プロローグ:大勇者アノヴァ・クルスト
昔々あるところに、アノヴァ・クルストという貴族の子供がいました。
彼は誰よりも強く、賢く、そして、勇敢でした。
アノヴァがすくすくと成長している頃、トラウィス国は、魔王の脅威に怯える日々を送っていました。
魔王は、残忍で人の心を持たず、何人もの人を殺しました。
人間に魔族に勝つだけの力はありません。
人々は恐怖を感じながら、心の底では救世主を求めていました。
そんな中、アノヴァは成長し、大人になりました。
そこでも彼は一番強く、同じ年の子だけではなく、大人ですら彼には誰も敵いませんでした。
この頃になると、アノヴァは最も強い男であるとの噂が、国中に流れていました。
そこで国王は、アノヴァを城に呼びつけてこう言いました。
「勇者となり、魔王を倒してはくれまいか?」
アノヴァは、喜んでその申し出を引き受け、すぐに魔王を倒す旅に出かけました。
その道中でも彼は、たくさんの魔族と遭遇し、その全てを倒していきました。
その闘いの中で、彼はさらに強さを増していきました。
しかし、そんなアノヴァにも危険が訪れることもありました。
魔王の子である七魔皇族との闘いは、激闘となることもあったのです。
そんな彼を支えたのは、旅すがら仲間となった、賢者クレア・アッカーソンと、騎士レイ・ゾルガでした。
クレアは、魔法が得意でした。
時には魔族を炎魔法で丸焦げにし、時には魔族の魔力を全て吸収し、時にはアノヴァを強くする魔法で援護しました。
レイは、人を守るのが得意でした。
重い盾で魔族の攻撃を凌ぎ、鋭い剣で魔族を薙ぎ払い、いつもアノヴァとクレアを守っていました。
彼らは、間違いなく世界最強の三人組でした。
そんな彼らは、ついに魔王と対峙することになりました。
勇者は言いました。
「魔王よ、降伏する気はないか。私たちも争う気はない。血が流れぬのなら、それに越したことはないのだ」
魔王は、嘲り笑いました。
「今更降伏だと?我が貴様らに負けることなど、万に一つもありはしない!」
勇者たちは闘いました。
魔王は、旅の途中で出会った魔族の誰よりも強く、決着はすぐにはつきませんでした。
死闘は、三日三晩も続きました。
その頃、王国では、勇者たちが魔王に負けたという噂が流れ始めました。
勇者たちがあまりにも長い間、帰ってこなかったからです。
みんな、勇者たちの負けを疑いませんでした。
みんな、絶望の顔をして毎日を送っていました。
そんな中、国に三人の人影が近づいてきました。
敵襲かと兵は身構えましたが、どうやら敵ではないようです。
その正体に、みんなが驚きました。
なんと、アノヴァ、クレア、レイの三人だったのです。
そう、三人は三日三晩の死闘の末、魔王を倒していたのでした。
それから一週間、国は三人を英雄と称え、祭りを開きました。
アノヴァ、クレア、レイの三人は、それぞれ大勇者、大賢者、大騎士と呼ばれるようになりました。
それから、魔王が現れたことは一度もありません。
こうして国は平和になりました。
めでたしめでたし