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古代語の本が私を待っている!!

 いつも通り、リンゴのクッキーの売れ行きが良いですね。

 そんな中、遂に第二の依頼が舞い込んできました。

 

「こんにちは。仕事の依頼をしたいのだけど、いま大丈夫かな?」

 

「はい、大丈夫ですよ」

 

 隣の仕立て屋のお姉さんです。

 依頼ということは糸か布の作成でしょうか。

 

「クロコダイルの皮に盤石の形質を付与して欲しいんだ」

 

「形質の付与ですか……分かりました。素材は持ち込みですか?」

 

「うん。こっちがクロコダイルの皮で、こっちが盤石を持っている魔鉱石」

 

「一応、魔鉱石の形質だけ確認しますね」

 

「うん? そんなことができるの?」

 

「はい。これでも錬金術師ですから」

 

 やり方は無属性魔法の〈アナライズ〉を使うだけです。

 一般的な魔法ではないため、お姉さんは知らないようですね。

 ではなぜ魔鉱石に盤石の形質があることが分かっているかと言えば、恐らく神殿の司祭様が鑑定済みの品を購入してきたからだと思われます。

 

「〈アナライズ〉」

 

 ふむ、ちゃんと盤石の形質を保有している魔鉱石ですね。

 

「はい、ちゃんと盤石の形質がありますね。期日と依頼の報酬はどのようになっていますか?」

 

「期日は最長で二週間。まあそんなにかからないと思うから、出来次第もってきて欲しい。報酬は完成品を見て決めるけど、私の理想にかなった品になったら金貨十枚出すつもり」

 

「分かりました。それで構いません」

 

「よし、じゃあよろしくね!」

 

 お姉さんは工房から立ち去りました。

 

 さて形質の付与ですか。

 地味で時間がかかる作業だと思われていますが、私には〈原質分解〉の錬金術があるので、実は一日仕事なんですよね。

 

 本来は魔鉱石を盤石の形質を保持した安定剤にしてから、盤石の形質をクロコダイルの皮に馴染ませます。

 かき混ぜて馴染ませるにはだいたい三日ほどかかります。

 地味で簡単な作業ではありますが、三日間も錬金釜を専有するため、金貨十枚の報酬というわけですね。

 今回は素材を持ち込まれたので、こちらの持ち出しは安定剤の素材である水だけですから、実質素材費はかかりません。

 

 まあ私の場合は先程も言った通り、〈原質分解〉できるのであっという間です。

 それじゃあ早速、始めましょう。

 

 まず魔鉱石を錬金釜に入れて、〈原質分解〉用の混ぜ棒で魔力を流しながら混ぜます。

 カラコロと複数の硬い物がぶつかり合う音がしてきたら、〈アナライズ〉を使って錬金釜の中の形質を見極めます。

 盤石の形質を見つけたら、それ以外をトングで取り出します。

 錬金釜の中に盤石の形質だけが残った状態になったら、クロコダイルの皮を投入。

 今度は普通の混ぜ棒で魔力を流しつつかき混ぜます。

 おおよそ一時間ほどで形質が馴染むので、それまで地道にかき混ぜます。

 

 ……腕が重い。

 

 錬金術の作業でかなり腕力が鍛えられています。

 それでも疲れるものは疲れるのです。

 

 おっと、そうこうしている内に形質が溶け出してクロコダイルの皮に馴染み始めました。

 あと一時間。

 

 砂時計をひっくり返して、無心でかき混ぜます。

 

 * * *

 

 盤石の形質を付与されたクロコダイルの皮は、依頼当日に出来上がりました。

 しかしそうすると日数が合わないため、念の為に二日を空けてから仕立て屋に持ち込むことにしました。

 

 さて魔鉱石から盤石を取り除いた不要な形質と魔鉱石が残っています。

 土属性である大地という形質が有用そうですね。

 今日は時間もあることですし、消失してしまう前に大地の形質を持った安定剤を作成することにしましょう。

 

 例によって蒸留水を錬金釜に入れて、トングで大地の形質を錬金釜に投入します。

 そして魔力を流しながら混ぜ混ぜ。

 はい、大地の形質をもった安定剤の完成です。

 残るは形質を失った魔鉱石だけです。

 これは何かのときに使うかもしれないので〈ストレージ〉に入れておきましょう。

 

 んー、ひと仕事終えてしまいましたね。

 

 今日は魔法陣を描くのを止めて、読書をしましょう。

 古代語の本が私を待っている!!

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