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3人の理想郷  作者: ルシア&赤いモフモフ&提供者まりぃ
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01固有スキル

今回は赤いモフモフの担当だったけどルシがいなかったらここまでは書けなかった......。ほんとすんません((((;゜Д゜)))

 


「ッッッ!勝ったぞー!!!」

「やったー!!!」

「しっしゃあ!」



 そう言って俺達は勝利に喜んだ。

 そして、俺達はラスボスを倒した事で開く青白くぼんやりと輝くポータルの上に乗った。



 ついに俺達は、最高の栄光と名誉を手に入れたんだ。

 誰も到達したことが無いダンジョンの奥地に存在するモンスター魔王。

 最前線で戦ってきたからこそ、魔王討伐の達成感が半端ない。



 そりゃあそうだよな......俺たち三人は今まで、魔王を倒すためにこのゲームで戦ってきたのだ。

 奴を倒した俺たち三人の喜びは到底言葉なんかじゃ表現出来ない。

 胸に大きく息を吸い、ゆっくりと吐き出す。

 思わず両頬は緩み、鼻歌を歌ってしまいそうなくらいだ。



 帰ったらココアを片手に、コタツに入ってゆっくりしよう。

 そう思って安堵したその時だった。



『…システム、エクストラエネミー・コード002ノ消失ヲ確認。

 プレイヤー・コード54265、54613、54391ヲ確認。

 コレヨリボーナスアイテムヲ与エル』



 勝利の余韻に浸っていた俺たちは、突如魔王の住処に響き渡った機械音に思わず耳を塞いでいた。

 まるで黒板を爪で引っ掻いたような音だ。



「なんなんだよ、この声?」

「分かんないけど…物凄くうるさい」

「シャル、シュウ!大丈夫か?!」



『エクストラ

 ポータル・コード001使用ヲ申請…許可。

 転移後座標 (936,472,592)二決定。

 転移ヲ強行シマス』



 その機械音が止むと同時に、俺たちの乗ったポータルが光り輝き始めた。

 普段使ってる街と街を結んでいる転移ポータルとは明らかに違う。



 ───ジジッ!!



 何かが焼き切れた音が頭に響く。

 それを最後に俺は意識を失った。





 ________







 …シュウ…



 …シュウ…



 …シュウ!



 ん…?ここはどこだ…?俺は一体なんでこんな所に…って大丈夫だぞ、どんな時も冷静になれ。



 俺はガバッと体を勢いよく持ち上げた。

 俺は周囲を見渡し驚愕する。

 上空にはキラキラ光る綺麗な星空が広がっている。

 そこは夜空の平原だった。



(ここは一体…?)



『プレイヤー・コード54265ノ意識ノ覚醒ヲ確認。

 コレヨリエクストラエネミー・コード002初討伐ノボーナスアイテムヲ付与スル』



 この静かな平原にとても似合わないその機械質な声を聞いた時、俺は全てを思い出した。

 魔王を討伐したらポータルが現れ、そのポータルの転移によって今俺はここにいる。

 だがさっきシャルの声を聞いた気がしたんだが...。

 俺は何気なく視線を向けた右手に苦労せず答えを見つける事が出来た。



「シャル、レスター俺は無事だぞ?そっちは大丈夫か?」



 それはギルドでパーティーを組む時に配布される伝達指輪というものだった。

 伝達指輪は遠く離れているパーティーメンバーともいつでもコミュニケーションを取る事が出来る優れものだ。

 先の魔王戦でも爆発音が響き渡るダンジョンの玉座の間で俺たちが連携を取れたのもこの指輪によるところが大きい。



「おう、シュウも無事みたいだな!」

「そうだね。良かったー...」

「みんな今何処にいるかわかるか?」

「…星が綺麗な平原のような場所だよ?」

「星空と生い茂る草以外にはなんも見えねぇな。あ、でもさっきからあの機械音がボーナスアイテムを与えるとか言ってるぞ」



 そうか、みんな同じ状況なのか。



「シュウ、レスター取り敢えずボーナスアイテムを受け取ってみたらどう?ラスボス討伐の報酬だよ?」

「そうだな、とりあえず報酬を確認してみよう」



 あの魔王を倒したんだ、いい防具かいい武器、希少アイテム、それ以上の何かかもな?

 こんな妙な事態に少し違和感を覚えながらも、俺の心は次第に興奮を取り戻していった。



『エクストラエネミー・コード002討伐者ノ賛同を確認。

 コレヨリ討伐報酬【固有スキル】ヲ付与スル』



 は?固有スキル...?

 思わず耳を疑う。

 固有スキルなんてゲーム内の公式大会以来だぞ?



「シャル、レスター。固有スキルだっ......

