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【完結】エトゥールの魔導師  作者: 阿樹弥生
第22章 大災厄④
918/1015

(58)カウントダウン⑯

お待たせしました。本日分の更新になります。

お楽しみください。

現在、更新時間は迷走中です。


面白ければ、ブックマーク、評価、布教をお願いします。(拝礼)

「カイル様達のように精霊が愛されている国ならば、虎や狼のウールヴェが街を闊歩(かっぽ)していても歓迎されますが、カストの民にはそうはいきません。ウールヴェは、宗教的観点からいけば、なんたって(やみ)の使いですから。だからなるべく目立たず、しかも自由に動ける姿が必要なんです。――将軍閣下は目立ちすぎですが…………」


 最後に気になる一言が付け加えられた。


「えっと……ガルース将軍が目立ちすぎると言うのは?」

「ちょっと、将軍のウールヴェがとんでもない成長をしまして……将軍閣下らしいと言えば、将軍閣下らしいんですが……馬に対する情熱を父も私も見誤りました」

「それは、いったい……」

百聞(ひゃくぶん)一見(いっけん)()かず、もうすぐいらっしゃいますよ。……ほら」


 ダナティエが指し示す方を見ると、馬に乗ったガールス将軍が見えた。だが、馬が異様だった。

 通常の馬の3倍はありそうで、巨漢である将軍が普通に見えて、遠近感が狂っていた。どう見ても体重は1トンを軽く超えていそうだった。体高など2メートルはあるだろう。しかも地上の馬と違って、二本の(つの)がない巨大な白馬なのだ。

 カイルはその目立ちすぎる様子に絶句した。


 情報交換をしたディム・トゥーラの証言を参考にしたのは間違いなかった。そういえばディム・トゥーラの記憶から絶滅した古代種の情報を拾いあげて描いた記憶があった。その絵とディムの解説を熱心にきいて、たくさんの質問をしていたのはガルースだった。


「おお、メレ・アイフェス、久方ぶりだな」

「ガルース将軍、これはいったい…………」

「うむ、私の愛馬だ」


 悪びれずにガルースは答えた。満面の笑顔である。


「どうしてそんな成長を……」

「古代にこういう馬が存在したと天上の賢者(メレ・アイフェス)が言っていたから、ウールヴェに再現してもらった」

「なんですって?」

「いたという話を聞くと、想像することは容易くてな。メレ・アイフェスの絵は大変参考になった。私が乗っても平気な大きい馬を希望したら、変化してくれた。それでこの通り」

「しかし……これだけ大きければ、動きは愚鈍(ぐどん)では……」


 カイルの質問に侮辱(ぶじょく)されたと怒るわけでもなく、逆にガルース将軍はその言葉を待っていたように、にやりと勝ち誇ったように笑った。


「実際の馬ならそうだろう。だが、これはウールヴェだ」

「あ!」

「限界はあるが望むスピードで走ってくれる。しかも空間を跳躍(ちょうやく)できる。おかげで、進軍している部隊から兵を拉致(らち)するのも容易い」

拉致(らち)?」

「このままエトゥールに進軍しても、大災厄で死ぬだけだ。部隊にディヴィを潜入させ、望まぬ徴兵をされた平民を中心に逃している」

「――」

「私が(おとり)になって注意をひいている間に、ディヴィが引っ攫(ひっさら)うんだ。これがなかなか楽しくてな。国境そばのエトゥールの村が無人で静まり返っているところに、巨大な異形の白馬に乗ったエトゥールで死んだとされる将軍が亡霊となって現れる――ダナティエの発案だ」


 思わず振り返ったカイルにダナティエはVサインを出してきた。


「どうせなら血糊(ちのり)も派手につけたかったんだが……」

(よろい)()びるからダメです」


 演出家は現実的だった。

 確かにカスト王が死んだと宣言したはずの将軍ガルースが出現したら、ホラーだろう。


「『(のろ)われた進軍』『全滅の予兆(よちょう)』――あと、なんだったかな?」

「『カスト王に対する怨念(おんねん)』」

「それだ。ディヴィは(あお)るのが上手(うま)い」


 カイルとアードゥルは、あっけにとられていた。カスト王に対する反乱分子は優秀すぎた。


「タイムリミットがあるのは、わかっているのか?」


 アードゥルは怪訝そうに尋ねた。

 問いに、ガルース将軍とダナティエは、腕をあげた。二人とも手首に腕時計があった。

 アードゥルは愕然として、カイルを見た。


「お前っ!カストにまでカウントダウンを教えたのか?!しかも時計まで与えやがってっ!!」


 アードゥルの怒声にカイルは首をすくめた。


「………………教えないと、引き際がわからないでしょ?」

「この、お人好しの大馬鹿者めっ!!」

「それ、何回も言われてる……」

「大きい馬」「シャイア種」で検索してみよう!

参考で言うとビワハヤヒデ君で、470〜480kgだよ♪

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