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クロードの誕生


アマンダと同じ日に生まれたのだろう

もうからだを休めたまえ

騎士団の仕事も斡旋しておく。



皇の宝剣に選ばれし勇者

死の魔剣に誘われし冥者





◇◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆◇


フロイドが田舎に帰った時、すでに、彼の息子は生まれていた。


「いつ生まれたんだ」

「5日前よ。王女様とおなじ、8月1日よ」

「すまなかったな。立ち会えなくて」

「わかっているわ」


妻のマリエは言った。そして、続けた。


「あなた、名前をつけてくれる?」

「そうだな……クロードがいい」

「クロード……男らしくて、素敵な名前ね」


「すまないな、しばらくは年金が出るが、これからどうするか

「いいえ。王宮では事件があったのでしょう。命があってよかったわ」

「これからは、こっちで一緒にくらそう」



◇◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆◇


こうしてフロイドは、故郷の村に衛兵の職を得た。

クロードが二歳の時、妹が生まれた。妹はウィレと名付けられ、二人はすくすくと成長した。


しかし、そんなある日、事件が起こった。クロードが五歳となったあとき、悪魔が出現した。

それは、非常に危険な悪魔であった。騎士団の人間は三人死に、父も、胸に深い傷を負った。


家々が燃え、兵士たちは倒れている。

クロードは、倒れ伏す父にすり寄る。そして、父の身をかばう。悪魔は、クロードごと切り捨てようと、剣を構えた。

そのとき、どこからともなく、呼ぶ声が聞こえた。


「我を掲げよ」


クロードはあたりを見回した。すると、父の首から下げられていた十字架のペンダントが彼に語りかけてきたのだ。


「我を掲げよ」


クロードは十字架を掲げた。すると、十字架は光を放った。光に目がくらみ、悪魔は目をかばう。

続けて、十字架はこう言った。


「我を剣に見立て、呪文を唱えよ。――――――大地を照らす十字架の火 暗闇を断つ光の剣」


クロードは、その呪文を唱えた。すると、十字架がまばゆいが光を放つ。その巨大な光は、天にまで届くほど強かった。

クロードは、その剣を振るった。そして、悪魔は真っ二つになり死んだ。



◇◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆◇


明くる日の明け方、王都から兵士たちがやってきた。彼らは、夜空を割く光をみてやってきたのだ。そして、村の惨状を目撃した。

父は教会にて寝込んでいた。父を見て、クロードは、己も剣士になり、村を守ると己に誓いを立てた。一方ウィルは、父を癒やす神父の敬虔な姿を見て、聖職者となり人を癒やすと誓った。


教会の扉が開き、兵士たちが入ってくる。彼は、父の知り合いなのだろうか、単刀直入に父に聞いた。


「フロイド、お前が悪魔を倒したのか」

フロイドは、違うと言った。

「誰が悪魔を倒したんだ」兵士は聞いた

フロイドは、クロードを指さした。


クロードは、ことのあらましを話した。


衛兵長は言った。

「クロード、私が君を鍛えよう」


(イラスト 011 03)


◇◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆◇


師匠は名を名乗らなかった。父も、彼の名を聞くなといった。

しかし、父のふるまいからして、かなり高貴な身分の人間なのだろうと思った。


こうして、クロードは剣を降り出した


千回。万回。十万回。百万回。千万回。幾度となく岩を砕いた。

彼の剣は、どんな風よりも早い。


息子の剣は、近衛騎士であった父の目から見ても、優れている。息子の上達ははやく、騎士団の人間たちをあっという間に打倒した。そして、わずか8つになったときに、すでに師匠の剣に肉薄していた。s



◇◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆◇

師は相変わらず名を名乗らなかった


ひょんなことから師の名前を知る出来事があった


そんなある日、っ出来事がおきた



「ローウェン!」


「なぜここに来た!

