閑話 リディア
私は小さな時から、欲しい物は何だって手に入れてきた。
今まで誰かを羨ましいと思った事など、一度だってなかった。
あのルチアに会うまでは!
お母様がお金持ちの侯爵様と再婚すると、その話を聞いた時はビックリした! 嬉しさで舞い上がり、侯爵家に行くのが楽しみで仕方なかった。
侯爵家に初めて挨拶に行った時、ルチアがいた!
陶器のように白く透き通った肌、宝石の様な瞳。光を浴びると銀色に輝く薄紫色の髪。こんな綺麗な子見た事ない……。
さらには高そうで綺麗なドレスを着て立っているその姿は、絵本に出てくる主人公のお姫様かと思った。ギリッ
悔しい……主人公は私。
お姫様でチヤホヤされるのは、いつだって私なのに!
ルチアが仲良くして欲しそうに話かけてきた。誰かお前何かと仲良くしてやるもんか。
お前の立つその場所は、私のだ! 全て奪ってやる……
それからお母様と一緒にルチアを虐めるのは楽しかった。
あんなに綺麗で輝いていたルチア、今ではこ汚い召使いみたいな姿。陶器のように煌めいていた肌はカサカサ、美しく銀色に輝く薄紫色の髪は灰色でボサボサ。
クスクスッ
「あーっ気分がいいわぁー」
……なのに何故か時々、まだルチアに負けた様な、惨めな気持ちになる。こんな時はいつもより沢山虐めるの。はぁー……スッキリ。
でも、こんな気持ちも無くなるだろう……!
だって私は聖女様だったんだもの!!!
「聖女様よ!」
皆が私を褒め奉る。最高に気持ちいい。
今日は王様から聖女認定をしてもらえる認定式がある!
ここでの主役は私! ふふっ。
あの見窄らしくなったルチアにも、みんなから崇められている私を、見せてあげないとね?
ついでに集まった皆の前で、皇子様との婚約破棄もしてあげるわね? 公衆の面前で婚約破棄されるなんて、さぞや恥をかくことでしょうねー!
「ぐふふっ」
想像するだけで、笑いが込み上げちゃう。
あーっ今から楽しみで仕方ないわ。