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婚約破棄から始まる迷宮都市での錬金術師生活 ~得意の古代語翻訳で裏技錬金術を駆使して平穏に暮らします~  作者: イ尹口欠
エリクサーと賢者の石

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その質問には目を逸らすしかありませんでした。

 さて賢者の石のことはひとまず置いておいて、新しいお菓子の開発です。

 シルビーナさんがいつ来てもいいように、用意しておかなくては。

 

 作るお菓子はどら焼きにしようかと思います。

 

 用意する素材は、小麦粉、卵、砂糖、酒、蜂蜜、植物油、塩、あずき、ミネラル水です。

 

 まず粒あんを錬成しましょう。

 あずきとミネラル水を鍋に入れて五分ほど沸騰させます。

 次に水を捨ててから、あずきをミネラル水で洗います。

 下処理はこれでよし。

 そしてあずきとミネラル水と砂糖と塩を錬金釜に投入して、かき混ぜます。

 都合、四十分ほどかき混ぜれば、粒あんの完成ですね。

 

 次は生地を作ります。

 これはカステラのときとほぼ変わりません。

 小麦粉、卵、砂糖、酒、蜂蜜、植物油を錬金釜に投入し、かき混ぜます。

 魔力を注ぎ、混ぜること小一時間。

 生地が完成します。

 

 さあ後は生地と粒あんを錬金釜に入れて、かき混ぜましょう。

 軽く魔力を流してやるだけで、予め計った分だけどら焼きが出来上がります。

 コツは生地が完成してからすぐに粒あんを投入して錬成することですね。

 生地が乾く前に錬成することで、あんこをしっかり包み込むことができます。

 

 では試食してみましょうか。

 ホルトルーデとお茶にします。

 もちろんふたりのドッペルゲンガーの分も用意してありますよ。

 

 ただし奥の工房で食べてもらいます。

 仮面を外すことになるので、私が三人になっているところを外から見られる恐れがありますからね。

 

 さてホルトルーデは気にいるでしょうか?

 

「お姉さま、この黒いのがチョコレートと違っておいしいです」

 

「おや、ホルトルーデはチョコレートよりあんこ派ですか?」

 

「いいえ、どちらも甘くて好きです」

 

 ですよね。

 私も両方いけるクチです。

 

 どら焼きは美味でした。

 高級感のある粒あんとしっとりとした生地。

 お茶が進みます。

 

 * * *

 

「本体、西のトマゾ大砂漠の入り口にたどり着きましたよ」

 

「本体、氷の大地に向かう船に乗る算段がつきましたよ」

 

「本体、リヴァイアサンから無限水環を譲り受けましたよ」

 

「よく戻ってきましたね、ドッペルレリアたち、お疲れさまです」

 

 無限水環は魔法具とは異なり、神々が創り給うた宝具というものです。

 人の手になるものが魔法具、神々の手になるものが宝具という分類ですね。

 無限水環の効果は、所持しているだけで水中で呼吸可能になり水の抵抗を受けずに行動できるようになる、水中適性を与えてくれるという代物です。

 リヴァイアサンにとっては数ある宝物のひとつに過ぎませんが、人間にとっては優れた宝具です。

 

「無限水環を入手できたということは、リヴァイアサンの子供の解毒は無事に済んだのですね?」

 

「はい。大層、よろこばれまして。無限水環をあるだけ譲ってくれましたよ」

 

「あるだけ? 複数、入手できたのですか!?」

 

「ええ。合計でよっつも貰えました」

 

「素晴らしい。これでエリクサーを複数、錬成できますよ」

 

「本体、肝心の不死鳥の羽根は入手の目処が立ったのですか?」

 

 その質問には目を逸らすしかありませんでした。

 

 * * *

 

 ひとまず長旅から戻ってきた三人のドッペルレリアを労い、一緒に食事を摂ります。

 食材はドッペルレリアたちの持ち寄ってきたお土産です。

 

 大砂漠の手前の街では食用サボテンが主要ビタミン源だそうで、名物の食用サボテンの天ぷらを作りました。

 北の街では港湾都市とはまた違う魚介類が取れるため、それをお土産に持ってきてくれました。

 

 リヴァイアサンからクラーケンを一匹、もらってきたようなのでぶつ切りにして干物に錬成し、クラーケンのスルメを作ります。

 太陽石という日光を生む素材とともに錬成しなければなりませんが、〈ストレージ〉にストックがあったので惜しげもなく使い切りました。

 

 サボテンの天ぷらと魚介のスープを主食にして、食後は東方から伝来した清酒とクラーケンのスルメを炙ってチビチビやりました。

 クラーケンのスルメは大量に出来たのですが、ご近所に配るには出処が不明すぎます。

 まあここにはドッペルゲンガーたちもいますし、〈ストレージ〉内は時間経過がないので、消化するのに何年かかっても構わないのですが。

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