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【完結】エトゥールの魔導師  作者: 阿樹弥生
第19章 大災厄(1)
712/1015

(44)解析㉒

お待たせしました。本日分の更新です。

お楽しみください。


2/4はメンテナンス(だよね?)のようなので更新は成り行き。日曜日は夜更新予定です。

ブックマークありがとうございました!励みになります。


 意外なことに、カイルが場をさらに(あお)った。


「地上の人々が聞いている前で、酷薄(こくはく)な物言いが維持できるかな?ディム、いいよ、この情報開示状態で。そのまま、エルネストを説得してよ」

「カイル・リード」

「状況は以前より悪いのは確かだよ。アドリーと(やかた)以外の拠点の位置を示してほしい」

「断る」


『ロニオスが望んでも?』


 エルネストが嫌そうに顔をしかめた。


「私達がロニオスに弱いと思ったら大間違いだ」


『弱いだろう』


 ウールヴェはちらりとカイルに一瞬だけ視線をやり、それを見ていたのはエルネストだけだった。


「……君は悪魔か?」


『最近、師事(しじ)した人物が恐怖の大王だった』


「それはロニオスのことだな?」


『俺は固有名詞は言っていない』


「考えさせてもらう。まずは被害地図を完成させたまえ。それがなければ論じることすらできない」


 エルネスト・ルフテールの要求はもっともなものだった。






 大陸地図が完成した。

 赤いインクの太線は国境で、山地や川沿いに走っていた。

 クトリはそこに地上に現存する自分達の移動装置(ポータル)をさらに記入した。

 ディム・トゥーラは、国境線の位置をざっと確認した。


『クトリ』


「はい」


『俺がいう座標を地図に落としてくれ』


「緯度、経度ですか?それとも確定座標?」


『確定座標だ』


「待ってください。一度端末の方に記録します」


 クトリが端末を取り出し、ウールヴェと会話をしながら、作業を開始した。


「カイル殿」


 セオディア・メレ・エトゥールは、カイルの元にやってきた。


「質問がいくつか。まず用語がわからない。緯度と経度は、地図上の座標と理解しているが、「かくていざひょう」とは?」

「えっと……」


 カイルは説明の言葉を探した。


「舞踏会の襲撃で、イーレが移動装置(ポータル)でいきなり現れたでしょ?」

「うむ」

「天上の僕達の拠点から、地上に降りたつのは、座標が必要で、緯度、経度は地図上の座標だけど、それだけでは不十分なんだ」

「理由は?」

「高さとか深度(しんど)とかがない。天上から飛んできて、地面の中にめり込んで着地するのは事故だからね。移動装置(ポータル)は安全が確認されている場所のみに定着する」

「なるほど」


 メレ・エトゥールは納得すると同時に眉をひそめた。


「するとサイラス殿やイーレ嬢、クトリ殿は本来ならエトゥール城内に着地する予定だったと?」

「僕が世界の番人を(ののし)ったのを、理解してくれる?」

「なるほど。気持ちはわからないでもない」

「確定座標には、様々な情報が含まれるんだ。惑星内部の影響の地磁気(ちじき)や――」


 セオディア・メレ・エトゥールは軽く手をあげた。


「待て。ほぼ呪文になった。明日にでも講義してもらおう」

「わかった――あのさ、僕達も聞きたいことがあるんだけど」

「なんだろうか?」

「メレ・エトゥールが破片の到達日時と地点を知りたがったのは、住民の避難のためではないの?」

「避難のためだが」

「それがどう転んで、権謀術数けんぼうじゅっすうになるのか理解できない」


 セオディア・メレ・エトゥールは、あっけにとられた顔をした。


権謀術数けんぼうじゅっすう?」

「セオディア・メレ・エトゥールに学んでこいと、ディムが言われてやってきたんだけど――」


 カイルの言葉は、セオディアの大爆笑で遮られた。


「メレ・エトゥール?」

「いやいや、まいった。見抜かれているとは」

「は?」

「誰の助言だろうか?」

「えっと……初代のロニオスという人物だけど」

「では、のちほどそれを講義しようか」

「はい?」

「学ぶのだろう?メレ・エトゥール流の権謀術数(けんぼうじゅっすう)を」


 変な方向に話が展開してきて、カイルはたじろいだ。


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