第6話 いざギルドへ!
マリー「ふぅ……やっと荷物が下ろせた……」
エイド「うわぁ、ベットふかふかぁ……」
2人は自分達の部屋に着くと、マリーは荷物を床に下ろして椅子に座り(ローブも脱いでいる)、エイドはベットに横になっていた。
※ローブを脱いだマリーは白の半袖のシャツの上に水色のベストと手にはグローブをつけていて、下はホットパンツにブーツを履いている。
マリー「もう少し休んでいたいけど、そろそろギルドに行くかぁ……」
マリー「エイドはどうする? ここに居る?」
エイド「うーん、僕も一緒に行こうかな……」
マリー「良し、じゃあ早速行こう!」
2人は必要最低限のものだけを持ち、部屋に鍵をかけて1階に降りた。
店主「おや、どこかに行くのかい?」
マリー「ギルドに行って良い依頼が無いか探そうと思って」
店主「そうかい、それじゃあ気をつけてね」
店主は笑顔で2人を送った。
マリー「〜♪ うん? あの店は……エイド、ちょっとあそこに寄りましょう」
エイド「? わかった」
2人がギルドに向かって歩いているとその途中、一軒の店が目に入った。その店というのは
店員「いらっしゃいませー!」
マリー「ほうほう、なかなか沢山の服が揃ってるわね」
エイド「ここは……?」
そう、服屋だった。マリーはここでエイドの服を買うつもりで寄ったのだ。
マリー「ここでエイドの服を買おうと思って。その服じゃ目立つでしょ?」
エイド「本当に良いの!?」
マリー「ふふん、マリーお姉ちゃんに任せなさい」
マリー(お父さんとお母さんから貰ったお金はまだ少し残ってるし、服ぐらいなら……)
店員「本日はどのようなご用でしょうか?」
マリー「この子の服を買いに来たんだけど、良いのある?」
店員「承知しました、ではまず採寸の方を……」
採寸が終わった後、店員はエイドのサイズに合う服を何着か持ってきて、エイドに着せて行った。
エイド「これが良いかな?」
マリー「本当にそれで良いの?」
エイド「うん!」
最終的にエイドが選んだ服は、なんの変哲も無い、一般的な子供が着るものと同じだった。黒のインナーの上に白の長袖のシャツ、下は黒の長ズボン。唯一違うとすれば、機械の手を完全に隠せるように手袋をしている所だろう。
マリー「もっとオシャレなのもあったのに……」
エイド「これが良い……白と黒は……博士を思い出すから……」
マリー「……」
エイド「博士、良くこの色の服着てたんだ……」
エイドは遠く離れた博士を思い出せるこの色が良いとマリーに言った。
マリー(そりゃ寂しいよね……こんなに小さいのに離ればなれになって……)
マリー「そろそろ行きましょうか?」
エイド「うん!」
2人はは会計を済ませて、再びギルドに向かって歩き出した。
マリー「ここみたいね」
ガチャ
受付嬢「ようこそ、冒険者ギルドへ!」
扉を開けるとカウンターにいる受付嬢が元気よく挨拶をしてきた。
ガヤガヤ……
周りには大勢の冒険者が居て、ある者は依頼が貼ってある掲示板を眺め、ある者はテーブルで食事をしていた。
マリー「依頼は……」
エイド「良いお仕事あった?」
マリー「うーん、今は無さそうね……」
マリーが掲示板の方に移動して依頼を確認したが、報酬の良い依頼はなかった。
マリー「うーん、今日ののところは帰りましょうか。エイド、帰るわよ……あれ?」
ふとエイドがいたところを見るがどこにも姿がない。
マリー「エイド? どこに行ったの?」
酔っ払い「ここはお前みたいなガキがうろつく場所じゃねぇ!」
エイド「えっ……そんなこと言われても……」
マリー「エイド!?」
エイドの声がする方を見てみると、1人の男がエイドを怒鳴りつけて《どなりつけて》いるのを見つけた。どうやら男は相当酔っ払っているようだ。
