表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄から始まる迷宮都市での錬金術師生活 ~得意の古代語翻訳で裏技錬金術を駆使して平穏に暮らします~  作者: イ尹口欠
エリクサーと賢者の石

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/81

今回はこれに一手間加えたいと思います。

 粘土を錬金釜に投入して、自分の魔力を注ぎながらかき混ぜます。

 十分に私の魔力に馴染んだら、魔力の籠もった粘土の完成です。

 

 今回はこれに一手間加えたいと思います。

 擬態の形質を魔力の籠もった粘土に付与するのです。

 〈原質分解〉を使ってパパっとやりましょう。

 

 さて準備は万端ですので早速、〈クリエイト・ファミリア〉を使いましょう。

 

「〈クリエイト・ファミリア〉」

 

 粘土がウネウネと動き出し、――蜘蛛の形をとりました。

 手のひらに乗るくらいの大きさの蜘蛛です。

 

「ほほう、猫や鳥ではなく蜘蛛を選びましたか」

 

「ええ。情報収集をさせるには蜘蛛が最も適していると思ったもので」

 

 スロイス先生が蜘蛛を舐めるように色々な角度から覗き込んでいます。

 いや、形状は普通の蜘蛛ですよ。

 

 ただし蜘蛛は壁や天井を歩くことができ、擬態の形質を持っているため保護色になることができます。

 天井に張り付いて擬態すれば、見つかることはまずないでしょう。

 

「して、フーレリア殿。どこに送り込むのでありますか」

 

「実家よ」

 

 具体的には父の執務室です。

 父は王城で宰相をつとめていますから、この国の中枢に関わる情報を持っています。

 その補佐として下の兄が手伝っています。

 彼らの会話から、王都や実家の様子を伺うことができます。

 

 ちなみに次期当主である上の兄は、領地で采配を振るっています。

 

 ふたりの兄には可愛がってもらっていたので、元気にしているといいのですが。

 

「〈ディメンション・ゲート〉」

 

 実家の私室に蜘蛛が通れるだけの小さな穴を開けます。

 

「それではファミリア、父の執務室の天井に張り付いて擬態していなさい。何か会話で気になることがあれば、私に連絡してくるのですよ」

 

《了解》

 

 念話でファミリアが返事をします。

 ファミリアの知能は人間並みであるため、臨機応変に対応してくれることでしょう。

 魔力パスが通っているので、どんな遠方であれ念話が届くのも凄いところです。

 

 ファミリアは空間の穴を通って、屋敷へ侵入を果たしました。

 後は任せておけば勝手に執務室の天井にスタンバイしてくれるはずです。

 

 さあ、どんな情報が得られるか、楽しみですね。

 

 * * *

 

 ドッペルレリアたちが帰還しました。

 みっつの乾きの石とみっつの永久氷片を携えて、です。

 

「よくぞ任務を果たしてくれました。後は冒険者組が不死鳥の羽根と竜の血を得てくるのを待つだけですね」

 

 久々に帰ってきたドッペルレリアは、自分たちの工房にスロイス先生のスペクターがいることに戸惑っています。

 

「ほ、本体? これは一体……」

 

「スロイス先生はスペクターとして蘇ったのです。今は暗号解読を手伝ってもらっています」

 

「なるほど……」

 

「あ、ふたりには〈加速の魔法陣〉の量産をしばらく頼みたいのです。流石に在庫が減ってきたので、この辺りで沢山、作ってください」

 

「「本体の人使いが荒い!!」」

 

 はいはい、そのためのドッペルゲンガーですからね?

作品を応援したい、続きが気になる、そんな方はブックマークと評価(☆☆☆☆☆)を是非ともお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公の性格が淡々としてて良いです。 執念ぶかくもなく、優しすぎもせず、感情に流されないのがいいですね。 フーレリアがうみだすアイテムがどんな形なのか想像できて楽しく、わくわくしています…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