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詰んだかもしれない件について

作者: 下菊みこと

1:名無し

お前らの意見を聞きたい


2:名無し

意見を聞きたいならさっさとスペックとコテハンと相談内容書けや


3:名無し

この時点でもう無能


4:名無し 

さっさとせいや


5:無能


フェイク込み。


国:アルビオン

爵位:一応上位貴族って扱いになるのかな

家族:両親と兄と妹

婚約者:上位貴族の姫君

相談:婚約者に捨てられるかもしれない


6:名無し

え?なに?なんで捨てられそうなの?


7:名無し

お前がなんかやらかしたんか


8:無能

俺の幼馴染が家族からの虐待を耐えかねて俺に頼ってきて…両親に無理に頼み込んで幼馴染を屋敷に泊めてたんだけど、それを婚約者に詰られて…俺を疑うのかって怒鳴ったら、なんか婚約者がそれ以降ずっと変で…


9:名無し

お前がクズやんけ


10:名無し

ご家族さんはなんて?


11:無能

妹は幼馴染を屋敷に泊めてくれって頼んだ時は「兄様正気なの!?」って反対してて、今はそれ見たことかって感じ。ぶっちゃけ母もそんな反応で、父と兄はやっぱり母の言うこと聞いときゃ良かったと頭を抱えてる


12:名無し

だろうな


13:名無し

それ以降変ってなに?


14:無能

なんか…前の姫さんは天真爛漫で、喜怒哀楽の表現がはっきりした感じだったんだけど…今は、ずっと微笑んでる。


俺が何を言っても何をしても微笑んで、文句も言わない。


その微笑みが、俺を拒絶するものにしか見えないんだ。


15:名無し

完璧に嫌われてるやん


16:名無し

詰んだよ、それもう。

大体婚約者にそこで怒鳴る時点でバカやん。

コテハン通り無能やんか。


17:無能

もう無理?信じてもらえない?俺別に幼馴染に下心とかないんだけど。無理だとしてどうしたらいいの。俺別れるとかやだよ。


18:名無し

いや、やだよじゃねーよ。姫君のご家族から婚約の破棄か白紙化の申し出があったからお前の父君が頭抱えてんじゃねーの?


19:無能

いや、でも、俺が婚約者を引き止められたらなんとかならん?


20:名無し

ならん


21:曽祖父のやらかし

ごめん。


ちょっと長文になるけど、お前には必要な話だと思うから付き合え。


俺には曽祖父がいたんだが、曽祖父には可哀想な境遇の幼馴染がいた。曽祖父は幼馴染が大人同士のいざこざに巻き込まれるのを可哀想に思い、幼馴染を大層大事にした。


それをよく思わなかったのは曽祖母。曽祖母は曽祖父に言ったんだ。


「幼馴染と私とどちらが大事なんですか」


曽祖父は言った。


「僕を疑うのか!」


怒鳴られた曽祖母は、その瞬間熱が冷めたそうだ。


恋の熱も、怒りの熱も。


曽祖母は曽祖父に、それ以降何も言わなくなった。


常に微笑んでただ側にいるだけ。


今のお前の婚約者と同じ対応だな。


いくら曽祖父が曽祖母とデートしようとしても、ただ微笑んで隣にいるだけでまともな会話もなく。


いくら曽祖父が曽祖母にプレゼントを贈っても、ただ微笑んで受け取らない。


完全な拒絶だ。


でも、曽祖母は家のために曽祖父との結婚は受け入れた。


子供も生んだ。


けれど、曽祖父とはコミュニケーションは皆無で微笑むだけ。


幸い子供たち…祖父たちのことは心から愛していたらしいが。


そして祖父や祖父の姉や妹がある程度の年齢になった時、曽祖父はこの話を祖父や祖父の姉や妹にしたそうだ。


祖父は曽祖母も可哀想だが、仕返しにしてはやり過ぎ…と思ったそうだ。


しかし祖父の姉や妹は「父様が悪い」「母様可哀想」「父様は母様に近寄らないで」と言った。


そんな姉や妹の反応を見て、祖父は心に決めたらしい。


「これからは婚約者ファーストで行こう」


祖父は祖母とラブラブだ。


同じく祖父からその話を姉と聞いて、姉の反応を見た父も「婚約者ファースト」を掲げて母とラブラブだ。


同じく父からその話を聞いて、妹の曽祖父への口汚い罵倒…もう本人は天国だから許してくれ…を聞いた俺も「婚約者ファースト」を掲げて、今のところめちゃくちゃラブラブだ。


つまり、何が言いたいかというと。


お前の家の方が立場が上なら婚約を続けられるかもしれないが、その先は地獄だぞ。


そして多分、書き方的に相手の家が上だろ?間違いなく捨てられる、あきらめろん。


22:名無し

マジで長文だった


23:名無し

笑えない話だなぁ


24:名無し

男女の認識の違い…?シタとサレの認識の違い…?


25:無能

いや、シタとサレって…不倫じゃないし、浮気でもないし…


26:名無し

そこも含めて認識の違いなんやろ


27:名無し

姫君はサレたと思ってんねん


28:名無し

もう姫君から拒絶されてるのが答えやん


29:曽祖父のやらかし

お前俺の書いた話みた?お前と姫君の認識はまったく違うんだよ、諦めろって


30:無能

でも理不尽じゃない?


31:名無し

理不尽を受けたのはお前に怒鳴られた姫君


32:名無し

もう無理だって、諦めろ


33:無能

女ってみんなそんな被害者マインドなの?


34:名無し

私は女だけど泊めただけならそこまで拒絶はしないかもしれない。泊めただけなら。


でも泊めただけの証明なんて誰がしてくれるの?


