00ラスボスを倒して
そっと耳を澄ませば、聞こえてくるのは私達三人の足音。
「やっとここまで来れたな」
「うん…そうだね」
「ラストスパートだ、行くぞ!シャル、シュン!」
「「了解!」」
シュウが大きな扉を開き私達は武器を構え暗い通路を進んで行く。
ギギギと音を立てながら大扉が閉まって行く。
閉まると同時に、入口から奥に向かい、暗い通路のランプに青色の炎が宿っていく。
そして最奥に大きな玉座が照らされ、そこには6の腕を持つ龍が座っていた。
「あの龍が魔王か?」
「ラスボスはやっぱり魔王でしょ」
そう言うシュウに私は同調する。
「行くぞ!」
そう言ったシュウに続き私達は走り出す。
そんな私達に魔王は腕の一つをこちらへ伸ばす。
魔法かな…?。
指先から火の玉が現れ、飛んでくる。
それを避けると地面に当たり爆発する。
凄い威力だね…。
「これに当たったら私、1撃で死にそうだね…」
「なら当たらなかったらいいんじゃないか?」
そうシュンが疑問のように言う。
そうだけどさ…。
そしてある程度近づき、魔法が撃たれたとき、私達は散開する。
「【天駆】!」
「【迅雷】!」
私は魔法を躱し、魔王の首筋に向かい天を迅雷の如き速さで駆け大鎌で切り裂く。
ガキィン!
「なっ!?」
スキルを重複し、弱点であるはずの首元へのまさに完璧な一撃。
そんな一撃ですら魔王の首筋にわずかな傷をつける事すらかなわなかった。
「ちぃ!【ブラッディーエンチャント】!」
「【爆炎】!」
そう唱え魔王の首筋にデストラスを突き立てる。
鱗の間に突き立てると首に一つの傷が出来た。
龍の魔王で良かった!。
そしてその傷をスキル【爆炎】で爆発させると、周りの鱗が数十枚はがれる。
「シュウ、お願い!」
そう言って私は奴の首を蹴り飛ばし、その鱗を下に落として魔王から離れる。
「おーけー!、【神斬】!」
「【天落とし】!」
そう言ってシュウは飛び、魔剣で首を切り裂き続ける。
さすがパワータイプだね…、凄い連撃じゃん…。
天落としは敵を貫き、空に居る敵を下へ落とすスキルだ。
それを首元に刺し貫かれた魔王は後ろに向かい、倒れて行く。
「よっしゃあ!」
「シュウ!離れろ!!」
そう喜ぶシュウにレスターは怒鳴る。
その時、魔王の腕が動きシュウが捕まえられた。
「ぐ、離せ!」
「シュウ!」
「シャル飛ばすぞ!あいつの腕を刺し貫け!」
「了解!」
私はレスターの大剣に足を乗せ大剣を振るい、私がそれを蹴る事で圧倒的な速さで魔王へ飛ぶ。
まさに私たちだからこそできる連携だ。
「【迅雷】!」
「【天駆】!」
それに私は迅雷と天駆で更にスピードを高めてデストラスを大きく振りかぶり魔王の手首を刺す。
すると魔王の腕はなぜか柔らかくなっておりバターのように魔王の腕が切り落とされた。
「なっ!?」
予想外の事に私は勢いを付けすぎ、反対側の壁に着地する。
魔王を見ると魔王の背中から黒い触手のようなものがたくさん溢れ出ていた。
みしみしと音が聞こえ王座の間が壊され、そこからたくさんの触手が現れ、王座の間が完璧に破壊される。
そしていつの間にかダンジョンは星の煌めく夜空の平原に変わっている。
その平原には6個の足が生え、たくさん口や触手が生えているモンスターが9体。
それの上には信じられないほどの大きなモンスター、いや『邪神』が君臨していた。
「メエエエエエェェェェェェェェ!!!!!」
「メエェ!メヘェェェェ!!!」
魔王だったモンスター達がヤギのように鳴く。
たくさんの口と触手を持つ6つ足のメエとヤギのように鳴く者を私は一体しか知らない。
まさかこのゲーム、『ブレード&マジック』にこんなのが居たとは…。
「黒イ仔山羊…」
「てことは…!」
だとしたら上のはクトゥルフ神話女神、シュブ・ニグラス…。
こんなの…殺せるの…?。
「あいつを倒せば終わるのか?」
