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婚約破棄から始まる迷宮都市での錬金術師生活 ~得意の古代語翻訳で裏技錬金術を駆使して平穏に暮らします~  作者: イ尹口欠
エリクサーと賢者の石

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さすがウルフの爪、激安ですね。

 お向かいさんのスーザンちゃんとオジサマが来店しました。

 スーザンちゃんはお小遣いを貯めてきたようで、限定十食のシュークリームをご購入。

 オジサマはリンゴのクッキーをお買い上げです。

 

「フーレリアお姉ちゃん、貴族の病気を治したって職人街で噂になっているけど、本当なの?」

 

「あー……そうですね。本当ですよ」

 

 多分、カミーリアの石化を解呪したことを言っているのだと思います。

 

「凄い! お姉ちゃん、お菓子だけじゃなくてお薬も作れるんだね!」

 

「そりゃ錬金術師ですからね。一通りのことはできますよ」

 

「そっか。ねえそれじゃあ、デクスタリティポーションも作れるの?」

 

 唐突にマニアックなポーションの名前が出てきましたね。

 デクスタリティポーションは飲むと一定時間の間、手先の器用さが増すというポーションのことです。

 

「よく知っていますね。誰か欲しがる人が……ああオジサマですか?」

 

「うん。お父さんがね、貴族から細工の注文を受けたんだけど……」

 

「スーザン。俺は薬に頼らずとも仕事はこなせる」

 

「えー? でもお父さん、細かい作業って苦手だっていつもこぼしてたじゃん!」

 

「それはそうだが……」

 

 どうやらオジサマは武具を作るのは得意でも、細工品を作るのは苦手なようですね。

 デクスタリティポーションかあ、まだ錬成したことがないんですよね。

 

「金貨一枚出せるなら、デクスタリティポーションの錬成を引き受けますが?」

 

「む……」

 

「お父さん、試しに使ってみたら?」

 

「そうだな、物は試しだ。依頼しよう」

 

 オジサマがやや遠慮がちにそう言いました。

 

 * * *

 

 さてそれではデクスタリティポーションの素材を仕入れに冒険者ギルドへ向かいましょう。

 

 仕入れる素材は、パックリーダーという狼の群れを統率する個体の爪です。

 これには高確率で巧みの形質がついているため、基本的にはこの素材だけでデクスタリティポーションは出来上がります。

 ……なのですが。

 

「申し訳ありません。パックリーダーの爪は在庫切れでして」

 

「おや、そうなのですか」

 

「はい。デクスタリティポーションの割安な素材なので、人気があるのです。申し訳ありません」

 

「いえいえ。……そうですね、それではウルフの爪を出してもらえますか」

 

「ウルフの爪ですか?」

 

「稀にですが、ウルフの爪もデクスタリティポーションの素材になるものがあるのですよ」

 

「そうなのですね。ウルフの爪の在庫はかなりあるので、いま持ってきますね」

 

 受付嬢のお姉さんが瓶詰めになったウルフの爪を持ってきました。

 私はこっそりと〈アナライズ〉で巧みの形質を探します。

 

 ああ良かった、いくつかありますね。

 

 パックリーダーの爪より更に安いので、全部取り出して買い占めます。

 

「ではこの十七本をお願いします」

 

「……この十七本以外は素材にならないのでしょうか」

 

「そうですね、私の見立てだとなりませんね」

 

「分かりました。銅貨34枚になります」

 

 さすがウルフの爪、激安ですね。

 これが金貨一枚のデクスタリティポーションになるのですから、まさに錬金術です。

 

 早速、工房に戻って錬成しましょう!

 

 * * *

 

 デクスタリティポーションの素材は巧みの形質のついたウルフの爪と、蒸留水です。

 

 ウルフの爪を〈原質分解〉して巧みの形質を取り出し、蒸留水に混ぜるだけです。

 ものの三分で完成しました。

 

 本来ならば爪を粉になるまで砕いて、安定剤を使うのですが、〈原質分解〉で形質を直接取り出して移せる私にとってはこちらのやり方の方が経済的で簡単です。

 

 さあ、お向かいさんにお届けしましょうか。

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