35:名無し

俺は男だけど姫君の気持ちわかるなぁ。


もし自分がさ、姫君が屋敷に他の年頃の男泊めてたらやじゃない?


36:無能

やだ…


37:曽祖父のやらかし

嫌なんじゃん…


38:無能

…姫君は美女で、才女で、天真爛漫で、自慢の婚約者なんだ。他の男とお近付きになるとかやだ。


39:名無し

お前もしかして、姫君に劣等感があってわざと幼馴染を屋敷に泊めた?嫉妬して欲しかったとか?それとも幼馴染に頼られて、劣等感が払拭される気がして、そのまま良い気になっちゃった?


40:名無し

>>39 ありそう


41:名無し

やば…え、ちょっと、マジかよ…この男クズやん


42:無能

>>39 その通りです…両方です…


43:名無し

嫉妬して欲しかったとか言うなら嫉妬されて怒鳴んなアホ!


44:名無し

マジモンのクズやん…こわ…


45:名無し

あー…まじかぁ…これは救えませんわ


46:名無し

姫君逃げてー!こんな下衆と結婚しちゃダメー!!!


47:無能

…俺、どこで間違えたんだろう。本当にもうダメ?無理?


48:名無し

無理


49:名無し

無理


50:名無し

無理


51:名無し

…名無しに戻ります。皆様ありがとうございました。姫君に誠心誠意謝罪してお別れします。


俺は出家するなり色々模索します。クズなりに、更生できるよう頑張ります。


さようなら。


52:曽祖父のやらかし

急に素直になって去っていった…なんなんだ…


53:名無し

お前の曽祖父の体験談でちょこっと冷静になったんじゃない?


54:曽祖父のやらかし

それなら書いた甲斐はあるけど


55:名無し

しかし姫君も婚約者に恵まれず可哀想に


56:名無し

姫君のスペックが高そうなのがまた悲劇というか


57:名無し

姫君は悪くないと思うけどな


58:曽祖父のやらかし

まあ、本人も反省して消えたところで解散かな


59:名無し

続報なさそうだしなぁ


60:名無し

こんなクソスレに付き合ってやったみんなおつー


61:名無し

おつー


62:名無し

はい、かいさーん
























「ねぇ、アルフレッド。このスレ、わたくしのお話かしら?」


「はい?………なるほど、時期的にもお嬢様のお話でしょうね」


「ふふ、この間婚約の解消を向こうから申し出られて慰謝料まで用意してあったからなにかしらと思っていたのだけれど…このスレの人たちには感謝しなくちゃね?特にこの曽祖父のやらかしさんには」


「……」


「でも、ふふ。このお話、どこかで聞いたことがある気がするわ。いつだったか、うちの執事にそんなお話を聞いた気がするのだけれど」


お嬢様はクスクスと笑った。


私が「曽祖父のやらかし」という人物だと…そう思っていらっしゃるのだろう。


そしてそれは当たりだ。


お嬢様は本当に、鋭くていらっしゃる。


そんなお嬢様が微笑みを固定するのをやめて、また表情のコロコロ変わるお嬢様に戻ったのだからやった甲斐はあるが。


「………さて、なんのお話でしょうね。私は知りませんね」


「あらそう?それは残念」


スレを見つけたのは偶然だが、あの男を改心させることができてよかった。


結局あの男は出家した。


あの男は本当に心を入れ替えたようで、憑き物が落ちたように清廉な神父となったらしい。


貧困地区の神父として、貧困に喘ぐ人々を助けているのだとか。


そしてお嬢様は悪い男と縁が切れて表情が明るくなり、新しい婚約者は決まっていないが女公爵となるべく頑張っていらっしゃる。


「ねえ。貴方だけはわたくしを裏切らないでね」


「もちろんです、命をかけて貴女を支え続けます」


「ふふ」


微笑むお嬢様は可愛らしい。


でも、笑顔から表情を変えられなくなるのはもうこりごりだ。


これからは、悪い男はお嬢様には近付けない。


私がお嬢様を守るのだ。


「でも、まあ。わたくしが女公爵になる踏ん切りをつけてくれたことは、彼に感謝しているけれど」


「そうですね」


お嬢様は今、頑張って当主様から色々なことを学んでいらっしゃる。


才女であるお嬢様は、スルスルと色々な知識を吸収している。


間違いなく最高の女公爵となるだろう。


あの男が公爵家の婿養子となるより余程良い。


「あとは婚約者だけね」


「きっと当主様が素晴らしい相手を選んでくださいますよ」


「そうね。でも、わたくし…例えば、男爵家出身の次男で、実は婚約者なんていないくせに婚約者とラブラブだとか言っちゃう人もいいと思うのよ」


「…お嬢様」


「ま、最終的にはお父様の決めることだけれどね」


私のお嬢様は、天真爛漫で、美女で、才女で、そしてちょっぴり小悪魔さんだ。

ここまでお付き合い頂きありがとうございました!


楽しんでいただけていれば幸いです!


下のランキングタグに連載作品いくつかのリンク貼ってます!


よろしければご覧ください!

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[良い点] イイハナシダナー…(貧困層に尽くしているという点が特に…) この場合の >>1って、ミステリでいう「信用できない語り手」みたいなもんで、滞在場所を提供してただけ、だったら「姫君」は貼り付…
[良い点] 婚約者さん、姫君が男の幼馴染を家に泊めてたら嫌って言ってたけど、姫君の名誉の為に言わなかっただけでそれって姫君がずっと側に置いてて密かに恋をしていた執事くんの事を指しているのかな?って思わ…
[良い点] 異世界掲示板面白かったw [気になる点] 幼馴染は兄や妹にとっても幼馴染だと思うので、家族もいる家に泊めているだけでは姫君が怒るとも思えない。 それ以外にもデートに連れていくとか、2人の茶…
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