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第2話 出会い

 ドタン!

 

 エイド「いったぁ……」

 ゲートを通って別世界へ来たエイドだったが、ゲートの出口が空中に開いていたためそのまま落ちて尻餅をついてしまった。

 エイド「ここ、どこだろう……博士ぇ……」

 今エイドが居るのはどこかの道の脇。辺りを見回すが周りが林になっているせいでよく見えない。

 エイドはひとまず近くにある木の根元に腰を下ろした。

 エイド「僕、これからどうしたら……」

 今にも泣き出しそうな顔を浮かべるエイド。

 

 キョロキョロ


 エイドは辺りをもう一度見回すが特に何も無さそうだった、しかし


 ガサガサ


 エイド「!」

 

 木の上から何か音がした、エイドはゆっくり音のした方を見るとそこには


 エイド「リスだ!」

 そこには枝の上からこちらを見るリスがいた。

 エイド「こっちにおいでー」

 エイドはリスに両手を伸ばし、こちらに来るように促した、するとリスはエイドの腕に飛びついてきた。

 エイド「うわぁー! 本物のリスだ! 本や写真でしか見たことなかったけど、凄く可愛いなぁ」

 エイドは初めて見るリスにとても興奮していた、その姿は無邪気な子供そのもの。

 エイド「初めましてリスさん、僕エイド、よろしくね!」

 リスはエイドの方を暫く見つめると、腕をのぼって肩に乗ってきた。

 エイド「うふふ、本当に可愛いなぁ……博士に飼えないか聞いて……あっ……」

 エイドはそこまで言うと今の自分の状況を思い出し、俯いてしまった。

 エイド「博士……」

 今までずっと一緒にいた博士と離ればなれになるというのは、幼いエイドにはとても耐えられることでは無かった。

 そのまま暫く俯いていると

 ???「君、大丈夫?」

 エイド「!」

 エイドが顔を上げるとそこには、1人の女性が立っていた。

 ???「君みたいな小さな子がこんなところに1人でいるなんて……お父さんとお母さんは?」

 目の前にいる女性は茶髪のボブカットに、茶色のローブを着ていた。

 エイド「お姉さん、誰……?」

 ???「私はマリー!色々なところを旅してる、所謂冒険者ってやつ!」

 マリー「それで君は?さっきも聞いたけど、こんなところで1人何してるの?」

 マリーはしゃがみ込んで、エイドと目線を同じ高さまで落としてエイドと話した。

 エイド「え、えっと僕……」

 マリー「?」

 エイド「は、博士と離ればなれになっちゃって……」

 マリー「博士? 博士って君の家族?迷子になっちゃったの?」

 エイド「うん、お母さん……でも、迷子じゃないの……」

 マリー「迷子じゃない? どういうこと?」

 エイド「えっと、その……うぅ……」

 マリーの質問に答えようとすると今の状況を嫌でも思い出してしまう、その結果

 エイド「うえぇぇん!」

 マリー「ちょっと大丈夫!?」

 エイドは泣き出してしまった。

 マリー「大丈夫だよ! ほら泣かない泣かない!」

 マリーはエイドを抱きしめると、背中をさすり頭を撫でて宥めた。そのおかげかすぐにエイドは泣き止んだ。

 マリー「大丈夫?」

 エイド「うん……」

 マリー「それじゃ何があったか話せる?」

 エイドは頷くと、今までのことを話した。施設から逃げてきたこと、ゲートを通って別世界から来たこと、ゲートの接続を切る為にあちらの世界に博士が残ったこと。すると

 マリー「ちょっと待って! 話に追いついて行けない! 施設から逃げてきたって? ゲートを通って別世界から来たってどういうこと!?」

 当然の反応だった。急にそんな話をされても、こちらの世界の人間が理解できるはずもない。

 マリー(でもこの子が嘘を吐いているようにも見えないし……)