「あなたに会いたかっただけなの」


「全て君のためなんだ!」


「すまないクロード、今日見たものは忘れてくれるか」

「そういたします」

「すまない……」



◇◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆◇


ある日、ついにクロードは師匠に勝った。


「私に教えられることは、ここまでだ」そう師匠は言った。そして、クロードの肩を叩いた。


クロードが、いつものように妹からもらった手ぬぐいで顔を拭っていると、気づけば師匠の姿がなかった。見ると、師匠は丘のはるか下を下っていた。

いつの間にか日が暮れてしまった。そのとき、夕闇の向こう側から、一人の人物が歩いてきた。

逆光の中で、彼の姿ははっきりと見ることができなかった。


彼は胸からナイフを取り出した。その先には、小指の長さもないだろう、短い剣先が着いているだけだ。その人物は言った。


「手合わせ願おう」

悪魔はそういった。そしてその小さなナイフを構えた。

クロードは彼をまじまじとみた。次の瞬間、人物は、悪魔の目を見せる

クロードは強い殺気を感じ、剣を構える。2つの切っ先が交わり、衝撃波が周囲を覆う。


こうして、二人の間に幾十もの剣戟が待った。


甲高い剣戟の音に気付いた親父が走ってくる。


「クロード!」父はそう叫ぶと、剣を抜き、猪突猛進してくる。

しかし、悪魔はその剣を軽くいなすと、父に掌底を当てる。父は、ふわりと浮き上がると、草地に倒れ、尻もちを着いた。


「クソ!」


父は言い、そし再び立ち上がろうとする。しかし、クロードは叫ぶ。


「父さん、下がって!」


その言葉を言い終わるまもなく、男は再び剣戟を打ち込んでくる

彼の剣をさばきながら、。しかしクロードは、頭の片隅で別のことを考えている。


「こいつ、傷つける気がないのか」


彼はついさっきの掌底を思い出していた。本来は、拳で父の顎を打ち抜けたはずだ。しかし、彼は父をやさしく振り払った。

この男は、本当に的なのか?

クロードの剣が緩んだことを感じた悪魔は、剣を振るう速度を早める。


「本気を出せ。さっきまでの勢いはどうした?まさか、俺が殺さないと思っているのか?」


つば競り合いの中で、お互いに顔を突き合わせると、悪魔は言った。


「お前が死んで、妹が無事と思うか」


そう言った悪魔の面相は、悪魔だった。

クロードは本気になり、剣を振るう。しかし、この悪魔はやすやすといなす。いくら剣の速度を上げても、追いつけない。

この悪魔の剣は、まるで底が見えない。


僅かな隙に防戦に回ったクロードの剣を、悪魔は捉える。そして、横一線の薙を入れ、剣を断ち切る。


クロードは、剣ごと喉を裂かれたと、クロードは思い込み、喉をさする。しかし、かれの皮膚には、傷一つ入っていない。


いつの間にか、悪魔は殺気を潜めて佇んでいた。


◇◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆◇

悪魔は剣をおろした。そのとき、暗がりの奥から、二人の女が現れる。黒い方の女が言った。


「アスカロン、どうだった」

「リリス様。この者は、億に一人の才かと」

「そうか……貴様はこの者が聖剣に選ばれた勇者だと思うか」

「それは、私が判断するところではありません」

「うむ」


白い服をきた女が、尋ねた。彼女の声音はやさしかった。


「クロード、あなたの誕生日はいつかしら」


クロードが答えずにいると、アスカロンが言った。


「クロード、イブ様の質問に答えよ。貴様の誕生日はいつか」

「8月1日です。王女殿下と同じく」



「あんたちは一体何者だ」







親父が答えた。

なぜ親父が答えたのかとクロードが訝しみ、親父の目線の先を追うと、暗がりの奥から、一人の身なりの良い男がある置いてきた

父は、膝を突いた。


「国王様」


その言葉を聞き、クロードも父に習い、膝をつく。しかし、王はいう


「そうかしこまるでない。クロードよ、試すようなことをして悪かったな。この方たちは、敵ではない。お前を守るために、遠くの国からやって来た。」


◇◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆◇


黒い服の女が前に進み出ていう。


「われは冥王リリス。この者はイブ。この目玉はゼハート。そしてその男は、剣の悪魔アスカロんンなり。

私達は悪魔であったが、救い主の光を見て、善に回帰したものである。

我々がここに来たのは、お前を導き、そして守るためだ」



「お前も予言については知っておろう

光の聖剣に選ばれし

死の魔剣

消された歴史を生き抜いた覇者

無限の叡智を得た賢者


お前こそは、光の聖剣に選ばれし勇者なのだ



「お前もアマンダが襲われたことは知っておろうな。おそらく光の聖剣に選ばれし勇者である貴様を、悪魔たちが狙っている。五年前村を襲い、フロイドに瀕死の手傷を追わせた悪魔もそれだ。

