表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】エトゥールの魔導師  作者: 阿樹弥生
第18章 精霊の帰還
657/1015

(38)幼体⑲

お待たせしました。本日分の更新になります。

お楽しみください。

しばらく夜の更新が続きます。(多分)


ブックマークありがとうございました!

「なんで虎なんだよ」


 サイラスが目の前のウールヴェの形態(けいたい)に、呆れたように突っ込む。彼は、物珍しさにウールヴェの尻尾(しっぽ)や足を確認している。爪の鋭さをチェックして、殺傷力を算出するところは、職業病に近いものがあった。


『俺に聞かないでくれ』


 同調しているディム・トゥーラが答える。


本人(ディム)以外の誰が答えられるんだ」


『……専門家はカイルだろう』


「僕にふらないで。だいたいサイラスは他人のことを言えないでしょう?子供の飛竜型のウールヴェも十分特異だと思うよ」


『飛竜型のウールヴェだと?』


「ディム、研究はあとにしてね。今は対話でしょ?そのためにわざわざ聖堂まで来てもらっているんだから」

 

 カイルは、やんわりと釘をさした。絶対にあとで飛竜の絵を要求される――そんな予感がした。


 皆がディム・トゥーラの出現の(しらせ)にエトゥールの聖堂に集まっていた。シルビア、サイラス、クトリ――西の地からイーレも飛んできた。

 聖堂に到着した面々は、カイルのそばにいる虎の姿のウールヴェがディム・トゥーラであることに驚き、受け入れるのに数分を要した。


 まさかディム・トゥーラがウールヴェに同調して、地上に現れるとは思わなかったからだ。


「同調って、簡単にできるものなのか?」


 サイラスは首をかしげて、カイルに問いかけた。


「それこそ、僕に聞かないで。僕もびっくりだよ。僕の存在意義は地に()ちたよ」

「同調は十八番(おはこ)だったもんな」

「体調は大丈夫なのですか?同調酔いは?」


 シルビアが医者らしい内容の質問をした。


『リードと同調するよりはるかに楽だ。心配はない。むしろリードと同調したあとの方が反動がひどかった』


「症状は?」


『吐き気、頭痛、発汗、発作のような呼吸困難』


「平然としているカイルが規格外なのが、よくわかる証言です」


『論文が数本かける』


「後日、聞かせてください。この虎の姿なら問題ないのですね」


『多分』


 皆はその返答に安堵した。ウールヴェに同調しての状態とはいえ、カイルしか連絡手段がなかったことを考えると、喜ばしいことだった。


「それにしても、さすがですね。ウールヴェをこんなに短期間で成長させるなんて――」


 シルビアがつぶやく。


「やっぱり成長には使役主の精神感応(テレパシー)能力の強さが要素としてあるのでしょうか……。非常に興味深い点です」


『あるかもしれない』


 ディムのシルビアの考えに同意を示した。


「そんなことより、僕は観測ステーションに帰還したいです」


 クトリが会話に割って入った。


『今、メインエリアの再起動中だ。移動装置(ポータル)の接続にはもう少しかかる』


「ええ~~僕、降下してから大変だったんですよ?」


『話はカイルから聞いている。クトリ、よくやってくれた』


 ディム・トゥーラに褒められて、クトリ・ロダスは満足そうな表情を浮かべた。逆にカイルは憮然(ぶぜん)とした。


「……やっぱり、ほかの人はストレートに()めているじゃないか」


『規格外という誉め言葉はお前だけの特権だ、喜べ』


「それ素直に喜べない……僕も普通に褒められたい……」


『100年待て』


 イーレがぷっと噴出(ふきだ)した。


「観測ステーションにいるような気分になるわ」

「確かに」


 シルビアも微笑んだ。


「おかえりなさい、ディム・トゥーラ」


『ただいま』


「で、観測ステーションには、エドはいるのよね?」


 イーレが確認した。


『いるが?』


「殴る。絶対に殴る」


『殴る?』


「イーレは所長が原体(オリジナル)が死亡した場所に隠して連れてきたことに憤っているんだ」


 カイルがディム・トゥーラに解説をした。


『……ああ、なるほど。所長は狸親父(たぬきおやじ)だからなぁ……イーレ、ジェニ・ロウもきている。イーレを心配している』


「私も二人と話したいわ。通信機の復活を待つしかないのよね?」


『そうなる』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