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毒親告訴  作者: 宇野大江
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シスコン蛇告訴

申し上げます。申し上げます旦那様、とかいうあれ。

あの人はシスコンです。天に誓ってシスコンです。あのシスコンこそ憎むべき性差別主義者なのです。


何故あなた方はあの人を野放しにしておくのですか。あの人は罰するべきです。断固として厳罰に処すべきです。核ミサイルで火炙りにしたって足りないほどだ。何故なら彼はご自身がシスコンであることを公表しないばかりか隠蔽さえ試みるからです。凄まじい大罪人ではありませんか。この愚かしさと罪深さを何故あなた方は素知らぬふりをするのですか。


あの人は私の父です。蛇の神であります。けれども私は肉親であることを理由に庇おうとは思いません。正義の為にあの人を裁かねばならないから、私はこうして訴え申し上げているのだ。あの人はご自身の権威でもって罪を隠蔽するから、裁かねばならないのです。


あなた方だって知っているはずだ。あのシスコンはトゥーラの国を追放されたのだということを。


そうです。あの人はシスコンであるが故に追放されたのだ。


元々はあの人を泥酔させたテスカトリポカ伯父様が悪いのかもしれないけれども、それでもあの人は既婚者でありながらご自身の妹と寝たのだ。欲情していなければこうはすまい。元からあの人にはその気があったのだ。やっぱりあの人はただのシスコンだ。ろくでもねぇ。汚ならしい。浮気者は追放なんかじゃ生温い。


あの国はもうとっくの昔に大洪水でやられて水の底だけれども、だからって罪が帳消しになるとは思わない。唯一水が上がらなかったテオティワカンに我々集ったのだ。折角新しい世界を作るのだから、ついでにあの人を裁いたって良いじゃないか。あなた方は折角の新しい世界に汚ならしい奴を解き放つおつもりなのですか。そんなことはたとえオメヨカンの神が許しても私は許さない。


あの人は善の神を自称してあなた方もそれを信じているけれども、シスコン以外にも告発することは幾らでもあるのだ。ここでそれを列挙するのは実父の尊厳を傷付けるようで忍びない。それでも私は告訴しなくてはならない。これは子供の義務なのだ。親の間違いを正すのは私の義務だ。


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