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手を取れ、手を離せ。  作者: ホロウ・シカエルボク
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6

正解、とユカさんは満面の笑みで数回拍手をした。

「あなたのそれは霊感?」

どうでしょう、とわたし。

「霊感のようなもの…まあ霊感で良いです、霊を感じているわけだし。」

「霊能者なの?」

「くくりは一緒ですかね。手段は違いますけど。」

へぇ、と、ユカさんは好奇心旺盛な表情で答えた。

「どういう手段なの?」

「グイグイ来ますね。」

言ったでしょ、とユカ。

「あなたは凄く興味深いのよ、わたしにとって。」

わたしは肩をすくめて自分の仕事を説明した。

「見てみたいわ、それ―見れないかな?」

まあ、人に見せたことはないけれど、とわたし。

「依頼人が肝要な方なら、同行するのは構わないですよ…霊を見ることが出来るの?」

見えない、とユカさんは言った。見えんのかい、と思わずツッコンだ。

「いいツッコミするわね。」

あれ?つい最近同じようなことがあった気がする。わたしは記憶をクルクルと巻き戻した。

「お友達にランさんという綺麗な女性がいらっしゃる?」

彼女を知ってるの?と、ユカさんは今日一嬉しそうな顔をした。それから、あ、いや待って待って…と、どっかの名探偵みたいなポーズで記憶を巻き戻した。

「ランが温泉で会った…日向さん?」

「そうです。」

こんなことってあるのね、とユカは目をぐるぐる回しながら言った。

「あなたに連絡しなくちゃ、って言ってたわよ、彼女。でもいまは、ちょっと研究が忙しくてね…。没頭するタイプだから終わるまで忘れてるんじゃないかな。」

「研究?」

薬の研究、とユカ。

「彼女は薬の研究所のそばでずっと生きていたから、薬の知識が凄いのよ。それで、独自にいろいろな薬を作っているの。もちろん公表出来るようなものじゃないけどね。知的好奇心の塊よ。」

あの気品は知識量から来るものなのか、とわたしは納得した。

「まさかこんなところで会うなんてね…この辺に住んでるの?」

「ここから半時間くらいの街の中ですね。」

そうかー、とユカさんはニコニコしながら頷いた。なんだか朗らかな人だな、とわたしは思った。

「それで、ユカさんはどうしてここに?」

忘れてた、とユカさんは真面目な顔になった。

「住職さんに用があって。」

「今日は来客の予定はない、って仰ってましたけど。」

「いきなり行くのマズいかなぁ?」

「マズくはないと思いますが…なんなら同行しましょうか?わたし、顔パスなんで。」

「本当に何者なのよ、あなた。」

わたしは笑って、こう答えた。

「まぁ…門下生みたいなもんです。」


というわけでわたしたちは寺へと舞い戻った。電動自転車の二人乗りって違反なのかしら?


わたしたちがお寺の前に着くと、住職さんは庭を掃除しているところだった。

「どうされました?」

すみません、とわたしはまず詫びた。

「こちらの方がお寺に用があるとのことで。」

住職さんはユカさんを見て一瞬、怪訝な表情を浮かべた。でもそれは、すぐに柔和な表情の後ろに隠れた。

「どういったご用件で。」

ユカさんは丁寧に一礼して、こう言った。

「わたしはユカと申します。探偵をやっています。島田健司さんと仕事をしておりました。」

住職さんは思いもよらぬ名を聞いたという風に、目を細めた。

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