「何を言って…」
「あいつを倒せば俺らが最強!…だろ?」
「…はぁ」
全く…こいつと言うやつは…。
思わず呆れてしまうほど、レスターは満面の笑みを彼の顔に浮かべていた。
あいつが言うなら私達でこいつを倒さないとね…。
「ニグラスを殺すなら、山羊から倒さないと…」
「そうか、なら俺が囮になる!その隙に仔山羊どもを倒して来い!」
そう言ってレスターはニグラスに向かい駆ける。
まったく…昔はここまでカッコイイ事言うような奴らじゃなかったのに…。
「君等にばっかりいい格好はさせられないよ」
「なら俺達で早く小動物どもを駆除しないとなぁ?」
「そうだね」
そう言って私は剣を構えるシュウの後ろで大鎌をまた、構え直し、強くにぎり締めた。
私たちは英雄になるんだ、三人で。
シュウは駆け出し、私はそれに着いていき、力の限り大鎌を振るう。
「【神斬】!」
「【迅雷】!」
そう唱え、シュウが切り裂き、露出させた魔物の心臓と言われる『魔石』を砕き、確実に殺して行く。
切り裂き、貫き、薙ぎ払う。
私達の体は返り血に汚れていくがそんな事気にしている場合じゃ無い。
一刻も早く、この羊を全滅させてレスターの元に向かわないと。
「これで......最後だ」
シュウの閃光のような一閃が最後の黒イ仔山羊を襲う。
一撃で両断されたそいつは弱々しく鳴きながら地に付した。
その時だ。
突然、私達の武器が赤い波紋を弾き始めた。
それと同時に私達が砕いた黒イ仔山羊の魔石が同調するように赤く光り始める。
「なに、これ......」
異様な光景だ、こんなモノ見たことがない。
シュウへと目線を向ける。
シュウも何が起きてるのか分かっていないっぽい。
次の瞬間、私達の武器は突如鋭く光ったかと思うと、いつの間にか変化していた。
魔石は消えている。
全ての山羊達を倒した時、私達の持つ武器は変化した。
私の大鎌が機械のように変わり赤い大きな魔石が刃に埋め込まれそこから赤い線が入っている。
そしてその大鎌の柄に『死神の大鎌デストラス』と刻まれていた。
シュウの剣も赤い魔石が柄の下に埋め込まれそこから波紋状に脈打つように剣先に向かい広がって行く。
そしてその剣の柄には『神魔の剣ティルフィング』と書かれていた。
「なんだこの剣!?ってか早くレスターのところに…」
そう言った所で地震が起こったように地面が揺れ、辺りを見渡すとニグラスが倒れている。
「どうした化け物!」
声が聞こえそこを見るとレスターがニグラスに走っていた。
私達はレスターに近づき一緒駆ける。
レスターの大剣のガードの所に赤い魔石が見え、そこから黒い炎が伸びていく。
その大剣の柄に名が書かれておりそこには『暴虐の大剣ルヴァリアス』と書かれていた。
「すげえなレスター!」
「囮なんだからちゃんと引きつけねえとな!」
「で?武器が変型したんだがどうやって倒すんだ!」
「もし…3人だけでこんなゲームで最初にラスボス討伐したら英雄って呼ばれるかもね?」
「…ああ!そうだな!3人で行くぞ!【神斬】!」
「【断罪】!」
「【血界】!」
そう言って私達は勝利をよろこびあった。
そして、私達はラスボスを倒し開いたポータルの上に乗る。
「てか、断罪つよくね!?」
「それ言ったら血界もだろ」
そう言ってシュウがはしゃいでレスターが冷静を装っている。
自分も嬉しいだろうに…てか、断罪って魔王と魔族と龍族にしか特攻能力ないと思ってたんだけど…神話にも効いたのか。
それ以前に神話なんて分類あるのかわかんないけど。
血界はまぁ、元々悪魔の王が使ってた能力だしね。
全容は把握出来てないけど属性…だったっけ。
「まぁ、それ言ったら神斬もすごいと思うけどねー」
ついに、私達は三人で最高の栄光と名誉を手に入れる事が出来た。
皆がうれしさではしゃぐ気分を少し落ち着かせて、私達はボスを倒し出現したポータルに乗った。