表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/81

閑話 リディア


 私は小さな時から、欲しい物は何だって手に入れてきた。


 今まで誰かを羨ましいと思った事など、一度だってなかった。

 あのルチアに会うまでは!


 お母様がお金持ちの侯爵様と再婚すると、その話を聞いた時はビックリした! 嬉しさで舞い上がり、侯爵家に行くのが楽しみで仕方なかった。


 侯爵家に初めて挨拶に行った時、ルチアがいた!

 陶器のように白く透き通った肌、宝石の様な瞳。光を浴びると銀色に輝く薄紫色の髪。こんな綺麗な子見た事ない……。

 さらには高そうで綺麗なドレスを着て立っているその姿は、絵本に出てくる主人公のお姫様かと思った。ギリッ



 悔しい……主人公は私。

 お姫様でチヤホヤされるのは、いつだって私なのに!

 ルチアが仲良くして欲しそうに話かけてきた。誰かお前何かと仲良くしてやるもんか。


 お前の立つその場所は、私のだ! 全て奪ってやる……


 それからお母様と一緒にルチアを虐めるのは楽しかった。

 あんなに綺麗で輝いていたルチア、今ではこ汚い召使いみたいな姿。陶器のように煌めいていた肌はカサカサ、美しく銀色に輝く薄紫色の髪は灰色でボサボサ。


クスクスッ

「あーっ気分がいいわぁー」


……なのに何故か時々、まだルチアに負けた様な、惨めな気持ちになる。こんな時はいつもより沢山虐めるの。はぁー……スッキリ。


 でも、こんな気持ちも無くなるだろう……!

 だって私は聖女様だったんだもの!!!


「聖女様よ!」


 皆が私を褒め奉る。最高に気持ちいい。


 今日は王様から聖女認定をしてもらえる認定式がある!

 ここでの主役は私! ふふっ。


 あの見窄(みすぼ)らしくなったルチアにも、みんなから崇められている私を、見せてあげないとね? 

 ついでに集まった皆の前で、皇子様との婚約破棄もしてあげるわね? 公衆の面前で婚約破棄されるなんて、さぞや恥をかくことでしょうねー!


「ぐふふっ」


 想像するだけで、笑いが込み上げちゃう。

 あーっ今から楽しみで仕方ないわ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