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【完結】エトゥールの魔導師  作者: 阿樹弥生
第23章 大災厄⑤
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(7)我は汝を守りたまわん③

お待たせしました。本日分の更新になります。

お楽しみください。

奇跡の3日連続更新!今月の奇跡は、きっとこれで使い果たした!もう期待しちゃいけないっ!(憔悴)


ブックマークありがとうございました!

現在、更新時間は迷走中です。

面白ければ、ブックマーク、評価、布教をお願いします。(拝礼)

「その仮説が真実なら、君はあちらのシャトルの救済に走るべきではないのか?」

『それは当然天秤(てんびん)に乗せてみたからだよ』

天秤(てんびん)?」

『実は天秤(てんびん)の歴史は古くてね。超古代文明時代から、必要不可欠な道具として生まれ、産業、商業、科学、工業、農業、医学、あらゆる分野の発展を支えてきた素晴らしい古代遺物(アーティファクト)だ』

「いや、天秤(てんびん)の定義を聞きたいわけではないんだが?」

『いやいや、重要なことだよ?』


 時が巻き戻ったような錯覚(さっかく)をアスク・レピオスは感じた。


「思い出した。昔から君はそういう性格だった」

『そうかね?』

「基本定義に立ち戻って講義してから、新説の議論に皆を巻き込んでいただろう。よく皆で寝不足になった」

『最後は、ジェニに論文の素案(そあん)メモを消された』

「まあ、そうでもしなければ、解散しない連中だったから、その点のみジェニ・ロウを、支持してもいい」

『なんとつれない……そこは私に同情してくれてもいい事案(じあん)だが』

「で、天秤(てんびん)がどうしたって?」

天秤(てんびん)は公正と平等の象徴(しょうちょう)ともされる。私は文字通り天秤(てんびん)にかけてみたんだよ。あちらのシャトルの乗員(じょういん)の命か、はたまた君とこうして話す機会(チャンス)を得るか』


 ロニオスの思念に笑いが走った。


『喜んでくれてもいいぞ?私はあちらのシャトルを救うことより、君との対話を選択したのだから』






 管理室のスクリーンに映像が入った。

 先行する恒星間天体だ。


「恒星間天体、観測地域に入りました」

「先行の恒星間天体α(アルファー)確認、軌道誤差修正コンマ000001」

「速度誤差ゼロ」

「カウントダウンにズレは?」

「ありません」


 ジェニ・ロウはスクリーンを見つめた。通常の小惑星より巨大な(かたまり)の表面には、多数のクレーター痕が見られる。問題は速度だ。


「これで、半分の大きさ?冗談にもほどがあるわ」

「そうだねぇ。元の大きさで落ちていたら、打つ手なしだったよ」

「ああ、こんな悪趣味な惑星探査計画(プロジェクト)を立案した昔のロニオスを殴りたい気分よ」

「私はそう思えないんだよねぇ」

「なんですって?」

「あの惑星探査計画(プロジェクト)がなければ、君を口説くことは(かな)わなかったから」

「――」


 ジェニ・ロウは思わず真横に立つエド・ロウを見つめた。彼は妻の視線に気づいて、微笑(ほほえ)み返した。


 次の瞬間、エド・ロウは思いっきり足を踏まれた。

 




「ライアーの塚」地下拠点では、人々が呆然と天井を見上げていた。


 どうして、外の景色が空中の一部分に切り取られたように、存在しているのだろう。そしてそれは王都の空であることは、そこにいる誰もが悟った。


「この定点カメラはどこ?」


 イーレは(ささや)くようにエルネストに尋ねた。


「エトゥール城の城壁上部につながる側防塔(そくぼうとう)から東方面、外壁に向けての風景だ。クトリ・ロダスが設置したと聞いている。これだけ解像度がよければ、しばらくは気を()らすことができるだろう」


 エルネストはイーレの質問に答えると、後ろに控えるファーレンシア・エル・エトゥールに(うなず)いて見せた。

 ファーレンシアは(うなず)いて答え、深呼吸をした。


『エトゥールの民よ』


 ファーレンシアの声が天井から響いた。


『ここに避難しているエトゥールの民よ。この光景をよく見て、記憶にとどめてください。今、私達の目の前にひろがる光景は、遠く離れたエトゥールの様子を、偉大なるメレ・アイフェスの(わざ)で見ています』


 天井からファーレンシア・エル・エトゥールの声があたりに響く。それだけでも奇跡に等しい効果があった。


『兄であるセオディア・メレ・エトゥールと、私の夫であるカイル・メレ・アイフェス・アドリーは、今から起こる大災厄の被害を最小限に食い止めるべく、エトゥール城に残留しています』


 場に衝撃が走った。誰もがエトゥール王とっくの昔に安全な場所に避難していると思っていたのだ。扇動(せんどう)していた者もそれを主張していた。それが否定され、人々の間にざわめきが広がっていった。


「カメラ切り替え。中庭の人物達を」


 エルネストの小声の命令にAIは正確に従った。


 スクリーンに映るエトゥールのシンボルである精霊樹が、エトゥール城中庭の光景であることを証明していた。エトゥール王と数人のメレ・アイフェス達が東の空を見つめて待機している。


「カイル様……」


 離れた場所にいる愛する人の姿を思いがけず見ることができて、ファーレンシアは泣きたくなった。


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