第1話 逃走
初めて書いたからだいぶ短めになってしまった……ごめんちゃい、許して?
ここは20XX年、現代よりもずっと未来の世界。現代よりもはるかに技術が発達していて、現代の人間が夢見る、「未来の世界」を体現したような世界。
「ハァ……ハァ……」
どこかの施設で女性と少年が手を繋いで走っている。女性の方は長い黒髪に白衣、ヒールを履いている。少年は小学生程の身長、黒髪に青い目、パーカーを着ていてフードを被っている。そこまでは普通の子供だったが、普通でない部分があった。その少年の手足は人間のものでは無く、なんと機械の義手のようになっている。
女性「こっちよ!」
女性は少年の手を引いて一つの部屋に入った、その部屋の中にはアーチのようなものが置いてあり、その隣にはアーチを操作するための制御端末が設置してあった。
女性「あいつらに秘密で研究していて良かった」
女性はそう言うと端末を操作し始めた、するとアーチの中に光の壁のようなものが出現した。
少年「何をするの……?」
少年が不安げな目で女性を見上げると女性は少年の目を真っ直ぐに見て
女性「あなたがあいつらに利用されるなんて絶対に駄目、あなたには幸せになる権利がある」
女性「このゲートを通ればこの「世界」とは違う「世界」へ行ける、そうすればあなたを追いかけることは誰にも出来ない……さぁ早く!」
少年「博士は? 博士も一緒に行くんでしょ!?」
女性「私は行けない……ここに残ってゲートを閉じなきゃ行かないから……」
少年「そんなの嫌だよ! 博士と離ればなれになるなんて……」
女性「……」
男「おい見つけたか?」
男「いや居ない……どこに行った!」
女性「あいつらもう近くまで……! 急がなきゃ!」
女性は少年の手を引っ張るとゲートに突き飛ばした。
少年「……!」
女性「向こうの世界で幸せになって、エイド……」
少年「博士ー!」
少年の悲しみに溢れた叫びが部屋に響いた。
女性「ごめんなさい……私にもっと力があれば……」
女性は少年がゲートに消えるのを確認すると、すぐに端末を操作して、ゲートの接続を切った。
バーン!
男「ここに居たぞ!」
扉が勢いよく開けられ、大勢の男が部屋に入ってきた。
男「おい! あれがないぞ!」
男「どこにやった!」
女性「さぁ? どこに行ったんでしょうね?」
???「全く困ったことをしてくれる……」
男達と女性が言い争っていると、黒のスーツに金色の腕時計をつけた、40代くらいの男が部屋に入ってきた。
男「ランドンさん!」
女性「……」
ランドンと呼ばれたその男は部屋を見回すと
ランドン「噂だとばかり思っていたが、本当に完成させていたとは……これが次元移動装置……」
女性「……!」
ランドン「フハハ、ここのトップは私だぞ? お前が何をしているのかくらい耳に入ってくるさ」
ランドン「さてさてこれを使って逃したのは分かっている、これを使ってあれを追いかければ……?」
ランドンが端末を操作しようと端末に近づいたが、接続していた世界の情報が全て削除されていた。
女性「フン! 私はそこまでバカじゃないのよ」
ランドン「この女……!連れて行け!」
ランドンが男達に指示を出すと、すぐに女性は捕まってしまった。
女性「ちょっと放しなさいよ! レディの扱いがなってないわね!」
ランドン「どこに飛ばしたのか吐いてもらうぞ、イザベル……」
女性「私が口を割るとでも?」
イザベルと呼ばれた女性はそのまま男達に連れて行かれ、部屋には接続されていないゲートだけが静かに佇んでいた。