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虐げ令嬢の復讐劇〜お姉様?聖女だと威張ってますが私は格上の妖精の愛し子です。さらに最強竜王様の番らしいです~  作者: 大福金
第一章 ルチア幼少期ザマァ編

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狼獣人


 やっと正気を取り戻したシュレクさん。


 今度は両手で頭を抱えて、机に突っ伏しウンウン唸っている。


「こんな、集団……ヤバい……ヤバすぎるだろ。これは獣王様に報告しなくちゃいけない案件だ!」


『おい獣人よ! 獣王に報告はいらぬ。彼奴がかかわると面倒だ。わかったの?』


 シェラ様がジロリと睨み威圧を放つ。


「ひっ! 竜王様がそうおっしゃるなら……」


 大きな虎獣人のシュレクさんが、小さく肩を丸め縮こまっている。なんだろう……可愛い猫ちゃんに見えて来た。


「ではこちらの借家に決められるので?」

『うむ。決めた』

「一週間で、金貨三十枚になりますが大丈夫ですか?」

『ほう……そんな程度か』


 シェラ様はどこからともなく袋をだし、それをシュレクさんに渡す。


 ちょっと待って金貨三十枚だよっ!? 高すぎない?


『そこに金貨百枚ほど入っておろう?』

「はっ! ではここから三十枚取らせて頂きます」


 あんなただの布袋に金貨百枚も入れてたの?


「では色々な手続きありますので、私はこれで失礼します」


 そう言うとこのお屋敷の鍵をシェラ様に渡して、シュレクさんはギルドに帰って行った。


「あのう……こんなに高い借家を借りちゃって……大丈夫なの?」

『んん? そんな顔をするでない。俺がルチィと快適な場所で過ごしたいだけだから』


 シェラ様は私の頭をポンポンと軽くたたくと、当たり前の様に抱っこして「さぁ中にに入ろうぞ」と言ってご機嫌に屋敷に向かって歩いて行った。



★★★




 ふぅーっ


 やっと落ち着いた! なんだかどっと疲れが……。


 そしてこのメンバーで普通って、いかに難しいか良く分かった。


……っと、そうだ!


 早く妖精さん達に約束のクッキーを作らないとだ。今日が終わっちゃう。

 このためにさっき、ガウディさんに教えて貰い街で材料も購入したのに。

 キッチンはどこかな? 屋敷が広すぎて……わからないや。


『ルチィ? 急に何処に行くのだ?』


 私がウロウロしてると、シェラ様が後をついてきた。


「ええと調理場に行きたくて……」

『調理場じゃと? なんで?』

「妖精さん達に約束したクッキーを作りたくて」

『ほう……俺も一緒に行こうぞ』


ーー僕も行く!

ーー俺もだ!


 結局皆でキッチンに移動した。


「わぁ……広い調理場だ! これならオーブンも大きいからいっぱいクッキーが焼けるわ!」


 さぁ作るぞぉ!


 生地に魔力をコネコネ……愛情たっぷり気持ちをこめて美味しくなーれ!

 色んな形作ってオーブンに並べて行く。

 後はクッキーが焼き上がるのを待つだけ。


 数分もすると、甘くて良い匂いが調理場に広がる……


「おっ? 完成かな」


 どれどれ? 味見。

 完成したクッキーを一口噛じる


「んーっ美味しっ」


 サクッと口の中でほろりとくずれ、旨味が広がる。甘さも丁度いい。

 うんうん!今回も大成功!


ーールチィ?

ーー良い匂い

ーークッキー?

ーーやたっー


 甘い匂いに釣られて妖精さん達が集まって来た。


「妖精さん! 待たせてゴメンねっ。クッキーだよーっみんなで食べてねー」


ーーわーい!

ーールチィのクッキー!

ーー最高!

ーー美味しー幸せー。


 良かった……喜んでくれて。


『ルチィ? 我もクッキーとやら食べて見たい……』


 シェラ様が人差し指をくわえて、可愛いくおねだりしてくる。

 なにその可愛い仕草は。

 カッコ良くて可愛いとか! チート過ぎてずるいから。


 周りを見ると……皆の期待の目が……!


