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婚約破棄から始まる迷宮都市での錬金術師生活 ~得意の古代語翻訳で裏技錬金術を駆使して平穏に暮らします~  作者: イ尹口欠
エリクサーと賢者の石

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はい、簡単なんですよ。

 工房拡張の工事は二週間ほどで終わりました。

 

 その間、ドッペルレリアがテレポートで二回ほど戻ってきましたが、どうやら旅は順調なようです。

 仮面をつけて目立つのが旅の障害になっているというのですが、私と瓜二つだとそれはそれで問題があるのですよね。

 知り合いに会ったときの対応とかね。

 

 今の私は迷宮都市で大人しくしているから知り合いに会うことも滅多にないのであって、旅をすればその土地土地の領主一族と遭遇する可能性があります。

 これでも元侯爵令嬢として顔は広いわけでして。

 どこで知り合いに会うか分かったものではありません。

 

 ドッペルレリアには諦めて仮面の旅人として頑張ってもらいましょう。

 

 ……というのも少し可愛そうなので、ちょっと仮面に細工を施すことにしました。

 

 冒険者ギルドで購入してきた擬態の形質をもつガーゴイルの爪を〈原質分解〉して、仮面に擬態の形質を移します。

 これで仮面は目立たなくなると思うのですが、どうでしょう?

 

「仮面に擬態の形質を付与したので、誰も仮面に疑問を抱くことはないと思いますよ」

 

「うーん。効果のほどが知れませんけど……仕方ないですねえ」

 

 ドッペルレリアはそう言って、元の宿に〈テレポート〉して行きました。

 次に戻ってきたときにでも仮面の効果について聞いておきましょう。

 

 * * *

 

 遂に工房が拡張されました。

 ドッペルゲンガーたちを増築部分で働かせますよ。

 

「窓がない」

「机とペンとインクと羊皮紙はある」

「錬金釜も一応あるけど」

「〈加速の魔法陣〉の量産をさせる気まんまんですね!」

 

 はい、頑張ってくださいね。

 

 * * *

 

 カミーリアが遊びに来ると先触れがやって来ました。

 増築した工房の中身を見られるのはマズいので、ドッペルゲンガーたちを〈シャドウ・ゲート〉に隠しておきます。

 

 カミーリアは相変わらず豪勢な馬車でお供をひとりだけつけて降りてきました。

 

「御機嫌よう、フーレリア」

 

「御機嫌よう、カミーリア。今日は石鹸を錬成するんですよね。準備は整っていますよ」

 

「まあ、嬉しいわ。ありがとうフーレリア」

 

 ココナッツオイル、灰汁、アルコールを錬金釜に投入して、魔力を注ぎながら混ぜるだけです。

 お手本を見せると、カミーリアは目を丸くしながら「こんなに簡単に石鹸って作れるのね」と感心していました。

 

 はい、簡単なんですよ。

 

「それじゃあ私も錬金術に挑戦してみるわね」

 

「魔力を注げば完成します。分量もこちらで計ってあるので、十二個の石鹸が出来上がりますよ」

 

「分かった。ええとこの材料を全部錬金釜に入れるのね……」

 

 カミーリアは丁寧に錬金釜に素材を投入していきます。

 そして普通の混ぜ棒で錬金釜をかき混ぜ始めました。

 

「カミーリア、魔力をどんどん流すといいですよ。混ぜ棒は簡単には壊れませんから」

 

「わ、分かったわ」

 

 流す魔力量が増えたので、錬金釜の反応が促進されました。

 そして二十分ほどで石鹸は完成しました。

 

「はい、それまで。カミーリア、お疲れ様でした。完成ですよ」

 

「わ、本当だ。石鹸ができているわ!」

 

 ひとつずつ紙に梱包して、カミーリアのお付きの人に渡します。

 

「今日はありがとう、フーレリア。貴重な体験ができたわ」

 

「いえいえ。こちらも石鹸を作るのは初めてだったので、いい経験になりました」

 

「あら、フーレリアも石鹸は初めてだったの?」

 

「そうなんですよ。石鹸は市場で売っているもので十分ですし」

 

「市場のものを使っているの? あれって品質が悪くないかしら」

 

「いえいえ、キチンと洗い流せば肌にも負担はありませんから、そう悪くないですよ」

 

「そうなのね」

 

 貴族御用達の石鹸を使っているだろうカミーリアからすれば、市井の石鹸の品質に満足することはできないのでしょうね。

 私としては石鹸として使えれば多少品質が悪くても構わないのですが。

 

 その後、ホルトルーデを交えて一緒に食事をしてカミーリアは帰っていきました。

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