マリーさんに相談
大歓声の中パレードは終わり、放心状態私。
訳が分からないまま終わった十歳の時のパレードと、自分も納得して行った今回の十六歳のパレードは、気持ちの興奮が全然違う。
私を歓迎してくれている皆の顔を見て感動し、応えようと皆に必死に手を振る。
すると、さらに大きな歓声で応えて返してくれる。再び皆にまた感動するの繰り返し。
今の私は達成感からの喪失感で放心状態。
放心状態のまま……自分では脱げないドレスを、マリーさん達に着替えさせて貰っている。
「はぁぁ……っ♡ 今思い出しても、ルチア様は素敵でしたわ」
「シェラザード様とルチア様はとてもお似合いでした」
「本当にねっ! シェラザード様がルチア様にキスされた時は興奮してドキドキしましたわ!」
マリーさん達が、興奮さめやらずといった感じで、盛り上がっている。
キスと言うワードに、思わずビクッと反応してしまう。
「あら? ルチア様どうしましたの? お顔が真っ赤ですよ?」
シェラ様とのキスを思い出してしまった。
私はキスの経験が今までないから、基本が分からないんだけど。
シェラ様とのキスは甘くて……美味しくって、もっとして欲しくなる。
でも前世の日本で、キスが美味しいなんて話聞いた事ない。
これはこの世界の普通? わからない。
恥ずかしいけれど……マリーさんに聞いて見ようかな。
「あっあの。マリーさん聞きたい事があって」
「あら?何でしょう? 何でもお答えしますよ。」
はぁ……何て聞こう。キスは。ドキドキしてきた。
「ルチア様? さっきからお顔が真っ赤ですが大丈夫なのですか?」
キスの事聞こうと思うだけで、真っ赤になるとか。
われながら、どんだけ恋愛偏差値低いんだ。
「キッ……キキスについて聞きたくて。シェラ様のキスが甘くてそのう……」
ドキドキして、キスさえ噛んでまともに質問出来ない私……ぬう。
「まぁ! んまぁ♡ ルチア様は人族だからご存知ないんですのね!」
存じない? 何だろう? やはり特別な何かやっぱりあるの?
「番とのキスは特別なんですよ。匂いだって良い匂いでしょう?」
確かに! シェラ様はいつも良い匂いがする。ずっと嗅いでたたくなるほどに……。
「キスが甘いのは番だけです。もうそれを味わってしまったら……ウフフ♡ その先もとても素晴らしいのですよ」
「あー! 良いなぁ。マリーさんは番と結婚してますものね。羨ましい」
三人いるメイドさんの中で、番がいるのはマリーさんだけらしい。
「ルチア様。番との夜の営みは別格ですわ。早くあの甘美で蕩ける様な特別な時間を……シェラザード様とお2人でたっぷりと堪能してもらいたいですわ♡」
マリーさんが頬を染めウットリとした顔で話してくれるんだけど……!
「ひょっ!! キスだけでもいっぱいいっぱいなのに、その先って!」
「まぁ! お可愛いらしい。ルチア様ったらウブですわね。でもね? 番とキスしている内に、もっともっと……欲しくなりますわ。うふふ♡」
欲しくって。少し分かる様な気がするけど、今はまだドキドキして無理な気がする。
この後も女子トークは続き、他のメイドのケイトさんは、彼氏がいるけど番ではないから甘美を味わった事がないとか、リンリンさんは彼氏募集中。
二人とも番を探してるけど、恋愛も楽しみたいらしい。
前世も含め、キャッキャウフフと恋話をしたのは初めてで、楽しかった……。




