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第03話 俺が死んだあと2

2話目です

 どうやら、俺は1年ほど時間を止められていたらしい。

 そして、それが解除されたと思ったら、隣には母さんが立っていた。

「でも、なんで母さんがここに」

 俺としてはそれが気になった。

「そうですね。まずはこの1年何があったのか説明します。どうぞ、座ってください」

 そういって、アエラ様が言うといつの間にかイスとテーブルが現れて、しかもテーブルの上には紅茶とお菓子が置いてあった。

 俺と母さんは戸惑いながらも、アエラ様が座った後同じく座った。

「さて、それでは、お話しますね」

 そういって、アエラ様は紅茶を1口飲んでから話し始めた。

 それは、俺が死んだ直後からだった。


 俺と一緒に落ちた颯太は意識を失い重傷だったが生きていた。

 それを聞いて俺としてはくそっと思った。俺が死んで、なんで颯太は生きているんだよと。

 そんなとき、屋上にいたほかの連中はというと、最初は茫然としていたが、すぐに我に返って口裏を合わせることにした。

 それはもちろん事前から打ち合わせていたこと、つまり、俺が自殺したということだった。颯太は、そんな俺を止まるためにとっさに手を出し、俺の重さに耐えきれずに一緒に落下したというものだった。

 おいおい、ふざけんなよ。

 俺は憤慨した。隣では母さんもまた怒っていた。

 そうしたことにより、颯太の父親が突如俺を訴えた。

 といっても、俺はすでに死んでいるので、代わりに母さんがその裁判に出ることとなった。

 そうして始まった裁判、颯太の父親は有名人、持てる力をすべて使って優秀な弁護士を雇ったらしい。

 それというのも、実は俺の父親の不正を暴いたのが颯太の父親で、その後テレビなどでコメンテーターなんかをしていたようでその出演料や、本を出していたこともあり相当な金持ちだった。だから、優秀な弁護士を数人雇うことができた。

 しかし、母さんは無理だ、何せ父親が原因で職を転々としていたし、給食費すら払えない、日々の生活で一杯一杯だった。そんな中弁護士に依頼料なんて払えるはずもなく、母さんについた弁護士はなんとも頼りなさそうな、やる気もなさそうな男だった。

 ちなみに、それらの様子はアエラ様が空中に投影して見せてくれた。

 こうして始まった裁判だけど、当然こっちが勝てる見込みは皆無だった。

 母さんも終始うつむきながら相手の主張を聞いていた。

 裁判の中で俺の自殺の動機の話になったわけだけど、それは生活苦だった。まぁ、確かに、それは事実として、うちは生活がかなり苦しかった。でも、だからといって俺としては自殺なんて全く考えていなかった。

 だから、俺はそれを当然隣にいる母さんに言った。

 それを聞いた母さんはわかっていると言って俺の手を握ってくれた。

 それから、裁判は母さんが俺を虐待していたのではないかという話となった。それは違う、少なくとも俺はそうは思わない、確かに生活は苦しかったけど、母さんは自分の食料を少ないながらも俺に分けてくれていた。

 そして、そんな俺の思いとは裏腹に裁判は終盤に差し掛かり、母さんに俺を虐待死させたという判決が今まさに出されようとしていた。

 そんな時だった、突如裁判所に設置されていたモニタにノイズが入ったかと思うと、ある映像が流れた。

 その映像は、そう、まさに俺が死んだその日の映像だった。

 そういえば、今思い出すといつのころからだったかわからないが、俺がいじめを受けている時、誰かが常にスマホで撮っていた。それは事件当日も同じだった。

 つまりこれはその映像だろう。

 そうして流れた映像は俺が屋上に無理やり連れていかれたところから始まり、屋上で数人に抱えられて抵抗しながらも柵を越えさせられて、颯太が突き落とした瞬間までの物だった。

 これを見たすべての人間がかたずをのんで映像を見ていた。

 颯太の父親は真っ青になり、それ以外はあまりの凄惨な光景に目を背けようとするものまでいた。

 その映像の中には颯太が俺に言った『死ね』という言葉がはっきりと記録され、周囲の連中の笑い声まで聞こえてきた。

 そして、俺が突き落とされた瞬間悲鳴を上げるものまでいた。

 そのあとも、俺がこれまでいじめを受けていた時の映像が流れ続けていた。

 そこで、ようやく裁判長が発言、これはどういうことだと。

 もちろん職員たちはわからない。

 一体、誰がこんな映像をと思っていたら、どうやらこれらの映像はすべてアエラ様が罰として、流したものだそうだ。

 そして、罰であることから、この映像一切修正は入っていない。つまり、殺された俺の顔も他の連中もすべて顔も表情もすべて流れていた。

 それから、すぐに一旦裁判は中止となったが、この映像はそれだけでは収まらなかった。何せ、この映像は裁判所だけではなくネット上にも同じように流されたからだ。

 つまり、世界中の人間が俺が颯太に殺された瞬間、颯太たちに長年いじめを受けていたことを知られたということだった。

 そうなってくると、災難は颯太とその父親だろう、何せ颯太の父親は被害者の父親から一転殺人犯の父親となった。それだけならまだしも、颯太の父親はこれまでテレビでコメンテーターとして活躍しており有名人、その反響は言うまでもないだろう。

 おかげでしばらく、颯太たち一家はかつての俺と母さんが受けたような仕打ちを受ける羽目となった。

 そうした中再び裁判が行われたが、それは当然俺を殺した颯太に対するものや、俺をいじめていた連中に対するものだった。

 そこで、母さんは俺が颯太から長年いじめを受けていたことを話した。

 俺はびっくりした、まさか母さんがいじめを受けていることを知っていたとは。

 そう思って隣を見ると、ごめんねと言ってきた。

 それは、知っていて、どうすることもできなかったことを言っているらしい。

 そして、裁判の判決は、当然有罪、颯太の父親は颯太の代わりに母さんに慰謝料などを支払うことになった。こうして、俺の死に結末が付いたわけだけど、実は、この話には少し続きがある。

 なんでも、俺をいじめていた連中、やつらも相応の罰を受けていた。何せ、あの映像には全員の顔がはっきりと映っていたからな。まず間違いなくあの学校にはいられなくなり転校しても、その先では俺をいじめた中にいたことがばれ、人殺しとして攻められた。

 また、そんないじめを放置していた教師連中も懲戒免職となり職を失い、結婚していた教師たちは離婚されたようだ。

 こうして、俺の死ということで多くの者たちに罰が降りたということだ。


 一方、母さんはというと、1人颯太の父親からもらった大金を手に細々と生きるとともに、時々やってくる無遠慮な報道をかわしながら、生活していた。

 しかし、長年の無理がたたってか、つい最近体調を崩して入院、そのまま命を落としたということだった。


「ということです。少々やり過ぎたような気がしますが、これは折を見てフォローしておきます」

 アエラ様はそういった。

 だが俺はあまりそれを聞いていなかった。なんといってもこの1年母さんにどんだけ苦労をさせ、どんだけ悲しませたのかを知ったからな。だから、俺と母さんはお互い手を取っていた。

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