変な魔道具
ーーさっきは臭かったなーっ
ーーなーっ
「白ちゃん、黒ちゃんたらっ顔が凄いことになってるよ? あはは」
ーーおぇー思い出しても臭ぁ。
私達は屋根裏の私の部屋に戻り、さっきの話をまとめているんだけど、二匹の顔がまだ戻らない。
「何であれ、皇子はヤバイ事になっているね。でも義姉がどーやって、そんな事が出来る魔力なのかわからない力を得たのだろう……?」
ーー僕は魔道具を使ってるんじゃないかなと思う。
ーーああっなるほどな! 白の言う通りだな。確かにそれだと魔法ではないし、変な匂いにもなっとく!
「魔道具? 魅了の魔道具なんて、聞いた事ないよ?」
ーーこれは糞義母が裏でヤバイ事してる匂いがプンプンするな。
もし……お父様もこの魔道具を使われているとしたら。
そう考えると今まで疑問だった所が全て納得がいく。
パズルのピースがカチリと合う感じだ。
義母たちには、まだ何か秘密がありそうだ。
でもこのまま思うようにさせるつもりはない。
絶対に、アイツらにはザマァしてやるんだから!
ーーでもルチィ良かったじゃん。あの糞皇子と婚約破棄できて
ーーそうそう、こればっかりはあのクサ女に感謝だな!
黒ちゃん。クサ女って……まぁそのまんまなんだけど。
「その事なんだけど、婚約解消にはならないと思う……国王様のお母様の血に対する執着がひどいし……」
ーーえーーーっそうなの?!
義姉によっぽど優れた何かが無い限り、解消はむりだ。
でも臭いんじゃなぁ、妖精さんに嫌われて、魔法も使えないだろうし……臭くなかったら聖女とかに選ばれたりして……?! 聖女?!
「あーっ!」
そうだ! この国は十三歳になると、魔力の適性検査がおこなわれる。
これで、先の未来が決まると言ってもおかしくない。
適性検査で魔力が高いと出たり。レアな聖魔法の適性があるなら聖女として崇められ、教会でチヤホヤされる未来が保証されている。
「あのさ、もうすぐ義姉の魔力適性検査があるじゃん。もしだよ? 白ちゃん黒ちゃんの力で、聖魔法が使えたり、魔力が高いようにみせる検査結果がでるように出来たりする?」
ーー……出来るよ。適性検査する時に、僕達が側にいて妖精を集めたら魔力も高く出るし、僕がそばに居れば聖魔法適性の結果がでるね。だって僕は聖属性だもん。
「そうなの!?」
それって!すごいじゃん!
魔力が高くて、さらに聖魔法適性がでたら聖女とかの扱いになって、義姉が皇子の婚約者として申し分ない事にっ!
「その作戦お願い出来ない?」
ーーええっやだよー!! 近くに寄るとか臭すぎて鼻が曲がる。それに妖精達だって嫌がる。
「そこを何とかお願いします!義姉が聖女認定されたら、皇子と婚約解消ができる!」
ーーそれは……僕も願ってもないけど。
ーー残念だなぁ。俺も協力したいんだが、なんせ闇属性だしなぁ。
ーーくっ……黒は黙っててっ
そうか、白ちゃんにしか出来ない事なんだ。物凄く困っているのは分かるし、嫌な事を頼んでるのも分かる。でもお願いします。
「何でもするから!」
頭を白ちゃんに向かって下げた。
ーー本当に?
「うんうん!」
ーーじゃあ僕が行くよ、そのかわりルチィの魔力がいっぱい込められた甘味を作ってね!妖精達の分もだよ!
白ちゃんが嫌々ながら引き受けてくれた。ありがとう感謝だよう。
「そんなで良いの? 作る作る任せて!」
ドンッと私は胸をたたく。なんてったって前世の趣味はお菓子作りなんだから。魔力の入れ方は分からないから聞くとして……むふふ。思わずニヤけてしまう。
これで皇子と婚約解消出来るかも……やたっっ
美味しいお菓子いっぱい作るからねっ!!
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