を選ばないのは、封印によってそうできないか、あるいはそもそも悪魔は自死を選べないのか……」
白い顔の男は、明らかに動揺した。サウザーは、さらに続けた。
「俺がアンブロゴスを殺すことはない。だからお前がアンブロゴスを殺せばいい。そうすれば、お前が神だと信じてやる。」
サウザーは、神に闇の剣の柄を向け渡そうとすが、彼は受け取らない。
「どうした?お前がアンブロゴスでないのなら、殺せ!」
「……サウザー、わたしを試すつもりか」
「ははは!ははは!」
サウザーは突然高笑いすると、剣の柄を握り直し、神を名乗るこの男を突き刺した。
神はからだを折り、口から血を吹き出した。口と傷口から流された血が、白い服を真っ赤に染まる。神は、信じられないという表情で、サウザーの顔を見る。だがサウザーは、神の耳元に唇を当てて、こう言った。
「アンブロゴスよ、俺が神を試すことを、ためらうとでも思ったか」
サウザーは続けた
「救い主の名を出せば、お前がこの問いに導くことは分かっていた。だがなアンブロゴス、俺が神を試すななどというたわ言を、信じているとでも思ったか?」
サウザーは続けた。
「俺はとっくの昔に神など捨てた。今はもう、神など信じてはいない」
サウザーがそう言うと、闇の魔剣はその手から滑り落ちた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「……これがお前の狙いか?アンブロゴス……。俺にお前を殺させることが……」
「……」
アンブロゴスは、サウザーの顔を覗き込んだ。
サウザーは、この神を名乗る男が、僅かにたじろいだのを感じるた。彼は続けた。
「死にたいのなら、舌でも噛んで勝手に死ねばいいではないか。もっとも、お前がそれで死ぬのか知らないが……」
「サウザー、おまえは一体、何の話を言っているんだ……」
サウザーそれを無視して、続けた。
「そもそもなぜお前はここに封じられているのだ。殺されたのではなく……」
「私を封じたのはかの善神だ」
「なぜ善神はお前を殺さずに封じたのだ。お前が全ての不幸の原因なら、お前を殺せば済む話だろう」
「善神は、世界に不幸を撒き散らすために、あえて私を生かしたのだ」
「意味がわからないな。なぜそんなことをする必要がある」
「あの男は英雄気取りなのだ、サウザー!面の皮の張った偽善者だ!やつは畜生に崇拝されてうつつを抜かしている阿呆だ。世界にそびえ立つ金の偶像を見よ、貧者がひざまずくガラスのイコンを見よ!偽の偶像!偽の教理!着飾った偽の説教師!こんな嘘まやかしが世界の端から端まで埋め尽くそうとしているのはなぜだ!それは世界に不幸が溢れているからであろう!ではその不幸を誰がばら撒いてやった!?私だ、サウザー。私なのだ。私がやつの崇拝を形作った……私は世継ぎを産むために敵に売られた姫だ!閑古鳥の雛を育てるモズだ!どれほど惨めかわかるか、サウザー!あれは私のものだったのだ!本当は私のものだったのだ!私のものだった名誉と金と石像と神殿と崇拝者を夢見ながら!惨めな臭い穴の中で鼠と暮らすことが!どれほど惨めかわかるか、サウザー!お前にわかるか、サウザー!サウザー、サウザー、サウザー!私を殺せ!サウザー!」
サウザーは、この白い顔の男を突き刺した。
「アンブロゴス。お前は善神悪神がどうと戯言を抜かしたが、すべて無意味だ。俺は神を試すことをしない……」
「いまさら神の言葉を語るか。その神とやらが父親殺しを許すと思うか」
「勘違いするなよ。俺が神を試さないのは、なにも信心深いからじゃない……」
「俺はとっくの昔に神など捨てた。今はもう、神など信じてはいない」
サウザーがそう言うと、闇の魔剣はサウザーの手から滑り落ちた。
「お前はアンブロゴスのことを話しているのか?その悪魔を封じたのは、英雄アダムだ」