『プレイヤー・コード54265 β()()()()デノ称号ヲスキャン開始......完了。

 称号《魔剣使い》ダト認定。・・・・固有スキル【魔剣具現化】ガ最も適シテイルト判断。メインシステム二報告......完了。コレヨリプレイヤー・コード54265二固有スキル【魔剣具現化】ヲ付与スル』



 その言葉を合図に俺を囲うようにフワフワと浮く無数の虹色の球体が突如どこからか現れた。

 そしてそれは段々と一つの球体になってゆく。

 あまりにもその光景が美しく俺はその光景に言葉を失う。

 星が輝く夜の平原。風が囁き、虹色の球体がひとつに纏まっていく。



 やがて一つの球体になると()()は俺の方へとゆっくり向かってきた。

 そして、虹色の光はゆっくりと俺の胸の中に入っていった。

 周りを照らしていた虹色の光が突如消える。

 不意に訪れる静寂。



 次の瞬間、静寂を破る機械音が鳴り始める。



『プレイヤー・コード54265、無事固有スキル【魔剣具現化】ヲ獲得』

『プレイヤー・コード54613、無事固有スキル【死神】ヲ獲得』

『プレイヤー・コード54391、無事固有スキル【錬成】ヲ獲得』



 3種類の機械音が俺の脳内に響き渡った。

 今のが固有スキルを手に入れたって事なのか?

 あの虹色の球体が固有スキル?



 というか、固有スキルを見るだけで誰のか分かるな。



 まず【魔剣具現化】は俺の固有スキルだろう。

 俺自身魔剣を好んで使っているからな。

 しかもうちのパーティーで魔剣使うのは俺だけだし。

 と言うよりこのゲーム内で魔剣を振るえるのは俺だけだしな。



 そして【死神】は十中八九シャルのだろう。

 あいつはPK大好きだし武器が大鎌だしまさに死神って感じがするからな。

 あいつ曰く「強いプレイヤーのPKは経験値多いからね」

 って…うん、サイコパスの言動だろ。



 残った【錬成】はレスターのだ。レスターは半端じゃない。

 リアルでもゲームでも筋肉マッチョのくせに手先が意外にも器用だしな。

 物づくりとか得意だし。

 レスターのイメージ通りでびっくり。

 俺は直ぐに伝達指輪に話しかけた。



「レスター、シャル。2人ともイメージ通りの固有スキルだったな」

「錬成か・・・早く使ってみたいな!」

「死神...?私はただ経験値が欲しいだけなのに。2人とも酷いと思わない?」

「「それは・・・ノ、ノーコメントで・・・」」



 ________




「ここから帰ったらログアウトしてナオも呼んでパーティー開かないか?」

「おお、いいなそれ。パーッとやろうぜ!」

「私も賛成かな。でもなんで奈緒ちゃんなの?」

「・・・別にいいじゃんか、なぁレスター?」

「俺は別にいいと思うぞ?」



 やっとか...やっとこれで帰れるのか。

 てか奈緒に自慢したい。

 たかがゲームに何熱くなってんのさ、なんて言われるかもしれない。

 けど、廃人化した俺にとって学校より、友人よりも、家族よりもゲームが一番なんだ。

 まぁ奈緒、シャル、レスターは別だけどな。

 奈緒もブレード&マジックやればいいのに。


 そんな事を考えながら俺は二人の背中を追った。



「レスター、シャル。俺たち英雄になれたかな?」

「そうだよ、私達ついに英雄になったんだよ?もしかしてシュウはまだ全然実感が湧いてないの?」

「ちょっと待てよ2人とも。俺らはここからどうやって出るんだ?」



 静寂。レスターの言葉を聞いた俺は直ぐに周りを見渡す。


 ポータルはどこだ?

 何処にある?

 まさか、無いなんてことはあり得ない。

 その時だった。

 またあの耳につく嫌な機械音が星空の下、大きく響き渡った。



『固有スキル付与......完了。・・・コレヨリβテストヲ終了スル......終了ヲ確認。全プレイヤーニ告知.....開始。

 《魔剣使い》シュウ、《死神》シャル、《錬成》レスター。

 コノ三名ニヨリ、魔王ガ討伐サレタ。

 ソレニヨリコレカラ【ブレード&マジック】本編ヲ開始スル。

 本編デハ三回シンダラ即ゲームオーバー。現実デノ命ヲ落トス。

 ログアウトハ不可能。

 クリア方法ハコノ世界ニ侵略シテキタ魔物ノ王ヲ倒ス事。

 最後ニ全プレイヤーヨ、検討ヲ祈ル』



 その言葉が終わると同時に俺たちの足元に突然、ポータルが現れた。

 視界が青白い光に包まれていく。



「みんな......ッ!」



 転移ポータル使用後の軽い頭痛。

 その痛みを煽るように、ガンガンと鐘の音が鳴り響いている。

 聞き間違うはずがない、この鐘の音色はブレード&マジック名物、始まりの街で鳴り響く鐘の音だ。

 目を開けた俺は驚愕する。



「何なんだよ、これ。どうして俺は始まりの街に?」



 これが最恐最悪の厄災と伝わる歴史的大事件。

 その始まりの汽笛だった。

次話はアハトです。お楽しみに!?

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