シェラ様の怒り
これは……?!
ルチィと番の契りを交わしたからなのか。
ルチィの悲しみ、絶望感が我にも同じ様に伝わってくる。こんな辛くて苦しい感情を…ルチィは今……。
許せぬ!!
ーーあっ!! おいシェラ?!
ーー魔力が溢れて?! ちょっ
ーーーーキィンッーーーー
ーーマジか。
ーーはぁ……お前なぁ。
白ちゃんと黒ちゃんが頭を抱えてため息をはいている。
「えっ? 何で? 森が消えたの?」
「何でだ!? 急に森が……!」
ミミィさんと獣王様が、オロオロと周りを見渡しビックリしている。
それもその筈、目の前の森が忽然と消えた。
さっきまであった鬱蒼とはえていた、生気のない木々が全てない。
「ギャッ!! なんだこれは? 魔獣の頭?!」
えっ? 何? 獣王様が何かを見てビックリして騒いでいる。
私も見ようと、獣王様の方に行こうとしたら。
『ルチィは見なくて良いのだよ』
シェラ様は私を抱きしめ、何も見えない様にした。
ーーシェラよ? お前! めちゃくちゃだな!
ーー本当に、加減って言葉知らないのかよ? 大概だわ。
『ルチィをこんなに悲しませたのだ。当然の事、俺は絶対に許せぬ。この場所に利用された妖精達を其処に全て集めた』
「ウヘェ……三百体以上はあるな。頭ばっかりこんなに集まってると、流石にちょっといい気はしねぇな」
『ーー早く全ての妖精達を解放してやりたいと。ルチィが願い悲しんでいたから。ここに全て集めた』
えっ?
シェラ様に隠されて何も見えないけど、妖精さん達を全て集めたって言った?
「ねぇ! シェラ様、妖精さん達を集めたって? 隠すのやめて見せて!」
『ふぅむ? 今は見せれぬ』
『聖獣様、此奴らを早く解放してやってくれぬか?』
ーーったく。ハイハイ分かったよ。白も手伝って。
ーーはーい。
白ちゃん達が返事返したと同時に、眩い光が放たれた。
シェラ様に隠されてても分かるくらいの、強い光りに皆が包まれる。
『ふうむ。妖精達は皆離れたの。もうあの頭に用はないな』
シェラ様はそう言って指を鳴らした。
パチンッ
光りが落ち着くと、シェラ様は私を隠すのはやめて普通に抱っこした。
「わぁっ……」
目の前には沢山の妖精さん達の光が!!
消えていく子もいるが、元気に飛び回ってる子も!
ーールチィー遊ぶ
ーー好きー痛くない
ーー楽しー
「良かった。助かった妖精さんも沢山いる。全員を助ける事は出来なかったけど。本当に良かった」
「ルチィ様。妖精達を助けてあげる事が出来て良かったですね」
ミミィさんと私は、涙目になりながら二人でこの事を喜びあった。
ーーおい! ヤバイな。
ーーシェラの奴が、急に森を消したから、エレヴァン王国の奴らが様子を見るため、王都から出て来ようとしてる。湖の跳ね橋が下におりてきてるぜ!
ーー森も無くなったし、この場所は奴らから丸見えだ。一旦獣王国に戻り作戦を立て直すよ。
ーーシェラ! お前は帰ったら説教だからな!!
『うぬう……』
私達は再び転移魔法で獣王国に戻る事に。




