【ギルド依頼】薬草採取
「わぁ……いい匂い」
家に帰ると、ガウディさんが朝食を作ってくれていた。
「おはようございます。丁度朝食の準備が出来ましたよ! さあさあ皆で食べましょう!」
ニッコリとガウディさんが微笑む。さすが仕事の出来る男!
テーブルに色とりどりの料理が並ぶ。こんなにも沢山の食材をどうしたのかと聞いたら、シェラ様と同じく空間収納の中に大量の食材が入っているらしい。
そんなにいっぱい入るの? 便利な魔法私も覚えたい。
「おいしーっ。幸せ」
はぁ……ガウディさんの料理美味しすぎ! イケメンで仕事も出来て、料理も上手とか、前世ならハイスペック男子だよ!
ーーおはよ。ルチィ今日は何したい?
「おはよー!」
白ちゃんが楽しそうに聞いてくる。
モグモグッ
「うーん……? ギルドの依頼を何か受けて見たいなと思ってて」
ーーじゃあご飯食べたらギルドに見に行ってみる?
「そうだねっ!」
どんな依頼があるのかな……。
ちょっとワクワクするなぁ。
白ちゃん黒ちゃんと3人でギルドに行くつもりが、心配だからとシェラ様もガウディさんもついて来た。
そんな心配しなくても大丈夫なのにな……。
この国での私は7歳くらいの子供にしか見えないらしい。
だから心配だとガウディさんに言われた。
シェラ様はただの心配性だと思うけど……。
ギルドに着くと、「まずは掲示板に貼られている依頼用紙を見たら良いですよ!」とガウディさんが教えてくれた。
ーールチィ! コレなんてどう? オークの討伐! Cランク~Dランクの依頼だよ。
ーーだったらオークキングにしようぜ! 同じオークなら強い方が良いよな!
白ちゃん黒ちゃんが掲示板に貼られている依頼用紙の前で楽しそうに話す。
ええとね、お二人さん? いきなりレベル高すぎない?
魔物討伐とかはちょっと怖いし……。
あっ! コレにしよう。
私は依頼用紙の張り紙をとる。
「コレにする!薬草採取!」
ーーえー! つまんないの
白ちゃん黒ちゃんが口を尖らせブツブツ文句を言う。
「初めての依頼なんだから! 確実に!」
私はブツブツ言ってる二匹をムシして、受付に依頼用紙を渡しにいく。
「この依頼を受けます! 宜しくお願いします」
「了解いたしました! ペコハーブ草50束ですね。宜しくお願いしますね」
薬草採取依頼は、当日に終わらないと罰金になるそうだ。受付のお姉さんが教えてくれた。
なるほど時間厳守か、気をつけて行動しよう。
「街の南側の森は、低ランクの魔物しか出会わないので、薬草採取に最適ですよ! 無理しないで気をつけて下さいね」
小さな私が心配なのか、ギルドのお姉さんが追加で色々と情報を教えてくれる。
なるほど、じゃあその場所に行ってみよう。
教えて貰った森を目指し、街を出たら妖精さん達がいっぱい寄ってきた。
ーールチィー! クッキー
ーー美味しいかったよ
ーー何してるの?ー何ー?
ーーきになるー
「薬草を取りに来たんだよ! ペコハーブ草って言うの!」
ーーわかった
ーー待っててー
ーーペコハーブ
ーーねーっ!
私から話を聞くと、妖精さんたちはピューっと散り散りにどこかへ飛んで行った。
「んん? まさかお手伝いしてくれるとか……?」
それはないか?
「さぁ! ペコハーブ草を探すぞーっ」
ペコハーブ草って言うのは、葉っぱの先がペコリッてお辞儀してるみたいだから、ペコハーブ草って言うんだって。
面白い名付け。でもわかりやすい!
「あっコレかな? ペコリッて先がなってるし!」
ーールチィ? 鑑定使ったら分かるんじゃないの?
「えっ? 私鑑定魔法とか出来るの?」
ーー今さら何言ってんの? ルチィは愛し子だよ? 使えない魔法属性なんて無いよ!
「愛し子ってそんなにチートだったの?」
自分の事なのに、凄すぎてビビる。
ーー頭で鑑定って思って見て?
ーールチィは身体強化魔法の訓練で、魔力が纏えるようになってるだろ? だから簡単に鑑定魔法を使う事が出来るはずだよ?
なるほど!
《鑑定》
【ペコハーブ】
レア度 F
乾燥させてお茶として飲んだり
ポーションの材料になる
おおっ出てきた!
分かりやすい。ん? レア度?
「レア度って何?」
『それはだな、レア度はSが一番高くて順にA.B.C.D.E.Fと続き一番下がGだ。レア度が高い素材ほど貴重で高く売れるな』
チビ竜シェラ様が、分かりやすく教えくれた。私に抱っこされたままだけどね。
じゃあFだから普通の素材なんだねー。
そんな時だった。
ーールチィ
ーーただいまー
ドサドサドサドサドサドサッ!!
ぎゃっ!?
急に空から葉っぱが降ってきた!
ーールチィ! 草ー
ーーいっぱいあったよー
ーーこの葉っぱーこの草だよね?ーーいっぱい取ってきたよー葉っぱー! 嬉しい?
「!!」
やばい……凄い量の色んな薬草が……!
ーールチィは妖精の愛し子って事を、もっと自覚した方が良いね。
ーー妖精達はさぁ、ルチィが大好きだからね、喜んで欲しくて何でもしてくれるよ?
凄い量の薬草に埋もれながら、私は、愛し子の凄さを実感した……。




