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守らなければならないもの

次に俺が目覚めたのは、木目調の天井だった。


「やっと、お目覚めしましたか」


「こ、ここは……」


横には、穏やかな笑みを浮かべるエリナさんがいた。


(そうか……俺は、意識を失って)


「本当に良かったです。一時はどうなるかと」


どうやら、無事に村は守られたようだ。


「ありがとうございます。村を守っていただいて」


エリナさんは深々と頭を下げた。


「頭を上げてください。俺は大丈夫です。村の皆が無事で何よりです」


そう言うと、エリナさんの表情が安堵に変わり、ふっと微笑んだ。


「では、茂夫さんの食事を用意してきますね」


「そういえば……俺、名乗ってなかったですよね?」


「お父さんから聞きました。正直、少し警戒していましたけど」


「すみません、変なよそ者で」


「いいんですよ。それに、今では村中が茂夫さんに感謝しています」


くすっと笑ったエリナさんは、部屋を出ていった。


入れ替わるように、ティアが部屋に入ってくる。


「……茂夫」


その表情は、普段より少しだけ硬かった。


「まったく……死んだらどうしようかと思ったわよ」


いつもの軽口交じりの口調。けれど、その目は赤く、声も微かに震えていた。


「ティア、どうした? もしかして……泣きそうに」


「なったわよ! 茂夫のことと……私の邪念にね!」


ティアの声が大きく響く。


「邪念……? どういう意味だ?」


俺は優しく問いかけた。


「体力増強……少しだけ弱めにかけてたのよ。圧勝だと面白くないと思って……遊び半分で」


額を抑え、ティアは震える声で謝った。


「そんなことで泣くなよ。体力増強がなかったら、俺はきっと死んでた。感謝してるんだ。本当に……ありがとう」


ティアがいなければ、俺は何もできなかった。逃げることすらできなかっただろう。


「でも……もしも、何かあったらって……!」


(ティア……俺のこと、こんなにも心配してくれていたんだ)


少し戸惑ったが、心の奥では嬉しかった。




やがてティアが落ち着いたので、俺は尋ねた。


「そういえば、誰が俺をここまで運んでくれたんだ?」


「ヘルタさんとエリナさんよ」


「ありがとう……ヘルタさん、エリナさん」


心の中で感謝を伝えた。


軽くティアと会話していると、ドアがノックされた。


「茂夫さんの食事をお持ちしました。ご体調はいかがですか?」


「ありがとうございます。だいぶ楽になりました」


「それは良かったです。一応、お粥を用意しました」


盆に乗せられた湯気の立つお粥には、細かく刻まれたゴブリン肉が添えられていた。


(まさか体調まで考えて、献立を……エリナさん、優しすぎる)


俺はその優しさを噛み締めながら、深く頭を下げた。


「いただきます」


一口食べると、ちょうど良い水分と米の甘みが口に広がり、ゴブリン肉が意外にもいい味を出していた。


「お、美味しい……」


「お口に合って良かったです。やっぱり、弱っているときはお米が一番ですから」


そう言うと、エリナさんはふわりと笑った。

今回ちょっと文章少なめです。

次の次くらいには、アリナ村を出たいですね〜

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