竜心
シェラ様は少し落ち着くと、「竜化しても良いか?」と聞いてきた。
滅多に竜化したシェラ様を見た事はないのだけど、前に見た時は三階建てのビルよりも大きかった。
「良いけど……こんな場所で竜化したら、綺麗な花を踏んじゃわないかな?」
『ククッ……そんなに大きなサイズにはならぬよ』
どうやらサイズを調節出来るらしい。
「あっそうなんだ」
そう言うとシェラ様は竜化した。人の姿の時と変わらない大きさに。
小さくもなれるし、色々なサイズに変化出来るの凄いなぁ。
『ルチィ? 我の首の辺りに虹色に光る石が見えるかの?』
虹色の石?ーーあっこれかな綺麗。
私はあまりにも石が虹色に輝き綺麗なので、見惚れてしまう。
「凄く綺麗な石」
私が余りにもウットリ石を見てしているので、シェラ様は少し恥ずかしそうに話す。
『そうか? ありがとう。それは竜心石と言って、番が現れた時に竜人族に出現する石なのだよ』
竜化したシェラ様は、私をじっと見つめる。
『まさか俺に竜心石が現れてくれるなんて……夢見たいだ。これも全てルチィに出会えたから。俺の唯一の番ルチアありがとう』
そんな風に言われたら、嬉しくて胸が苦しい。
私だってシェラ様が番で良かった。
『ルチィ、この竜心石にキスをしてくれぬか』
「えっ……?」
こんな綺麗な石に、私がキスして良いのか戸惑ってしまう。
シェラ様がキスしやすい様に体を屈める。ほんとに良いの?
よし! するよ! ヤバイ。
変に緊張して来た。心臓の音がうるさい。
ドキドキドキドキ
落ち着け心臓。
チュッ。
私が竜心石にキスをすると、石から虹色の眩い光がキラキラと放たれ私を包み込む。
眩しいはずなのに、不思議とこの虹色の光が心地よくて気持ちがい。
ずっとこの光に、包まれていたいと思う程に。
光が収まると私は泣いていた。
胸の奥が……暖かくて涙が止まらない。
嬉しくて涙が止まらないのだ。
気がつくとシェラ様は竜化から人化していた。
『我とルチィは番の契りを交わした。とうとうお互いの半身になったのだな……嬉しい』
そう言うとシェラ様は、私を抱きしめ長い長いキスを何度も私に落とす。
頬に自分ではない涙が落ちてくる。シェラ様も泣いていた。
私達はお互いを確かめ会うように、長い時間キスをしていた。
私はこの甘く蕩けるキスだけで、頭が変になりそうな程に気持ちが良くて、自分がどーにかなってしまうんじゃないかと思った。
これ以上の事とか、私大丈夫なのかな……。
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