 マリーはエイドが本当のことを言っていると思いはしていたが、そうなると余計に話しがわからなくなる。「別の世界から来た」など、簡単に信じれる話ではない。

 エイド「僕にもよくわからないの……怖い人たちが僕の体に何かしたんだけど、そこに博士が助けに来てくれて、そのまま……」

 エイド自身にも、施設で自分が何をされたのかは分からず、なぜ追われる身になったのかはわからない。一つだけわかっているのは、自分は絶対に追っ手に捕まってはいけないということだけだった。

 マリー「体に何かされたって……!」

 マリーはそこで初めて気づいた、エイドの両手足のことに。

 マリー「何かされたって、これのこと!?」

 エイド「違うよ? 僕の手と足は前からこうだよ?」

 マリー「前から……?」

 マリーはエイドの手足のことを言っていると思ったが、エイドが言うにはこの手足は元かららしい。だが、それならこの金属でできた手足は何なのかについて考え出した。

 マリー(魔力で動かす義手と義足……? でもあれは使う本人に魔力が無ければ使えないし……何よりそんな魔力をこの子が持ってるようには……)

 マリーはエイドの手足について色々と考えていたが、答えは出ずにいた。そんな時

 エイド「ねぇ、お姉ちゃんは冒険者なんでしょ?」

 マリー「そうだよ、まぁまだまだ未熟者って言われるんでだけどねぇ……」

 エイド「そうなんだ……ねぇ、僕お姉ちゃんに着いて行っても良い?」

 マリー「えぇ!?」

 エイド「僕このままじゃ博士に会えない……でも僕はまた博士に会いたい! お姉ちゃんに着いて行ったらもしかしたら、博士と会う方法が見つかるかも……だから!」

 マリーはエイドの意外なことを言い出したので驚いた。エイドのような子供が自分に着いて来るなど、普通ではない。

 マリー「良い? 旅ってのは危険が一杯なんだよ?君みたいな小さくて非力な子、モンスターにやられちゃうかもよ?」

 エイド「大丈夫! 僕とっても力持ちだよ!」

 そう言うとエイドは立ち上がり背後の木に向き直った。

 マリー「いやいや、君みたいな子供の力じゃ旅は無理……え?」

 マリーは信じられない光景を見た。目の前でエイドが木を根元から引っこ抜き、両手で抱えている。

 エイド「どう? 凄いでしょ!」

 エイドはニコニコしながらマリーに言った。

 マリー「……」

 エイド「? マリーお姉ちゃん?」

 マリー「す……」

 エイド「す?」

 マリー「凄いよ!」

 エイド「!」

 マリーはそう言うと凄まじい速さでエイドに近づいた。

 マリー「木をこんな風に引っこ抜いて手で持ち上げるなんて、凄いよ君!」

 エイド「えへへ///」

 マリーの褒め言葉に、エイドは「えっへん」といった顔をした。

 マリー「確かにこんなに力が強いなら私に着いて来れるかも……」

 エイド「! それじゃあ!」

 マリー「良いよ、私と一緒に来ても」

 エイド「やったー!」

 マリーはエイドの力を見て、エイドを連れて行くことを決めた。だが、それだけが理由ではないようで

 マリー(ここに放置しておくわけにもいかないからね)

 マリー「ただしモンスターとは戦っちゃダメよ!いくら力が強くても、あなたが子供なのは変わらないんだから」

 エイド「うん!」

 エイドは快く頷いた。

 マリー「よろしい! そうだ、まだ名前聞いてなかった! 名前は?

 エイド「僕エイド!よろしくね、マリーお姉ちゃん!」

 マリー「マリーお姉ちゃんかぁ……一人っ子だったから憧れてたんだよね、お姉ちゃん呼び」

 こうしてエイドはマリーと共に旅をすることになった。少し前までエイドの心の中にあった不安や悲しみは、マリーと出会ったことで少し晴れたようだった。

 


面白かったらどこが面白かったか、つまらないと思ったらどこがつまらなかったかコメントしてね!まだ始めたばかりだから読者の感想を聞いて成長したい!

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