まずお前の剣を鍛える。最初の目標として、建国祭の日に執り行われる武神祭に出場してもらおう」

今日からお前の身は私達が保護することとなった」


女は、剣士を振り向くと、言った。


「アスカロン、このものを鍛えよ」


アスカロンは、剣を構える。クロードは、どうしようか迷う。しかし、親父と目が合うと、彼は頷いた。クロードは、なすがまま、剣を構え、打ち込みを始める。


二人の剣戟を見ながら、王が言う。


「今すぐ光の聖剣に触れさせても良いのでは?

「物事には順序がある。どの道武神祭程度優勝できないようでは、勇者として手折れかと」

「手厳しいですな。あれには国中から最強の剣士が集ってくる大会だというのに……」



◇◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆◇


こうしてクロードは剣を鍛えた。彼の鍛錬を受け、クロードはわずか十歳の若さで、王都の剣術大会に出場した。


相手は、天才剣士として歌われた、ガーランドだった。


彼はその大会で、史上最年少の若さで、優勝を飾った。


クロードは、王に導かれて、歴代の王たちが眠る墓地に案内された。この王墓には、王族以外には立ち入ることは許されていない。王墓の荘厳な佇まいに、クロードは緊張しながら歩いた。


やがて彼らは、墓地の最奥にたどり着いた。そこには、ひときわ大きな墓石が鎮座している。それは、ロードランの開祖、ロキの墓だった。


(イラスト 011 04)


ロキの墓の手前には、ひとつの白い岩が露頭しており、その岩には一本の古剣が突き刺さっていた。


その剣は、今から二千年前、かつて救い主とともに戦った十二人の王のために、天使ザビエルから地上に託された十二の神器のうちのひとつ、”宝剣ドレッドノート”だった。


ロキは一つの遺言を遺していた。この剣を抜くものこそ、かつての自分と同じように、世界を救う力を持つものであると。


歴代の王たちがこの剣の柄に手を掛け、引き抜こうとした。しかし誰一人として、岩から剣を抜くことができなかった。


クロードは岩にまたがり、力を込めた。すると、剣は驚くほど簡単に岩から抜き放たれ、彼は勢い余って岩から転げ落ち、地面に尻餅をついた。彼が尻をさすりながら剣を見上げると、その刀身はあたかも今磨かれたばかりかのように、白く光り輝いていた。


王たちは驚嘆した。彼らはクロードの強さに期待しつつも、やはり剣を抜くことはできないだろうと諦めていたのだ。それが今や、二千年もの間一度として抜かれることのなかった剣が、この年若い少年に簡単に抜かれてしまったのだ。


やがて、彼が王女と同じ日に生誕したことが知れると、王たちは沸き立った。クロードこそが、神が遣わすという五人の使徒の一人、皇の宝剣に選ばれし勇者に違いない。

この知らせもまた、王女生誕の知らせと同じく、一日で国中を駆け巡った。



◇◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆◇




クロードは、王族の学校に通うこととなった。彼はそこで、アマンアとその学友たちと親睦を深めた。彼は、護衛として、また騎士として、アマンダにつき従った。そうして月日が流れた。


