(59)カウントダウン⑰
お待たせしました。本日分の更新になります。 お楽しみください。
現在、更新時間は迷走中です。
今週は矢沢永吉のライブがあるので、さらに乱れます(宣言)
明日は150回目武道館だ。ひゃっほー!(ハイテンション)
面白ければ、ブックマーク、評価、布教をお願いします。(拝礼)
カイルに怒り狂うアードゥルを見て、ガルースは察したようだった。老将軍は巨馬から降り立った。
「なるほど。君はカスト救済に反対するメレ・アイフェスだな?」
「なんだと?」
「以前、虎姿のメレ・アイフェスが言っていた。カストに関わることは、賢者の中では意見が真っ二つに別れている、と――」
「その通りだ」
アードゥルは将軍の言を認めた。
「毎度、この馬鹿のお人好しぶりに呆れている。カストに手を貸して、エトゥールの民の恨みを買っているのだからな。おまけに、カスト王との対立を装って、星の落下情報を得るためだけに利用されている可能性を無視している」
カイルは驚いたようにアードゥルを見た。その反応にアードゥルの方が眉を顰めた。
「それすらも、考えてもいない馬鹿だったとは、予想外だ」
「いや、でも――」
「……確かに、父ならやりかねませんね」
副官の娘がその点を否定どころか肯定した。
「ダナティエ?!」
「うむ、ディヴィならやりかねん」
「将軍?!」
二人の意見に、カイルの方が焦った。
「父はそういう情報を得るために策略をたてるのが大好きですから。ただ前提条件が間違っています。残念なことにそれが成立するための要のモノが欠けています」
ダナティエは顎に人差し指をあてつつ、己の父親を分析した。
「要のモノ?」
「父には、カスト王に対する忠誠心が皆無です」
ダナティエはきっぱりと言い切った。
「…………あ」
「そうなのか?」
副官であるディヴィと面識のないアードゥルは、カイルに確認する。
「ガルース将軍の処遇に怒り狂っていたから……多分そうだと思う」
「カスト王と対立している構図が嘘偽りないと?」
「僕はそう思っている」
「それから、父は義理堅いタイプなので、妻子を救うことに助力してくださったカイル様を裏切ることはないと思いますよ?――ガルース将軍の敵にならなければですが……」
最後の一文は、ぼそりと付け加えられた。娘までが副官の大将軍至上主義を認めていた。
「そうだな。あと、我々がエトゥールの敵にならないことは、ウールヴェが保証してくれるだろう」
「なぜ、ウールヴェ?」
「世界の理に背く時は、主人から逃げ出すのだろう?この不可思議な生き物は……」
「――」
「――」
「精霊の使いと言われているウールヴェが、精霊に信仰心のないカストの民と、信仰心の厚いエトゥールの民――どちらの味方をするか明白ではないだろうか?」
将軍の言葉に一理ある、とカイルは思った。
幼体が逃げ出さずに使役主の望む姿に変貌していることが、彼らが絆を得て、認められたことの証であると言えるかもしれない。
「カスト進軍についての密告については、下心があったことを認めよう。カスト王が大災厄に巻き込まれて倒れたあとに、我々はエトゥール王とは対立したくはないのだ」
「その頃には、王都は消失している」
「消失しているのは王都であって、国ではないだろう」
「………………」
「私は未来の話をしている」
ああ、ここにも前代未聞の災厄を物ともせず、セオディア・メレ・エトゥールのように新しい未来を構築しようと突き進む指導者がいる。
カイルは密かに感動していた。
アードゥルはちらりとカイルを見て、これ見よがしに溜息をついた。
「背景は理解をした。どうやって、この馬鹿を魅了して、口説き落としたかも」
アードゥルは感情のこもらない声で応じた。
「この馬鹿と、大災厄が終わるまではカストの問題を棚上げする約束をしたから私もその約束だけは守る」
「アードゥルっ!」
「喜ぶな、馬鹿っ!本当に腹芸のできないヤツだなっ!」
叱責されるカイルの姿に、ガルースは笑いをもらした。
「その腹芸ができないところに、我々は賭けたのだ。このメレ・アイフェスは信頼できると」
「――」
アードゥルはガルース将軍を見た。
「今までの対立の歴史を考えれば、お互いが信頼を得るのは難しいということは重々承知している。だが、西の地がエトゥールと和議を結べたことのように、我々も遠い未来にはエトゥールと手を取り合うことも可能ではないかと考えた」
「……簡単な話ではないだろう」
「うむ」
ガルースは認めた。




