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作戦決行


 義母や義姉は、教会に着て行くドレスを必死に選んでいる。

 化粧もやたらと濃い。

 教会に行くのに、そんなお洒落する必要あるの?


 自分たちの用意が終わると、義母義姉は私に仕事を言ってきた。


「私達は今からこのリディアの一大イベントに行きますが、ルチアはこの屋敷を隈なく丁寧に掃除しておきなさい! 分かりましたね?」


「ふふん。ちゃんと綺麗に掃除しとくのよ」


 派手で趣味の悪いドレスに着飾った義姉が、私を嘲笑う。いつもならこの後なにか嫌がらせをしてくるんだけど、今日は自分が主役のイベントがこの後あるから、私に意地悪する所じゃない感じね。


「ちゃんと綺麗にするのよ? 私たちが帰って来て出来てなければお仕置よ」

「はい、お義母様」

「じゃっリディア行きますよ」

「はぁい。ちゃんと仕事するのよ? 召使いルチア」


 二人は意気揚々と屋敷を出て馬車に乗る。その馬車の上に白ちゃんが、顔を歪めて飛び乗った。周りに沢山の妖精さんを引き連れて。


ーー嫌だけど……ルチィのため、頑張るよ。


 うわぁ……遠目から見ても涙目になっているのが分かる。白ちゃんごめんね。

 

 白ちゃん、妖精さんご褒美のクッキーいっぱい焼いたからね。お願いします。


 



「さてと黒ちゃん、私達も頑張るよっ!」


ーーいつもの練習通りやれたら完璧だ。


「うん。頑張る」


 光の粒子が集まるイメージをして……。



《浄化》



 キラキラ煌めく光の粒子が家を包んでいく。


「よっし!成功」


 侍女たちにも見られてないね。今の時間は集まって朝食を食べているはずだから。綺麗になったお屋敷を見て、後でビックリするかもね。


 ちょっと……やり過ぎたかな? まぁあの義母たちだもん、大丈夫、大丈夫。


「黒ちゃん、用意して追いかけるよ!」


ーーおう!


 この日の為にもう一つ練習していた魔法がある。それは身体強化だ!


 ふぅーっ魔力を身体中に纏わせて……イメージが大事。


《身体強化》


 体が空気のように軽い。なのに中から漲るパワーが溢れてくる。よしっ、上手く出来た。


「追いかけるよー!」


 身体強化した私の速さは、馬車の何倍も速く! あっと言う間に義母達の乗った馬車を追い越し、先に教会についた。


「わぁー。結構人がいるね!」


ーーそりゃそうだろ……? この領地に住んでいる十三歳になる奴らは皆来てるはずだぜ?


 黒ちゃんから何を言ってるんだと、少し残念な目で見られる。

 だってこんなに大勢いる、この世界の人たちを見るの、初めてなんだもん。


「ん?」


 急に入り口の方がザワザワしだした。


「!!」


 本日の主役、義母義姉の登場だ!


 この領地を治める侯爵家の娘の登場に、みんなから大注目を集めてる。

 なるほどね、この為にドレス選びに時間をかけてたんだねっ。


 みんなからチヤホヤされて義母義姉は嬉しそうだ。

 あんまり近くに行って、見つかったら面倒だから……。

 一定の距離をとって……と。


 あっ……白ちゃんみっけ!

 うわぁ……

 涙目で顔が歪んでる……もう限界かも。


ーーほらルチィ、見てみろ適正検査が始まったぞ。


「ほんとだ」


 集まった子供たちが、中央に置いてある白い玉に触っていく。


 すると、玉が光輝く。この光の強さで魔力の凄さが分かるんだよね。確か。


 あんな玉に触れるだけで、魔力とか適性色々と分かるなんて凄いなぁ……異世界の不思議。


 おお!皆喜んだり、落ち込んだりと反応が色々だね。


 一喜一憂する様子を楽しんでいたら。


ーーおいっルチィ! 次は義姉だぜ!


 義姉が白い玉に触る、義姉の周りには妖精さんがいっぱい。白ちゃんも涙目になりながら、嫌そうに義姉の手にそっと触れる。


 光の玉が虹色に輝く!

 これは今までで一番桁違いに光ってる!


「ここっ!これは凄い魔力です! しかもリディア様は聖魔法の反応があります!!」


「「「「聖女様!」」」」


 教会の司祭たちが、目を見張り聖女様の誕生だと、興奮している。


「えっうそ? やだぁ! やっぱり? 私は聖女になるって思ってたもの!」


 教会にいた人達がこの騒動になんだなんだ?! っと集まり義姉を褒め奉る!


 義母と義姉は、みんなから持て囃されて、もの凄いドヤ顔してるわ。ふんぞり返り過ぎて後ろに倒れちゃうよ? ぷぷぷ。


 でもゴメンね? 魔力あるのこの瞬間だけなんです。二人の様子を見ながらニマニマしていると。


ーールチィ……もうダメ。


「白ちゃん!」


 白ちゃんがフラフラと、今にも倒れそうになりながら戻ってきた。


 白ちゃんごめんねっ。ありがとう!

 私白ちゃんをぎゅーっと抱きしめる。


ーーはぁ、ルチィの良い匂い……生き返る。


 妖精さん達もありがとう。皆で家に帰ろうね。


 する事は終わったから、これ以上この場所にいる必要はない。


 私は白ちゃんを抱いて妖精さん達を纏い、家に速攻で帰ってきた。


 屋根裏部屋で今からお菓子パーティーだ!


「さぁ、たくさん食べてねっ。私の魔力もいっぱい練り込んであるからねっ!」


ーーうわーい! ーーおいしー! ーーさいこー! ーーがまんして良かったー!


 妖精さん達が、歓喜の声をあげながら、嬉しそうに食べてくれ私の顔も綻ぶ。フフッ

 妖精さん達が甘味好きなんて新しい発見。


ーーあっ黒! 今日は僕の方が多いんだからねっ?

ーーそれくらい俺だってわかってるよ! あんな臭えの良く我慢したな、いっぱい食べろ!


 フフッ……白ちゃん黒ちゃんも今日はケンカしないで仲良く食べてるねっ。


 コレで後は、義姉が国王様に認めてもらえたら、婚約破棄作戦は成功だ!

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