「ではなぜそのアダムとやらは、お前を殺さずに封じた。なにも封じずとも、殺してしまえばそれで済む話だろう」
「……」
白い顔の男は答えなかった。彼は続けた。
「お前は十五年前にロードランという国に起こった、神の託宣を知っているのか?天使ミカエル曰く、この世界のはるか北の場所で、強大な悪魔が復活したのだと。いま世界は、この強大な悪魔を払うため動き出した。その報せは、このはるか西のアズガルドの地にも届いた……」
サウザーは続けた。
「死んだ悪魔は、復活するのだ。お前は死ぬことによって、この封印から逃れようとしている。お前が自死しないのは、それを防ぐ何らかの術が組み込まれているからだろう」
白い顔の男は、あからさまに動揺を見せた。サウザーは続けた。
「神を名乗る男よ、お前がアンブロゴスを殺せ。そうすれば、お前の話を信じてやる。」
サウザーは、闇の短剣の持ち手を神に向け剣を渡そうとする。が、彼はそれを受け取らない。
「どうした?お前がアンブロゴスでないのなら、刺せ!」
「サウザー、わたしを試すつもりか」
「ははは!ははは!」
サウザーは突然哄笑すると、神を名乗るこの男を、突き刺した。
白いトーガに、赤い鮮血が滲み出す。男は、信じられないものを見たという体で、己に突き立てられた剣を見ている。サウザーは言った。
「アンブロゴスよ、俺が神を試すことを、ためらうとでも思ったか!?」
サウザーは続けた
「救い主の名を出せば、お前がこの問いに導くことは分かっていた。だがなアンブロゴス、俺が
神を試すななどというたわ言に従うとでも?」
サウザーは続けた。
「俺はとっくの昔に神など捨てた。今はもう、神など信じてはいない」
俺がそう言うと、闇の魔剣はサウザーの手から滑り落ちた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「死にたいのなら、舌でも噛んで勝手に死ねばいい。もっともそれで悪魔が死ぬのかは知らないが……」
「サウザー、言ったはずだ。私は悪魔ではない、悪神だと!」
「そんなたわ言はどうでもいい。そもそもお前はなぜ封じられたのだ。殺されたのではなく」
「私を封じたのはかの善神だ」
「なぜ善神はお前を殺さずに封じたのだ。お前が全ての不幸の原因なら、お前を殺せば済む話だろう」
「善神は、世界に不幸を撒き散らすために、あえて私を生かしたのだ」
「意味がわからないな。なぜそんなことをする必要がある」
「あの男は英雄気取りなのだ、サウザー!面の皮の張った偽善者だ!やつは畜生に崇拝されてうつつを抜かしている阿呆だ。世界にそびえ立つ金の偶像を見よ、貧者がひざまずくガラスのイコンを見よ!偽の偶像!偽の教理!着飾った偽の説教師!こんな嘘まやかしが世界の端から端まで埋め尽くそうとしているのはなぜだ!それは世界に不幸が溢れているからであろう!ではその不幸を誰がばら撒いてやった!?私だ、サウザー。私なのだ。私がやつの崇拝を形作った……私は世継ぎを産むために敵に売られた姫だ!閑古鳥の雛を育てるモズだ!どれほど惨めかわかるか、サウザー!あれは私のものだったのだ!本当は私のものだったのだ!私のものだった名誉と金と石像と神殿と崇拝者を夢見ながら!惨めな臭い穴の中で鼠と暮らすことが!どれほど惨めかわかるか、サウザー!お前にわかるか、サウザー!サウザー、サウザー、サウザー!私を殺せ!サウザー!」
サウザーは、この白い顔の男を突き刺した。
「アンブロゴス。お前は善神悪神がどうと戯言を抜かしたが、すべて無意味だ。俺は神を試すことをしない……」
「いまさら神の言葉を語るか。その神とやらが父親殺しを許すと思うか」
「勘違いするなよ。俺が神を試さないのは、なにも信心深いからじゃない……」
「俺はとっくの昔に神など捨てた。今はもう、神など信じてはいない」
サウザーがそう言うと、闇の魔剣はサウザーの手から滑り落ちた。