結婚式の準備
「もう! シェラ様とは当分キスもしない!」
『ルチィすまぬ! 我はもう二度とあの様に、飯も食べずにルチィの蜜を食べるような事はせぬ』
「あぐっ!」
はわわっ。声に出して蜜を食べるとか、言わないで欲しいっ。
色々と思い出して恥ずかしい……!
「シェラ様! もう……わかったから……」
『ルチィ!? では……!』
そう言うとシェラ様が、ギュッと抱きしめキスしようと顔を近づけて来た。
「今日はキス禁止です!」
私は手でシェラ様の口をおさえる。
『ふぬぅ………』
シェラ様が口を尖らせてすねている。その姿が可愛いくて、許してしまいそうになるけど……今日は許さないんだから。
二人で話をしていたら、扉をノックされる。
「失礼致します! ルチア様。結婚式に着るドレスの打ち合わせのお時間です。仕立て屋が集まっております」
蜜月が終わると竜人族の人達は皆、結婚式をするらしく。
私とシェラ様の結婚式準備も急ピッチで進んでいる。
なんだろう。
私達より、周りの人達がお祭り騒ぎのように盛り上がり、テンションがヤバイ。
ドンドン結婚式のスケールが大きくなり、どんな事をするのか正直把握出来ていない……。
あんまり派手じゃない事を祈るばかり。
そんな事を考えている最中も、私は体の採寸をする為に、いつのまにやらあられも無い姿になり、その後は色々なドレスを着せられている。
「ルチア様はどんなお色も似合ってしまわれますから、ドレスのお色、迷いますわね」
「腰も細くて、お胸が大きくて美しいスタイルに、私共はウットリしてしまいますわ……」
その間もずっと褒め殺しをしてくる仕立て屋の人たち。
うう……また恥ずかしい言葉攻めが……!
褒めてくれるのは嬉しいんだけど、皆大袈裟に褒め過ぎるからなぁ。
恥ずかしくて身悶えていたら、私の姿は豪華なドレス姿へと変貌していた。いつのまに着せられたんだろう。
『ルチィ?』
あわっ……!
黒い式典服に身を包んだシェラ様が部屋に戻って来た。
シェラ様……カッコ良い。
『今着ておるドレスも可愛いのう……じゃが胸が開きすぎてないかの?』
「美しい二人の愛の結晶、竜心を見える様にする為には、これくらいの開きが必要かと」
『ぐぬう……確かに竜心は見せたいが、肌は見せたくない。困ったのう』
「結婚式は一度だけなんですから! 少しは我慢をお願いします。国民は皆、番様の竜心が見えるのを期待しておりますからね!」
皆、竜心竜心って!
蜜月を過ごしましたって、竜心がアピールしてる様で、私は恥ずかしいだけなんだけど。
竜人の人はそれが普通なの?
「番様でなければ竜心は現れませんからね。番がまだ見つかって居ない私は羨ましい限りです」
『我は八百年待ってやっと現れた番じゃ! 其方はまだ二百歳のひよっこじゃ。番などまだまだ早いわ』
「あーそうでした……」
「ルチア様! 次はアクセサリーを決めますよ!」
はぁ……。
ドレスだって採寸された後は、どんな服の形が似合うかって二十着以上試着している。もうどれが良いとか分からない。
次はアクセサリーを決めるのか……。
正直あんまり派手ななは要らないけど、皆が楽しそうにしているからまぁ良いかな。
結婚式まで二週間。ずっとこのバタバタが続くのだろうか……。




