(46)カウントダウン④
お待たせしました。本日分の更新になります。
お楽しみください。
第11回ネット小説大賞二次選考通過ならず!(悔)
通過していたら焼肉食べようと思ってましたが、吉野家になったことをご報告いたします。(真顔)
引き続き頑張りますので、応援をお願いします。(`_´)ゞ
凹まず更新した自分、えらいっ!(自画自賛)
「昔の冷害の飢饉でここら一帯でも多数の餓死者がでました。何度も食糧にすべきかと迷う飢餓を経験しました。この先、きっとこの種は役に立つと思います。導師ならこれを増やす知恵をお持ちでしょう」
「…………ありがとうございます。これはいただいて帰ります」
カイルは老人に向かって頭を下げた。立ち会っていたクレイが重い革袋を引き取った。
カイルはこのまま立ち去ることをためらった。
本人の残留の意思を尊重するつもりだったが、これだけ貴重なものをくれた功労者にむくいたいという気持ちが沸きあがっていた。
「やはり避難しませんか……?」
老人はカイルの言葉に首をふった。
「わしらはこのままで、いいのです。この土地で生まれ、この土地で死んでいける幸せというものがあるのです」
愛着のある土地で死んでいける幸せ――それは不老長寿であるカイルには、理解できない事柄だった。
「予言の通り、星が落ちて荒地になるのなら、再びこの種子から穀物がたわわに実る時代がくることを切に願います。どうか、この地に再び金の穂を実らせてください」
「――」
「貴方様の未来が光り輝くものでありますように」
老人は別れの言葉として聖歌の一句をカイルに贈った。
老人の家からでたカイルは、村から立ち去ろうとしたが、思い直したように再び老人の家に向かった。
「クレイ、手を貸して」
部下の馬に、種籾の重い革袋を括り付けていた第一兵団の団長は、その行動を予想していたかのように、笑って承諾した。
「お前は馬鹿か」
アードゥルの言葉は容赦なかった。
「お前は散歩すると、子犬や子猫を拾ってくるのか?あ?」
「……」
「しかも死が間近な老犬を拾ってくるとは、どういうことだ。食い扶持を増やしてどうする」
「……あの人達は老犬じゃない」
カイルは小声で言い訳をした。
アードゥルは笑いに肩を震わせている第一兵団長の方を振り返った。
「兵団長も同行していたなら、なぜ、この馬鹿をとめない?」
「我々の目的は、避難しない人々の再説得でありまして、カイル様の行動はメレ・エトゥールの方針に沿ったものです。今更、避難民が一人や二人増えても変わりません」
「こいつはこの調子で、大量に犬や猫を拾ってくるぞ」
「避難民を犬や猫扱いしないでよ」
「お前の無節操な行動が元凶だ」
「はい……申し訳ありません……」
カイルは説教を受けて、しょんぼりと頭を下げた。
「しかも体内チップを分け与えて治療しただと?この間際に……」
「だって、あの人はそれぐらいのことをしてくれたよ?一から遺伝子解析して冷害に強い品種を生み出すより、その特性を持った品種からさらに強い品種を生み出す方が、数年短縮できるでしょ?」
「……………………」
「不要と言うなら、あの老人に返してくるよ」
「誰が不要と言った」
アードゥルは不機嫌に応じて、その隣のエルネストもクレイ同様、その反応に笑いを堪えて肩を振るわせていた。
アードゥルは隣に立つエルネストを睨んだ。
「エルネスト、お前も何か言え」
「カイル・リード。君のお人好し度は底抜けだ。たいしたものだ」
「誰が褒めろと言った?」
「何か言えというから、言ってみたのに、注文が多いな。品種改良された種も私が引き取ってもいい。アードゥルがいらないなら、私が遺伝子分析をしてデータを独占をするのも楽しそうだ」
「誰が不要と言った」
「素直じゃないなぁ」
エルネストはアードゥルに向かって、手をひらひらとふった。
「これを入手したのは、カイル・リードの手柄だから、その点は認めてやればいいじゃないか」
「……………………」
アードゥルは嫌そうに顔をしかめた。
それから深々と溜息をついた。
「カイル・リード。自分が軽率な行動をとったと自覚しているか?」
「軽率?」
「自覚がないとは、びっくりだ」
エルネストがあとを引き取った。
「エトゥールの民に対して、平等性がないことをアードゥルは心配している」
「平等性?」
「似たように、加齢や病に悩んでいる者を全員治すのか、ということだ」
「――」
カイルは黙り込んだ。
それは以前、シルビアにも指摘されたことがあった。自分達の技術は諸刃の剣になると――。




