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家族と引き換えに世界を救います‼  作者: アカツキ
転生
8/10

占いの結果

ちょっと間が開いてしまいました。

平日更新は難しいかもです。

食事をとっていた部屋は散らかってしまったので、蛇人(ナーガ)の医者が自由にできるという二階の仕事部屋に案内された。

白が基調の清潔でシンプルな部屋だ。

テーブルとソファ、ベッド、奥にあるのは仕事机だろうか。


「いやぁ。すまないね。下の部屋に比べるとどうにも殺風景な部屋でね。どうぞどうぞ座ってくれ。ええとロウちゃんだっけ?」

「ロウド・サージです。以後お見知りおきを。こちらは母の」「シエラ・サージです。」

一応自己紹介をしてソファーに座る。

「噂にたがわない大人っぷりだね。私はアージート・ヒアトロア・オルミネウス。この占いの館の専属治癒士だ。こういう幻視酔いは時間との勝負でね、何かあってもすぐ対応できるようにしているんだ。」

机の椅子に腰かけたアージートは医者にしては軽い口調で話す。


蛇人(ナーガ)の人は初めて見た。

赤い目に鱗の肌、頭部に耳は無く、時折口から覗く細い舌と2本の牙が蛇らしさを醸し出している。

見た目は人間からかけ離れているが、やはり骨格は同じなのか白衣に包まれている身体は女性のモノだとすぐにわかる。

ズボンの裾から覗く足はなぜか裸足で深緑色の鱗が見える。

彼女の凛とした雰囲気と先ほどの素早い処置からは、かなり優秀な治癒士であることがわかる。


「幻視酔いってのはまぁその名の通りだけど、幻覚を見たときに酔うんだ。何重にも重なった未来の映像は人間の脳を簡単にパンクさせてしまうんだよ。」

「未来視はメリットばかりではないみたいですね。酔ったリンゼイさんを治すのに先ほど使用した魔法陣は(ファントム)属性ですか?」

全ての属性に治癒魔法はあるが、人間の感覚を狂わせる(ファントム)属性をどう治療に使っているのか気になった。

「陣を見ただけで属性が分かるとはね。可愛い顔してるのに随分ヤるね。私の手の内がバレてしまいそうだよ。まさか年齢詐称とかしているの?」

失礼な人だな……。

確かに中身は還暦手前だけどこの身体はまだピチピチの4歳児だよ!

「いえいえ、ノーマルの成長は早いんです。」

「でも君はカル坊よりは年下だろう?成長が早いだけでは納得出来ないな。何か特別な勉強法でもあるのかい?それとも何か持って生まれたものでもあるのかな。」

ん?なんだ?この人妙にぐいぐい来るな?

そんなに俺のことが気になるのか?

「本を読めば多くのことは書かれていますよ。先人たちの研究の賜物ですね。」

「ふむ。素晴らしいな。その年齢でその受け答え、私の研究室で雇いたいくらいだ。どうだい?初等部卒業したらウチに来ない?」

「お誘いはありがたいですが、申し訳ありません。出来れば私は世界を見て回りたいと思っておりますので。」

あんまり興味を持たれると面倒だな。探られるのも好ましくない。

「そうか。残念だな。」

アージートは誘いを断られたにしてはずいぶんと落ち込んでいるように見える。


「で、先ほどの魔法陣については教えていただけるのでしょうか?」

俺は強引に話を戻した。

「アハハハ。申し訳ない、ノーマルに会える機会は滅多にないから学者精神が騒いでしまったよ。さっき使った魔法陣はね、(ファントム)属性で対象に幻覚を見せる魔法だ。」

幻覚魔法?それだけで意識のない人間を復活させられるのか。

怪訝な顔に気付いたのかアージートが追加で説明する。

「未来視で倒れたってことは、脳内が多くの映像で埋め尽くされているってことだ。つまり入ってきた映像の処理を一旦他の映像で上書きして楽にしてやればいいのさ。幻覚で現実を見せるイメージだね。」

「幻覚にそういう使い方があるんですね。リンゼイさんは私の未来を見て倒れましたけど、私の未来がそんなに複雑なんでしょうか。」

今一番気になるところだ。

「うーん。君の1年後に多くの可能性があるか、君の1年後がかなり悲惨なモノだったかのどちらかだね。恐ろしい映像に耐えられなかった可能性もあるから。今はリンゼイの脳内でゆっくり消化している最中だから後で聞いてみると良いよ。」

悲惨な未来か、1年後って近いな。

「そう悲観することはない。まだ幼い君には無限の可能性が広がっているんだ。悪いこともあるし良いこともある。確定した未来など存在しないよ。………シエラさんもそんなに心配しなくても大丈夫だよ。」

ふと隣を見るとシエラが暗い顔をしていた。


「悪いかもしれないんですよね?悪い未来もあるんですよね?」

今の俺たちは互いに唯一の家族だ。

家族に悪いことが起こるかもと言われて不安にならないはずはない。

かなりの動揺しているように見える。

「シエラさん落ち着きなさい。ロウド君に何かあったら助けるのは貴女方ご家族ですよ。」

「私以外には誰もいないんです。私は迷い人で……気付いたら森の中にいて。何も思い出せなくて。でもとにかく生きなきゃって。」

シエラが珍しく昔の話をしている。

「そうでしたか大変でしたね。ロウド君はいつ頃?」

「商隊に保護されてすぐに医者の診断を受けました。その時に……。」

迷い人になった時点で俺を妊娠していたってことか。


「もしかして、ロウド君に父親はいらっしゃらない?」


アージートが変なことを聞いた。

は?何言ってんだコイツ。

「はい。」

え?いないの?俺に父親がいないってどういうことだ?

「もしかして……天使に会いましたか?」

アージートが続けて質問する。

天使?もしかして転生したときに出会ったやつか?


「はい、天使が夢にあr「お母さん!!そろそろ帰ろう。夜の準備しなくちゃ。」

慌ててシエラの言葉を遮る。

多分、人に知られて良い内容じゃない。

「え?ああ、そうね、そうよね。そろそろ帰ろうね。アージートさん変な話をしてしまってすみません。今日は失礼します。」

シエラも言い過ぎたと思ったのか席を立つ。


「ごめんな。帰せないんだ。」

空気が変わった。

アージートの雰囲気が先ほどまでと全く違う、笑ってはいるが張り付いた能面のような冷たい笑顔だ。


「アージートさん?帰せないってどういうことですか?」

シエラが恐る恐る質問する。

「実はね、シエラさんだけに来てもらいたい場所があるんだ。」

「私だけにですか?」

「うん。そうシエラさんにだけ。詳しい話をする前にちょっとそこの偽物には退場してもらわないとね。」


スッ

アージートは右手で俺の眉間をまっすぐ指した。

「さようなら、まだまだ幼い魔王ちゃん。——土よ我が敵を打ち砕け(ロックショット)‼——」


「ロウド‼」


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