表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】エトゥールの魔導師  作者: 阿樹弥生
第19章 大災厄(1)
691/1015

(23)解析①

お待たせしました。本日分の更新になります。

お楽しみください。(しばらく更新時間は成り行き!←開き直った)


ダウンロードありがとうございました!

『ほう……これがカイルの見た先見(さきみ)の光景か……実に写実的だ。いや、むしろ写真そのものの正確さがある。面白い』


 絵を見ながら、ウールヴェのリードがしみじみと言った。何故だか、リードは嬉しそうだった。


「カイルの特技(とくぎ)の一つです。彼は記憶した情景を正確に再現して描くことができます」


 ディム・トゥーラは同調を終えると、地上から帰還した自分のウールヴェが持ってきた荷をといた。

 報告時に地上から持ち込んだカイルの描いた先見の絵をリード達に見せた。カイルが行方不明になった時の絵は、ディム・トゥーラとイーレが隠蔽(いんぺい)したから、カイルの技能は、他者に対して初披露(はつひろう)になる。


「これを解析にかけてください。ある程度の情報を収集できます。場所の特定は今地上でやっています。この絵から恒星間天体の破片の大気圏入射角(にゅうしゃかく)は割り出せませんか?」


『精密ではないが、割り出せるとも。この絵だけでも情報の宝庫だ。地表面のエネルギー痕、爆風の方向、破壊前の建物情報とかポイントをよく(おさ)えている』


 ウールヴェは考えこんだ。


『紙質や筆記具が(おと)っている。ここから高級紙とペンを持ち込みたまえ。それだけでも精度の(けた)が上がる』


 カイルの絵の道具は、新しい個室に引越し済みだが、中央(セントラル)に回収されていないだろうか。あとで、確認しようとディム・トゥーラは思った。


「18か所しかないのか?」


 中身を検分して問いかけてきたのは、所長のエド・ロウだった。


「それ以上はカイルの精神がもたないので止めました。後日は軽めの被害情報を拾わせるつもりです」

支援追跡者(バックアップ)としての判断かね?」

「はい」

「イーレからアナログな絵を描くのが趣味だと、聞いていたがこれはすごい才能じゃないか。もっと早く知りたかったものだ……」

「なんのために?」

電子機器(カメラ)禁止場所の撮影情報の代替えに」


 趣味の領域の特技を知りたがるのは、間違いなく研究利用が目的だろう。

 カイルの予想はかなり当たっている。日頃、周囲に絵を披露(ひろう)しなかったのは、本能的な自己防衛に違いない。

 研究馬鹿ほど恐ろしいものはない。彼等は目的のためなら手段を選ばない。ずかずかと私生活(プライベート)まで侵入してくるのだ。

 ジェニ・ロウは感心してみせた。


「本当に上手ね。人物画も見てみたいものだわ」

「人物画?」

「地上関係者の情報も欲しいの。カイルの精神負荷にはならないでしょ?」

「必要ですか?」

「ええ」

「……まあ、仕事を与えていた方が、無茶はしないか……」

「無茶?」

「大災厄の先見を単独ですることです。災厄の絵をかかせるより、周囲の人物画をかかせる方が、遥かに平和で穏やかだ」

「まあ、そうね。貴方、アードゥル達に会えた?」

「まだです」

「その件も引き続きお願い」

「わかりました。俺はまた降下しますが、問題ありますか?」


『問題はないが、食事と体内チップを補充(ほじゅう)して、24時間後にしたまえ。君の方に全く負荷がないわけではない』


「そうなんですか?」


『どれだけ体内チップを消費したか、確認してみるといい』


「わかりました」


 確かに自分の負荷は正確に把握しておくべきだった。支援追跡者(バックアップ)が倒れるわけにはいかない。


「地上のメンバーに変わりはない?」

「直接会ったのは、カイルとシルビアだけですが、特に問題はないようです」

「そう」

「そういえば、カイルに初代並みの冷淡派認定を受けました」

「何、それ」

「地上に対して、情がないそうです」

「ああ、それは仕方ないわね」


 ジェニは(ほほ)に片手をあて、その指摘を認めた。


「長年の思考の癖よ。中央(セントラル)関係者(エリート)にありがちな傾向と言えるわ」

「そうなんですか?」

「ロニオスなんて、昔は冷淡冷静冷徹冷酷のサンプルみたいだったわ」


『ジェニ』


「個人の感想よ、気にしないで」


 にっこりとジェニは応じた。


「今は核融合(かくゆうごう)並みにエネルギーが、たぎっているわね」


『ジェニ』


「私、何か間違っているかしら?」


 ジェニは夫を振り返った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