これって……!?
「ルチア! 早く床を綺麗にしなさい! あんたは本当に何やらせても鈍臭いんだから!」
「はいっお義母様! 今すぐやります」
私は言われた場所を綺麗にしようと、バケツを持って急いで向かう。
「あっ! ごめーん足が滑っちゃったぁ……」
お義姉様がそう言って、右足を私の前に出して来た。
次の瞬間、足をひっかけて私は滑って思いっきりズッコケ、頭を強く打ってしまった。
★★★
うん……はぁ。
頭が痛い……ん?
ええと……
ガバッ!
ベッドから飛び起き時計を探す。
会社行かないと、今何時??
何時か知る為に時計を見ようと部屋を見回すと、私は全く知らない場所にいた。
ちょっと待って……何で、こんなの所にいるの?
ここは……? どこなんだろう?
埃っぽい部屋に固いベッド。この前奮発して、お高い高級マットレスを買ったばかりなのに……何このペラペラの敷布団しか敷いてないベッドは。テレビもないし……何もない。
私……えーと……?
痛っ……頭がツキんと痛む。
何で頭が痛いんだろう? 何かしたっけとふと視界に入った鏡を見て驚愕する。
「だっ誰っ!!」
痛た……た。
頭がツキんと痛む度に全く知らない少女の人生が……生まれてからの記憶、そう生涯の記憶が脳内を駆け巡る…………ルチア!
それは私。
!!!!!!!!!
ヤバイヤバイヤバイっ
記憶が混沌として頭が……混乱する。
冷静になるのよ私。
えーと……確か水で転んで頭を打って……気を失って……?
その後、自室である屋根裏部屋に放置されてたみたい……だね
はぁ酷い扱いするなぁ。
これあれだわ、ラノベとか乙女ゲームとかで良くある設定の……やつ。
ふぅ……私、異世界転生してるわ。
頭を打った事で前世の記憶を思い出したから、今こんなにややこしい事になっている。脳内に二人の人物が存在している様だ。
私は死んだのよね?
ええと……思い出せ。
私は前世では日本人でIT関連の仕事をしていた。
出勤前にコンビニに寄り、サンドイッチを買ってる時に強盗が突然入ってきて……子供が人質に!
それで私が身代わりになって揉み合った時に……そうだ。
運悪く刺された……
それからの記憶が全くないから、その時に死んだんだね。
はぁ。
家がキックボクシングのジムとかしてたから……
自分の力を過信して、無駄に反抗しちゃって刺されるとか。
マヌケだわ……
自分の身体を見てみる。
10歳にしては小さくガリガリ。
あんの、義母義姉のせいだね。
本当!思い出せば出すほどに酷い扱いだ!
前世なら虐待で警察沙汰だよ!
今までの私、良くあんな奴らの言う事を素直に聞いてたなぁ……
ピュアな心だったんだよね。
優しいシンデレラと同じだね。
でも今の私に魔法使いは来てくれないから、自力でどうにかするしかない。
今は10歳だけど、前世の年齢足したら35歳、もう流石にピュアじゃない。
こんな家大人になったら出て行けるよう、今から準備だ。
前世の記憶を活かして、絶対に乗り越えてみせる。
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