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婚約破棄から始まる迷宮都市での錬金術師生活 ~得意の古代語翻訳で裏技錬金術を駆使して平穏に暮らします~  作者: イ尹口欠
エリクサーと賢者の石

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……実際には死んでいるんですけどね。

 残る二枚の不死鳥の羽根を求めて、一号たちはダンジョン探索に戻りました。

 ふたりのドッペルゲンガーには変わらず、〈加速の魔法陣〉の量産をお願いしています。

 

 私とインプ、そしてスロイス先生は名もなき書物の解読に回りました。

 賢者の石の具体的な使用方法を求めて、暗号とにらめっこです。

 

 しかし残りの暗号は難問で、今の私たちでは解くための鍵が足りないようです。

 なので本屋に行って、新しい古代語の書物を購入してくることにしました。

 新しい知識を得るためですね。

 

 古代語の書物は前回来たときから少し増えていました。

 しかし減っていないところを見るに、やはり購入する人は私だけなのでしょう。

 

「お嬢ちゃんが古代語の書物を買ってくれてウチは本当に助かっているよ」

 

「もうスロイス先生もいませんからね。私としては選びたい放題なのでありがたいのですが」

 

 今日は奮発して古代語の書物を十五冊購入しました。

 気になるタイトルが多かったというのもありますし、一号たちが稼いでいるというのもあります。

 

 工房に戻ると、カミーリアからの先触れが来ていました。

 どうやら遊びに来るようですね。

 

 * * *

 

「こんにちは、フーレリア」

 

「いらっしゃい、カミーリア。少し久しぶりですね。忙しかったのでしょうか?」

 

「そうなの! 聞いてよ、縁談がかなり来て断るのに苦労したんだから!」

 

「ほほう、お気に召す縁談はなかった、と」

 

「まあね。どうせ迷宮都市の領主一族との縁戚が目的で、私のことなんてどうでもいいのでしょう。ちっとも心動かされるような縁談はなかったわ」

 

 ツンと澄ました顔でカミーリアは吐き捨てました。

 よほど失礼な縁談が舞い込んできたようですね。

 お気の毒さまです。

 

 どら焼きと東方のお茶を出して、おしゃべりに興じます。

 ホルトルーデも休ませて、同席させました。

 壁際に立つカミーリアの侍従の分も用意しましたので、折を見て頂いてもらうことにしましょう。

 

「あなたたち、本当によく似ているわね。でも血の繋がりはないのよね?」

 

「はい。ホルトルーデは記憶を失って彷徨っているところをウチで保護したのです。間違っても、アルトマイアー侯爵家に連なる者ではありませんよ」

 

「不思議なこともあるわね……。あ、そうだ。前に来たときに作った石鹸、凄く良かったわ。貴族向けの石鹸と遜色なかったから、愛用していたのだけど、もうなくなってしまったの」

 

「おや、そう思って実は石鹸の素材を用意しておいたのです。今日も錬金術を体験していきますか?」

 

「本当!? 嬉しいわ、ありがとうフーレリア!!」

 

 前回同様、灰汁とアルコールは予め用意してあります。

 これらとココナッツオイルを錬金釜に投入して、後は掻き混ぜるだけです。

 

 あっさりと錬成を終えて、ラッピングしてカミーリアのお土産にします。

 

「ありがとう。今日から早速使うわね」

 

「気に入ってもらえて何よりです」

 

 上機嫌のカミーリアとその後も談笑して、日が暮れる前に彼女は帰っていきました。

 話題の中で気になることを言っていましたね。

 なんでも、神殿の聖女が病に臥せっているとか。

 

 ……実際には死んでいるんですけどね。

 

 しかし神殿はどうやら病気で通すらしいです。

 意識が戻らず、〈レストレーション〉が使えないため、聖女は未だに目覚めないのだとか。

 

 まあいいですよ、王太子との婚姻を阻止できたので、こちらとしては成り行きを見守るだけです。

作品を応援したい、続きが気になる、そんな方はブックマークと評価(☆☆☆☆☆)を是非ともお願いします。

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