天使の説明
もういっちょう連続投稿
「世界を救ってください」
金髪女性改め天使は2回繰り返した。
いや2回言わなくても聞こえているが、なんでそんなに話が大きくなった?
「あなたの大切なものを救う代わりとしては妥当なお仕事だと思いますよ。救世主さんの世界より大切な4人の命の対価です」
なるほど妥当だな。規模の差はすごいけどな。報酬は先払いとかにできるのか?
「できますよー。その方がやる気も出るでしょう。確認しますか?」
俺がうなずくと目の前にスクリーンが突然現れた。4分割の画面に映っているのは4人が寝ている病室だ。
子供3人はスヤスヤと眠っているように見える。音声は無いが妻は医者と話しているようだ。
これはもう救われたということか?
「ええ。あなたに任務を確実に遂行してもらうためにはこの方が良いでしょう?」
つまり俺はもう世界を救うしかないということか。
「はい。救うまでお仕事はやめられません。」
1人で世界って救えるのか?途中で失敗した場合はどうなる?
「軍人として輝かしい経歴のあなたならできますよー。次の世界を救って貰います。」
適当だな。軍人であることが神に魅入られた理由なのか。次があるということは永遠に神の手下ということか。
「言い方が悪いですねー。手下じゃなくて”神の先兵”とかにしませんか?かっこいいですし。で?どうですか?世界救っていただけますか?」
まぁ家族が救われたならやるしかないな。世界でもなんでも救ってやろう。
「それでは契約しましょー。右手を出して私の手と合わせてください。はい。それではいきます。」
天使の柔らかい手と手のひらを合わせるとゆっくりと詠唱を始めた。
――我新たなる英雄をここに召喚す。我は主の導きに従うもの。主の名において汝を英雄とす。汝はその血肉を捧げよ。主は汝に導きと力を与えん。使命完遂の暁には永遠の安らぎを得るだろう。ここに契約の証明を刻む。――
詠唱が終わると右手の甲に赤い放射状の傷跡のような印が浮かび上がった。
これはなんだ?
「英雄の印ですねー。この印を持つ人に我々は主の啓示を与えることができます。なんか特別な指示等があれば印を介してこちらから連絡しますね。」
まるで犬の首輪だな。
「そう卑屈にならないでくださいよー。下界とつながるのはいろいろ手順が大変なので簡略化してるんですよー。それでは転生準備を始めますね。何か聞きたいこととかはありますか?」
白い空間がさらに白く輝く始めた。
1つだけ聞かせろ、世界を救ったということはどう判断するんだ?
「世界が救われたらです。」
空間がどんどん眩しくなっていく。
は?救われ方もいろいろあるだろ?
「ええ、ですからあなたの考えで世界を救ってください。それでは行ってらっしゃーい」
いやおいちょい待っ…………
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