愛し子たち ②
シェラ様はムスッとしたまま、全く喋らなくなった。
その中この空気を読まないシャリオンさん一人だけが、グイグイとシェラ様に話しかけている。
「シェラザード様と一緒にスイーツを食べれるなんて! 幸せですわ」
「まぁ! こちらも美味しい! シェラザード様も食べて下さいませ」
シャリオンさんには私が見えて居ないのか?
シェラ様の#膝の上__・__#にいる私が……完全に私の存在は無視だ。
「シャリオン! ちょっと騒ぎすぎだよ?」
「えっ? 何で? シェラザード様と一緒に居れるなんて中々ないんだもの! 興奮しちゃって!」
「だとしても! 五月蝿いよ! ルチア様にも失礼だよ?」
(なっ? いつも我が儘放題のファミールが何を言ってるの? しかもルチア様? 様? どーしたの? アンタに騒いで貰ってこの場をめちゃくちゃにしようと思ったのに)
「失礼って? 確かにルチアさんは番様だけど、私達愛し子は王様達と同格だよ? 何でそこまで彼女に気を使わないといけないの?」
「はっ? ちょっ」
一瞬で空気が凍る。ファミールさんは顔が真っ青だ。
「シャリオン! 何を偉そうに言ってるの?! 自分がどれだけ失礼な事言ってるか自覚ないの? ルチア様も愛し子だよ?」
(えっ? 何? 聞き間違い? 糞ルチアが愛し子。ハァァ? 何なの?)
ずっと沈黙を守っていたシェラ様が、私をバカにされた事でキレる。
『シャリオン。我が番をこれ以上バカにするのなら、それなりの覚悟があって言っておるのだな?』
シェラ様から只ならぬ殺気が漂う。
その殺気に気圧されシャリオンさんとファミールさんは震えている。
「いっいえ……侮辱など。そのルチアさんは私達と同じ愛し子なのですか?」
『お主らと同じではない!』
シャリオンさんがホッとした顔をして「では私達の方が」と話し始めたら、シェラ様が言葉を遮る。
『ルチィはお主らよりも大分格上の愛し子だ! 聖獣様とも契約しておるからの? 比べ物にぬらぬよ』
その話を聞いて2人は真っ青だ。
「……聖獣様とまで契約」
「シェラザード様! 大変失礼を致しました。この場にシャリオンを連れて来た私の失態です」
呆然と固まるシャリオンさんの横で、ファミールさんが机に頭を擦り付け必死に謝っている。
『もう良い。我は気分を害した。この場にこれ以上居たくない』
そう言うとシェラ様は、私を連れて転移魔法を使って二人の前から消えた。




