if story 惨めな英雄 02
はい、今回もIFストーリーでございます。
皆さん、ほんとすいません。
本編更新は明日です!(.......多分)
前話で仲間の死を乗り越えたシュウはβテストのラスボス、邪神龍との戦闘が始まります。どうなる?!
今度ルシアに『ノベルアップ+』にもこれをアップしていいか聞いてみよ。めちゃめちゃ怖いけど。
彼女たちは俺が守らなければ。
彼女たちを死なせれば俺は、俺自身を許せなくなる。
・・・またあの時みたいに大切なものを無くしてしまう。
だが、一体どうすればこのバケモンに勝てるんだ?
俺は必死に考えていた。
それでも名案と呼べるアイディアは浮かび上がって来ない。
俺は唇を噛む。
血の味が口の中に広がる。
その時、龍は俺のしぶとさに面倒と感じたのか、標的をティアとヘルに変更した。
それを見た俺は慌て始める。
後衛のあいつらが死ねば俺は戦えない。
俺は必死に刀を振りかざし、注意を引こうとした。
こうなったらST消費は半端ないがあれを使うしかねぇ。
白虎を握りしめる右手から波紋のようなものが剣へと伝わっていく。
「スキル【神斬】!」
『名刀・白虎』が風をも切り裂く斬撃を邪神龍に直撃させる。無視出来ないダメージだったのか、邪神龍の意識が一度俺へと向いた。
そして俺は知っていた。
あいつらはその隙を見逃すほど鈍くない。
その時平原に響き渡ったのは、やはりあの2人の声だった。
「爆裂魔法【エクスプロージョン】なのだー!」
「水闇魔法【アビスオーシャン】....!」
ヘルが使用したのは爆裂魔法【エクスプロージョン】。その名の通り、爆発と爆風で敵にダメージを与える魔法だ。
爆裂魔法は全魔法の中で最も破壊に優れている魔法である。
ティアが使用した水闇魔法【アビスオーシャン】。それはなんとティアのオリジナル魔法である。効果は『相手の視界を奪う、相手を大きな水球に閉じ込める』の2つ。
視界を奪う事によって相手に状況を判断させず、水球に閉じ込められる事で呼吸の手段を奪うまさに悪魔的な魔法である。
そしてそんな二人の魔法は見事に邪神龍に直撃した。
それでも邪神龍は倒れない。
邪神龍は顔を覆う水が邪魔だと気づくと闇の炎を吐き蒸発させていた。
つまりティアの魔法は実質ダメージを与える事が出来なかったのである。
ティアの顔が悔しげに見えたのは気のせいでは無いだろう。
・・・それでも、2人の魔法は邪神龍の意識から俺を追い出してくれた。
ここからは俺がやってやる。
俺は意識を集中した。
俺の両手に何かが集まっていくのを感じる。
やがてそれは手のひらを伝い白虎へと流れ込んだ。
「......固有スキル【エンチャント・斬撃 Lv.MAX】」
この固有スキルは第79エリア・ボス初討伐報酬で受け取った。
この固有スキルの基本は付与魔法と対して変わらない。
ただ、消費するのがMPかSTかだけだ。
俺の手に握られた『名刀・白虎』は怪しげな紫色のオーラに包まれた。
「スキル【超速】」
俺の意識が一瞬飛ぶ。
スタミナを使いすぎたか。
ジョブ・アサシンをLv.17にする事で覚えるスキル【超速】。
お察しの通り、自らの素早さを底上げする便利スキルだ。
素早さが50%ほど上昇する。
そして最後に・・・
「スキル【断罪】!!」
体がふらつく。
視界が一瞬真っ暗になる。
スキル【超速】によって1.5倍となった俺のスピードにはいくら邪神龍とはいえどついて来れない。
元々かなりの名刀であるにも関わらず固有スキル【エンチャント・斬撃 Lv.MAX】によって切れ味を最大限まで強化した『白虎』。
そして邪神龍に使用するのは悪魔、龍、魔族、魔王、さらにPKプレイヤーに対し大ダメージを与えるスキル【断罪】。
これなら邪神龍を倒す程のダメージを与えられる筈だ。
これで倒せなかったら今回は撤退するしか無いだろう。
俺のスタミナもほぼ底をついている。
スキルを使えるのも後1回程だ。
俺は一瞬の内に邪神龍の懐に潜り込んだ。