マリー「エイド! 大丈夫!?」
エイド「マリーお姉ちゃん!」
マリーがエイドに急いで駆け寄ると、エイドは今にも泣き出しそうな顔でマリーに抱きついた。
酔っ払い「お前か!? ガキをここに連れて来たのは!」
マリー「ヒッ……」
マリーは酔っ払いのあまりの気迫に少し怯んでしまい、目は涙で潤んでいた。
エイド「……!」
マリーのその様子を見たエイドは酔っ払いを睨みつけた。
酔っ払い「あぁん? なんだガキ? そんなに睨みつけて」
エイド「マリーお姉ちゃんをいじめるな!」
酔っ払い「なんだと……?」
マリー「エイド!」
エイド「マリーお姉ちゃんを泣かせるな!」
エイドは酔っ払いの目の前まで行ってさらに鋭く酔っ払いを睨みつけた。
酔っ払い「おいガキ、あんまり俺を怒らせるなよ……」
エイド「……」
酔っ払いはエイドを睨みつけたが、エイドは変わらず酔っ払いを睨み続けた。
酔っ払い「良いだろう……そんなにヤられたけりゃ……」
酔っ払いは自分の腕を振り上げると……
酔っ払い「ヤってやるよッ!」
エイドに向かって思いっきり振り下ろした!
マリー「エイドォ!」
エイド「ッ!」
エイドは自分に向かってくる腕に向かって自分の腕を突き出した。すると
ガンッ!
マリー「……!」
マリーは2人の拳がぶつかる直前に目を瞑ってしまった。そしてそのすぐ後に鈍い音が聞こえると、マリーの頭にエイドが殴られて体中がボロボロになって倒れている風景がよぎった。顔が一種で真っ青になる。エイドを確認するために恐る恐る目を開けるとそこには……
酔っ払い「なんだと……!?」
酔っ払いの拳を自分の拳で受け止めているエイドの姿があった。
ガシッ!
エイドは酔っ払いの腕を掴むと
エイド「マリーお姉ちゃんを……」
エイド「泣かせるなぁ!」
そのまま上手投げの要領で投げ飛ばした!
ドターン!
酔っ払いは地面に叩きつけられ、完全に気を失ってしまった。
「……」
周りでことの成り行きを見守っていた冒険者達は信じられないものをみるような顔で立っていた。自分の何倍もある大人の男を、小さな子供が投げ飛ばした状況に理解が追いつかなかった。
マリー「エイド!」
エイド「マリーお姉ちゃん!」
マリー「大丈夫!? どこも怪我してない?」
エイド「うん、大丈夫! 僕よりもお姉ちゃんは大丈夫?」
マリー「大丈夫だけど……あんな無茶なことしちゃダメでしょ!?」
エイド「うっ……ごめんなさい……マリーお姉ちゃんを泣かせたあの人が許せなくて……」
マリー「……」
マリーは自分を思ってくれたエイドの行動に、複雑な心境だった。
エイド「他の人も……ごめんなさい……」
エイドはギルドにいる全員に対して頭を下げて謝罪した。すると
ウワァァァ!
エイド「!」
ギルドにいる冒険者達全員が歓声を上げた。
「良いぞ坊主!ねえちゃんのために頑張ったな!」
「子供のくせにやるじゃん!」
「さっきのお前、最高にカッコよかったぞ!」
エイドのマリーを思った行動は、冒険者達の心を燃やしたらしい。
エイド「えっと、えへへ///」
マリー「もう……絶対にあんなこと2度としちゃダメだからね!」
エイド「うん……」
マリー「……でも、私の為にありがとう……」
エイド「……! うん!」
こうして2人は宿屋へと帰って行った。2人が帰った後、ギルドがエイドの話で持ちきりだったのは、言うまでもない。
この時誰も気づいていなかった、エイドが酔っ払いを睨みつけた時、エイドの目が一瞬真っ赤に変わっていたことを……
マリーはライザのアトリエのライザにインスピレーションを受けてます。優しいお姉さんを書こうとしたら真っ先に浮かんだのがライザなので……
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