愛し子たち
「ファミールさん! わざわざスイーツの為に竜人国に来たの?」
「竜人国にとても美味しいスイーツのお店があるって、獣人国でも評判になっていて、どうしても食べたくて来たのです」
なるほど、だからあんなに騒いでいたのか。
「ですが、竜王様とルチア様の邪魔をする事になるとは、大変申し訳ございません」
愛し子の勝負に勝ってるせいか、私に対してだけ態度が全然違う。さっきまでキーキー騒いでた人と同一人物だと思えない。
まぁ……わざわざ獣人国から来てくれてるのに、食べれないとか可哀想だよね。
「分かった良いよ! ファミールさんも一緒に食べよ。シェラ様も良いよね?」
「ええっ! 良いのですか?」
『ふぬぅ……ルチィが良いのなら我はかまわぬ』
ちょっと不機嫌になりながらも、シェラ様がオッケーしてくれたので、ファミールさんも一緒のテーブルに座る事に。
すると?!
また玄関が騒がしくなり……?
「また?」
『なんじゃ?』
シェラ様の様子を察して、オーナーのヒュイさんが慌てて入り口に走って行く。
「ちょっと! ねぇっ通してよ! 今ね知り合いが入って行くのを見たんだから!」
ファミールさんが騒がしくなった入り口をみて
「あー!? あれって……シャリオンじゃない?」
そう言って入り口へと小走りで走っていく。んっ? シャリオンって言った? シャリオンまで来ちゃったの?
それに、シャリオンさんとファミールさんって知り合いなの?!
ファミールさんが説得し店内に入れて貰ったのか、シャリオンさん達が入って来た。
オーナーのヒュイさんは可哀想なほどに、涙目でシェラ様に平謝りしている。
「ファミール! こんな人気店を貸し切りにするなら、何で私も誘ってくれないのよ!」
どうやら……シャリオンさんには、私達が目に入っていない?
「いや貸し切りにしたのは、私じゃなくて彼方の竜王様で……」
ファミールさんは困りながら、私達を見る。
やっと私たちに気が付いたシャリオンさん。
シェラ様を見て目を輝かせる。マンガなら目がハートになってるほど。
「まっ……んまぁ! 竜王シェラザード様もいらしたんですね!」
「ファミールがご一緒しても良いなら、私も良いですよね!!」
頬を染め強引にシャリオンさんがシェラ様の横の席に座る。
この人、毎回嫌な絡みをして来るし、私と目が会うと睨むしで……ちょっと苦手なんだよなぁ。
オーナーのヒュイさんシェラ様にずっと謝っている。
「竜王様、大切なお時間を私が至らぬばかりに、この様な事になり申し訳ございません」
シェラ様の表情が、あからさまに機嫌が悪くなったので、ヒュイさんも気が気じゃないだろう。
私だってこの空気、正直どうしたら良いか分かんない。




