(24)我は汝の未来を信ずる②
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「観測ステーションの妨害者がシャトル操縦者の爆殺を企んだ」
ディム・トゥーラの報告の内容にギョッとしたのは、カイル達だった。シャトル操縦者とはディム・トゥーラしか該当しない。
「……爆殺って……それって、立派な殺人未遂ですよね?!なんでまた……」
「惑星に恒星間天体を落として、観察したいのだろう、さ」
クトリは想像以上の研究都市のスキャンダルに青ざめた。一方、カイルは納得した。
「……確かにあれは、明確な悪意と殺意だった。標的は間違いなくディム・トゥーラだ」
「カイル、何を見たのです?」
手当を続けながら、シルビアが尋ねた。
「ファーレンシアの初社交で感じた想念と同じものを……あれがディム・トゥーラに向かっていた」
「カイルの警告のおかげで助かったんだ。ウールヴェ達が、庇ってくれた。トゥーラがいなければ、多分宇宙に放り出されていた。俺のウールヴェも死んでいたと思う」
「ロニオスは?」
黙って聞いていたアードゥルは、ロニオスの所在を尋ねた。
「シャトルの自動修復が不完全で、ロニオスが補助して衝突予定地点まで、シャトルを持って行ってくれている。俺は彼に、先に飛ばされて――」
ディム・トゥーラはそこで気づいた。
なぜ、先に飛ばされたのだ。ロニオスに余裕があれば、ギリギリまでシャトルを誘導し、共に脱出できたのでは?
余裕があれば――。
「――!!」
ロニオスには余裕がなかった。だから、力が残存するうちに自分を地上に転移した。
その可能性にディム・トゥーラは衝撃を受けた。
「まさか、ロニオスはあのまま突っ込むつもりか……」
ディム・トゥーラの言葉に、場が静まりかえった。
「……結局、ロニオスは情を持ったんだな……」
アードゥルがつぶやくように言ったが、その意味は誰にもわからなかった。
「そうか、ロニオスのおかげで、ディムは無事に地上に来れたのか……」
カイルが少し視線を落として言った。
ディム・トゥーラの中で迷いが生じた。
今、事実をカイルに伝えるべきか?ロニオス・ブラッドフォードはお前の遺伝子上の父親で、お前のルーツはこの惑星にあると――。
シルビアの治療が終わると、ディム・トゥーラはあらためてカイルに向き直った。
「カイル」
「何?」
「……お前にずっと黙っていて悪かった。ロニオスはお前の――」
「知ってる」
カイルは短く答えた。
カイルの返答にぽかんとしたのは、ディム・トゥーラとアードゥルだった。
「……知ってるって……」
「ああ、うん。アドリーの隠し部屋でうっかり移動装置に触れて、地下拠点に飛ばされた時に、管理権限をもつ初期メンバーの名簿を見たことがあるんだ。その時は名前を確認できなかったけど、金髪金眼の短髪の男性で、僕に似ていた。まあ、エルネストがすぐに来たから、そこまでだったけど」
「……………………」
「……………………」
二人は、カイルを呆然と見ることしか出来なかった。
「でも、過去の人だと思ったんだ。初代エトゥール王の人物は彼だと推察しただけで。あとから、記憶をたどり、その男性の絵を起こしてみたら、本当に僕にそっくりだから、骨格の遺伝子類似とか検証してみたんだ。まあ、近しい血縁者だとは、思った、その時は」
「…………じゃあ、どこで……」
「う〜ん、いろいろかな」
自分のことなのに、カイルは妙に淡々としていた。
「世界の番人やウールヴェは、僕を頑固とか、似ていると連呼していたり、起動しないはずとエルネストが言ってた隠し部屋の移動装置が、起動したこととか。イーレが僕に管理者権限を与えようとした時に、登録エラーが起きて――後からエラーコードを確認したら、二重登録だったこととか。あと、エトゥールの地下拠点で、僕は認証されたよね?ほら、アードゥルが僕の手を掴んで認証させたヤツ」
「……………………」
「……………………」
「あとは、ロニオスだとウールヴェの正体が判明したあとの、アードゥルが協力的になって、僕に対してやや過保護になったことかな」
ディム・トゥーラの半眼の視線を、アードゥルは避けた。
「でも、決定打は、僕の結婚の儀にディム・トゥーラがロニオスを秘蔵酒で釣って参加させた時」
今度はアードゥルが半眼の視線をディム・トゥーラに向けた。
「……お前……わかっているなら言えよ」
「本人が語らないことを、言うわけにはいかないでしょ?」
「「……うっ…………」」
正論だった。
「クトリ、本番まで何分?」
「あと15分って、ところです」
カイルがクトリに時間を確認してから、ディム・トゥーラを見つめた。