学校では、多くの友達ができた。

彼らは騎士も多い

クロードは、自らの剣で彼らを導いた。




◇◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆◇


隠し立てをする間柄とは、思いませんでしたな」



貴様は、光の聖剣に獲選ばれた勇者だ

我々は、、死の魔剣に選ばれし冥者を探す

「わかりました


こうして、




そうしてアマンダとクロードが生誕してから10年お月日が流れた。

やがて手がmが届いた。


黒いカラスと、茶色い鷹が、同時に時計塔にきた 


二人は、同時に手紙を開き、読み始める。



西の果、ワルサーの地において、死の魔剣に誘われしものが見つかった

名をサウザーという。サウザーは王子な、誕生日は8月1日

ワルサーの地にも、神の託宣は行われた。すなわち、適合者であると思われる



読むぞ



「エルドランよ、たった今、使いから手紙が届いた。死の魔剣に誘われし冥者が見つかったと


これから、クロードとともに旅に向かうことにする


◇◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆◇

クロードよ、報せがある。予言の使徒のうち闇の魔剣に誘われし冥者がみつかった

お前にはこれから東へのたびに同伴してもらいたい。ただしそれは実力が伴っていればの話だ


貴様が武神祭で優勝してから二年がたった。鍛錬の成果を見せてもらおう


、クロード、剣を抜け



アスカロン、クロードを殺せ



クロードは、両腕を落とされるも、アスカロンの頬に傷をいれる。



強くなったな




◇◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆◇







港にて


「では、いってまいります」


学友が、見送りに来ていた。


王女も前に進み出る


「生きて帰ってkてね

「ええ、



「お兄様」

「うん」



アマンダは、クロードの頬にキスをする。そして、船は港を発った。















◇◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆◇



さて、これらのことが起こっている間にも、冒険者による東の海の探索は進んでいた。彼らは地図にない島を渡り、遥かなる大海を越え、ついには新たなる世界と邂逅を果たした。その世界は、アストレアと呼ばれていた。


ロードランの属する西のシネア大陸と、東のアストレア大陸とは、あまりにも広大な海で隔てられていた。そこでふたつの大陸は、その中間に位置するイスガルデ諸島を拠点として、交流を深めるようになった。


イスガルデには多くの貿易船が行き交い、また商人や冒険者たちも、イスガルデを中心として新しい航路を切り開いていった。


だがその繁栄も長くは続かなかった。いまから三年前、このイスガルデ諸島が、”贄の大悪魔”オラクスに襲撃されたのだ。

オラクスは街を破壊した。彼は人々の命を容赦なく奪い、港を焼き払うと、王女を人質に取り、火山島の火口に築かせた塔の中に幽閉した。




王子ローウェンのもと、オラクス討伐のために軍が組織された。この軍に、あまたの冒険者が参加した。クロードや、高名な魔法使いであるオリオンも、この討伐軍に加わった。


(イラスト 011 05)


そしてイスガルデにおいて、二年に渡る長き戦いがあった。激しい戦いの中、多くの戦士たちが戦場に散っていった。しかし、ローウェンたちは、戦いを続けた。そしてついに、彼らは悪魔の軍勢を打ち破った。


オラクスは、火山島の火口に建てた塔の中に逃げ込んだ。ローウェンたちは、ひるむことなく塔に突撃を敢行した。

ここでもまた激しい戦いがあった。多くの戦士が死に、ローウェンもまた戦場に散った。しかし、クロードは残った仲間たちと共にオラクスを討ち、見事勝利を収めた。


(イラスト 011 07)


オラクス討伐の知らせは、すぐに国に届いた。多くの国民が、クロードの勇気を称え、祝福した。

戦いから三ヶ月がたち、帰路についたクロードたちがローゼンハイムの港に入ると、多くの国民が彼を祝福するため港で出迎えた。クロードがオラクスの頭蓋骨を高々と頭上に掲げると、群衆はさらなる歓声で応えた。

王もまた、アマンダとともに港に出向き、クロードを迎えた。王はその場で、クロードとアマンダの婚姻、そして十字軍の結成を宣言した。


明くる日、ロードランの首都ローゼンハイムにて、勇者たちの凱旋式が盛大に催されることとなった。街は花々で彩られ、人々は通りに出て、歓喜の歌声を上げていた……



◇◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆◇







エルドラン。貴様は死の魔剣シャンクスの在処を知っておろう。それをよこせ


「どうなさるおつもりなのですか」

「シャンクスを西の地まで持っていく。そして、適合者であるか見る」

「できませぬ」


貴様、シャンクスを隠しているな。


大方鉛の箱にでも入れて封じておるのだろうが・・…


「エルドラン。」


「リリス様。私には私の計画があります」


「ではリリス様は、私に隠した計画がないと?

「貴様立場をわかっていないのか」


「エルドラン。まさか自我ではあるまいな」それともお前、自我でも持っているのか

「まさか開祖ロキの命にそむくはずはありませn

「ただひとつ開祖の命令より優先されるのものがあるなら・・・

申してみよ

「アマンダの命です」



神と、救い主様かと


よかろう


ふざけた男だ

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