「わかった!皆の分も作るからね! 待ってて!」


ーーやっぱり最高だな! ルチィのクッキー!


『美味しい……これは大切に食べよう』


 シェラ様は一枚食べると、残りは大事そうに謎の空間に収納する。

 くぅーやめて……その見た目でそんな事言うなんて! いちいち可愛すぎる。よく見るとガウディさんも同じ事をしている。


「いつでも作るから、そんな大切にしないで大丈夫! 全部食べてね」


『ぬう……いつでも』

「そうなのですか!?」


 瞳を輝かせて私を見つめるシェラ様とガウディさん。


 何この美形二人!面白すぎです。なんだが大型犬二匹に見えてきました。


 さてと……もう夜も遅い、明日に向けて今日はゆっくり休もう!




★★★



ピチャチュ。


 鳥の鳴き声……? 

 ふぁ……もう朝か。

 うう~ん。昨日は充実した凄い一日だったな。


 今日も頑張ろう。


 んん?


「!!」


 ひょっ!

 目を開けると綺麗なシェラ様の顔が! 近いです!


 またシェラ様に腕枕されてる。

 何で?

 寝る時は、チビ竜の姿だったのに!


 朝から刺激が強すぎる人型のシェラ様。


 慌ててベッドから飛び降りた。


『ううむ……ルチィ? 起きたのかの?』


 寝起きのシェラ様が目を擦る。


『今日も可愛いのう』


 ベッドから降りると、シェラ様が私のオデコに軽くキスをする。


「あぐっ」


 あのっ……こんな甘いの慣れてないから! 顔が真っ赤になるから! ほんと勘弁して下さい。


 朝から刺激が強すぎるよ。


★★★




 寝起きから刺激が色々あったけど、今私は朝の散歩にチビ竜のシェラ様と来ている。

 本当はドキドキする頭を冷やしたくて、散歩に来たのに。チビ竜シェラ様が一緒に行くと聞かなくてついてきた。



 朝の散歩は気持ちがいい。

 

 公園のベンチに座ってボーっとしてると……!


「おいおい、昨日の乳臭いガキじゃねーか! 今日は1人何だな?昨日は良くも恥を欠かせてくれたな?」


 せっかく気分が良かったのに、昨日の狼獣人がまた絡んできた。

はぁ……何処の世界にも居るんだなぁ、こう言う人。


「ん? お前が抱いてるの竜の子供か?」

(これはラッキー! 奪い取って売ったらかなりの儲けになるぞ)


「竜のこども……っというか」


「その竜の子供をよこすなら、昨日事チャラにしてやっても良いぞ」


 何言ってるんだこの狼は。

 知らないよ? 私は。


『ほう? お前程度が俺を寄越せとな?』


 シェラが竜王様の姿に戻る。


「ひゃっっ!! りゅっ竜人?!」


『我をシェラザード・リュ・バハムートと知っての狼藉か?』


「シェラザード……バハムート!!りゅりゅっ竜王様!!あわわ……」


 ほら言わんこっちゃない。


 あーあ……狼の獣人は竜王様にびびってしまいオシッコチビってしまってる。


 その地面に頭を擦り付けて……うわぁ。


『のう? 次はないぞ? 死にたければ何時でもこい?』


「すすすっすみませんでしたー!」


 狼獣人は漫画みたいにピューって去っていった。


 ププッ


「シェラ様って凄いんだね」


私がそう言うと『ふうむ? そうでもないぞ?』と悪い顔して笑ってる。もう! どんな顔でも美しいなんてズルい。


 うーんお腹が空いてきた……


「帰って朝ご飯にしよー!」

『ふふっそうだな。ルチィは可愛いな』

「はうっ」


 私たちは朝の散歩から帰る事にした。


 今日は冒険者ギルドの依頼を何か受けてみたいなぁ……?

 などと考えながら私は帰路についたのだった。


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