楽しい宴 ②
ーールチィ!このパリパリしたヤツ美味いぞ!
——こっちのマカロンとやらも絶品! はぁー幸せ。
白ちゃん黒ちゃん、パーティー満喫してるね。
あっ獣王様の話が始まる。
「今日は最高の日になった。もしかしたら最悪の日になる可能性もあった! だが今日は素晴らしい日になった!! 皆でこの感動を祝おうぞ!」
「「「「「ワァァー!! 獣王様!!」」」」」
会場が歓声で揺れている。凄い盛り上がり。
妖精さん達もいっぱい集まってる。
ーーありがとうー
ーー友達帰ってきた
ーー楽しーお祭りー
ーー素敵ーねー幸せー
ーーわっしょいー
妖精さん達も帰ってきた仲間がいて喜んでる。何かお祭りと間違えてる妖精さんも居るけど。ワッショイって……
可愛いけどね?
ーールチィ! あっちの方にうまそうな料理が並んでいるからさ? 見てくるぜ!
ーーあっまってよ黒! 僕も行くよっ
黒ちゃんたちが、バタバタと新しい料理が並ぶテーブルに走って行く。
なんだろう、人型姿なのにワンコのしっぽが見えるのは気のせいだろうか?
会場の端にあるゆったりした席を、私達のために用意してくれたので、一人寛いでいるとこちらに向かって歩いて来る可愛い人が。
「ルチィ様! 獣人国の式典服凄く似合ってますわ!」
「ありがとう。ミミィさんも凄く可愛い!」
「まぁ! ありがとうございます!」
ミミィさんがいつもの如くギュウッと抱きしめてくる。身長差の所為なのか、毎回大きな胸で息が出来ない。
「ウップッ! はっはぁはぁ……」
「あれえ?」
「ミミィさん! 毎回毎回……絶対ワザとでしょ? コレは」
「えへっ? バレちゃいました? だって獣王様はとっても喜んでくれるのですよ? 大好きなルチィ様にも私、好かれたくって」
そう言ってウサ耳をぴこぴこさせて私を見る。
ぐぬっ
何ですか? この可愛いさは。
こんなことされたら、何も言えません。
「ルチィ様も竜王様に抱き付く時は、コレをお勧めしますわ! きっと喜んで下さいますよ?」
なっ何を! 私がシェラ様に?? 胸を?
無理無理無理無理無理無理無理っ
あーっまた変な想像しちゃった!
「ルチィ様? お顔が赤いですよ?」
貴方の所為ですよ!!
「お熱いのでしょうか? 良かったらこちら飲まれますか?」
ミミィさんが手に持っているピンク色の綺麗なソーダを渡してくれた。
「わっありがとうございます!」
興奮して喉も渇いていた私は、一気に飲み干した。
「はぁーーっ! 甘くて美味しい」
「そうでしょう! こちら獣人国で今大人気のソーダなのです!」
人気なのもわかる。微炭酸でとってもフルーティ。
「もう一杯どうぞ!」
ミミィさんがウエイターさんからおかわりをもらって来てくれた。
「ありがとうございます。」
「ふふではカンパーイ♪」
「カンパーイ♪」
ミミィさんとグラスをカチンと合わせ飲み干す
ゴクッ
うん!美味しい!
はぁ~。あれ? なんでかな? 顔はもっと熱くなってきたような。
『ルチィ? 何を飲んでおるのだ?』
獣王様とお話しいていたシェラ様が席に戻ってきた。
「あっシェラ様~。獣人国で大人気のぉ。えっと。? んん?」
『ルッルチィ? 顔が真っ赤ではないか!』
「あっ! そうそう~。大人気のソーダ! これっ」
私は持っていたグラスを、上に掲げてシェラ様に見せる。
『なっ! これは……酒じゃないか! ルチィ? 酒など飲んだ事などないであろ?」
「ええ~? シェラ様? これはソーダだよぅ? おしゃけじゃないにょ」
『獣人国では酒をソーダと言うんじゃ!』
「えっ!? ルチィ様! #お酒__ソーダ__#を飲んだ事ないのですか? すみません! お水貰ってきます!」
んん? ミミィさんが慌ててる。お酒? って言った? それくらい飲んだ事あるよ~。んん。? 前世で? 今の世界では? ん~。まっいっか。
何かふわふわして……気持ち良いし。
シェラ様が眉毛を八の字にして困っている。なんでそんな顔してるの?
こんな時は……そうださっきミミィさんに教えてもらった……。
「シェラ様! 私、ミミィさんに教えてもらった事があるの」
『教えて? それより大丈夫なのか?』
なぜかやたらと心配しているシェラ様。それを無視して
ポンポン! ソファのイスを叩く。
「シェラ様、ここに座って?」
『ルチィ? 大丈夫か?』
シェラ様が困惑している。なんでかな?
「はにゃく!」とそんなシェラ様を急かす。
『はいっ!』
シェラ様が慌ててソファに座ると、私はいつもミミィさんにされてる様に、シェラ様の顔を胸に埋めた。
ギュウッッと。思いっきり。
あえ? 何も反応がない。
「シェラ様?」
抱き付くのをやめて、シェラ様の顔を見る。
スッゴイ真っ赤だ。
「シェラちゃま? どうちたの?」
真っ赤なシェラ様は口元を手で押さえて何かブツブツ言っている。
あれえ? ミミィさんは大喜びって言ってたのに。
「シェラちゃ~。嬉しくないにょ? ミミィシャンがね? コレをしたらシェラちゃまが喜ぶっちぇ教えてくれて……シェラちゃまはイヤだったにょ?」
そう言ってシェラ様の顔を覗き込む。やはり真っ赤だ……どうしたのかな?
『ちっ違! いっ嫌なものか!! 嬉しいに決まっておる! なんならもっと欲しいくらいだ!』
今度は早口で捲し立てるように、嬉しいと語るシェラ様。ええと嬉しいって事だよね?
「なら良かっちゃぁ~」
あれ? 天井がグルグル回って……ん~……
ーールチィー。ルチィー。
「はにゃ?」
シェラ様が何か叫んでる。
ププッ
顔が必死だぁ。
このまま私は眠りについた。シェラ様が半泣きでパニックになっているなど知る由もなく。
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