地面を思い切り蹴り、龍と正面から向き合った。
俺と龍は殺し合いの最中にも関わらず視線を交える。
龍の瞳の奥には驚愕している様子が目にわかる。
俺がここまで早く動けたとは予測していなかったようだ。
龍は自らの死を実感したらしく瞼を閉じた。
「......ッ!」
俺が白虎を首元に叩き込むとそれはすんなりと龍の首部を叩き落とした。
目の前で邪神龍の遺体が地に伏した。
その光景を最後に俺は意識を失った。
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第99エリア・月夜の街【ダークセレナ】
その名に似合う暗い街の中を、金属音が響き渡る。
俺は周囲を見渡す。
そこには7つの影があった。
「シュウ、てめぇ中々やるじゃねぇかあ」
「........」
「レンジさんシカトしてんじゃねぇぞゴラァ」
「お前舐めてんのか、あ?」
「根暗返事しろよぉ!」
その時俺の右頬に大きな衝撃が走った。
俺は右頬を殴ったそいつを睨みつけ言った。
「ここにはこのエリアのボス討伐会議のつもりで来たんだが、これは一体なんなんだ?」
それを聞いた影たちは腹を抱えて笑いだした。
「お前そんなん信じてんのかよ、マジウケるんですけどぉ」
「プッ......こいつがほんとに最前線で最強のソロプレイヤーなのかよ」
「レンジィ?こんなヒョロいやつ殺すために修行してたの?まじ?超笑えるんだけどぉ 」
つまりボス討伐会議は俺をここに誘き寄せるための罠だったのか。
俺は『名刀・白虎』を鞘から抜く。
「お?お前一人で俺ら七人相手にする気なの?」
「バカやん、こいつ」
「いくら強くても七対一だぜ?なんだっけ、多勢に無勢だった。とりまそんな感じだぜ?」
「......」
「おい、なんか言えよ!」
そんな叫び声と同時に片手剣使いが突っ込んできた。
白虎と相手の剣が激しくぶつかり会う。
なるほど、最前線に来れるほどの実力は持っているようだ。
「ほらぁこのままだと死ぬぜぇ?スキル【刺突・改】」
スキル【刺突・改】。ジョブ・剣士のLv.5で覚えるスキル【刺突】の強化バージョン。
ジョブ・剣士がLv.MAXでないと使えない特殊なスキルだ。
かくいう俺も勿論使える。
「固有スキル【魔剣具現化】」
俺の右手から『名刀・白虎』が消え、代わりに両手に2本の忌々しい魔剣が突然現れた。
「スキル【薙ぎ払い】」
俺はスキル【薙ぎ払い】で相手の剣先を叩く。
剣先がブレてしまい、突き技であるスキル【刺突・改】は俺がいる方向とは全く違う方へと向かってしまう。
そしてそこで隙が出来たその男の横腹に魔剣を叩き込んだ。
もちろん、HPギリギリを狙った。
それを見た男はヘナヘナと地面に倒れ込む。
それを横目で視界に捉えながら俺は魔剣を他のやつらに向けた。
「おい、六人で囲い込むぞ」
「こいつ.....チッ、まあいい。こいつは俺が殺る」
そうして六人の男たちは俺を囲い込んだ。
俺は周囲に目を走らせる。
油断なく、真剣に。
その時、やつらの視線が一瞬交わる。
ここ!
「固有スキル【炎舞焼身】」
俺の声が高らかに夜の街に響き渡る。
その時、俺の魔剣が炎に包まれた。
スキル【炎舞焼身】。第87エリアボス、邪神龍の初討伐報酬だ。
βテストでは火炎魔法と爆裂魔法、ジョブ・舞踏家のLv.MAXで入手出来る最強クラスのスキルだ。
炎を武器に纏い、舞うように斬撃を繰り返す。
その威力はブレード&マジック内最高峰である。
瞬く間に男たちは倒れた。
全員リスポーンがまだ残っていたらしく気絶しながらも痙攣を繰り返している。
その時だった。
「やはりあなたはこのゲームをクリアするのに必要不可欠な人材のようですね」
突如聞こえたその声は何処か不気味だった。
まだまだ続くよ IF story。
後2回か3回でIF story 惨めな英雄完結です!
今レスター視点待ちです。皆さん、気長にお待ちください。
いちよー今回も3000文字は超えてますw
文章が荒い所もあったと思いますが許してー