まずは状況確認
とりあえず連続投稿です。
「あー、やーっと起きましたねー、転生者さん。」
俺の顔を覗き込むように下から見上げる金髪の女性がいた。
どうやら交通事故で長く寝ていたようだ。ここはどこだ?
「んー。寝ていたのはちょっと違いますねー。今あなたは無意識の中で私と会話しているんですよ。」
金髪巨乳の女性が話かけてきているがとりあえず無視。
「えっ」
どんな時も確認が大事だ、まずは周囲の状況確認から開始する。白い空間、明るいが灯りのようなものはなし、呼吸はできる、匂いも特になし。物も置いてない、病室ではないな。
「無視しないでくださいよー」
金髪巨乳碧眼の女性が泣きそうだが、確認のほうを優先する。
腕は動く、拘束もされていない、足は……地面についていない!?
浮いている、上げたり曲げたり手足を動かしても身体が動かないということは無重力で浮いている訳でもない。空間に何かで固定されているのか。
服装は着慣れた軍服、首に認識票、胸ポケットに家族写真、いつも来ている仕事着だな。
誰かに着替えさせられたのか。ここは一体どこなんだ?
「だからあなたの無意識ですってー」
目の前にいる女性は金髪に白い肌、大きな碧い目に控えめな鼻と唇、白いふんわりとしたノースリーブのワンピースはその素晴らしいボディラインを隠しきれていない。
無意識の中で会話?この金髪は人の無意識に入り込んでいるのか?
「おー。理解が早いですねぇ。さすがは軍人さんですねー。今まさにあなたの無意識に語りかけています。」
反応があったのがうれしいのかにっこり笑う金髪女性。
さっきからこの金髪の返事がやけに的確だが、心でも読んでいるのか?
「そこも気づきましたかー。いいですねー、優秀ですねー。今回は優良物件の匂いがしますよー。」
物件?人を物扱いとは…………何に俺を利用するつもりだ?転生者ってどういうことだ?
「本当に察しが良いですねー。とりあえず、自己紹介させてもらいますね。私はあなた方人類が神と呼ぶ存在の使いです。所謂天使ってやつですね。名前はすみません。私という個体を識別する名は存在しないのでありません。これからよろしくお願いいたします。転生者と言うのは、あなたのように神に魅入られた人を便宜的にそう呼んでます。」
金髪がお辞儀するとそのなんというか大きなアレがスゴイ。手とか突っ込んだら超気持ちよさそう。
天使?転生者?つまり俺は死んだってことなのかな?
「いえいえ、ギリギリ生きていますよー、死者に無意識はないですからねー。」
俺の視線を腕で遮りながらも続けていいですか?と自称天使が確認してくるので俺は眼で話を促す。
「あなた方ご家族はトラックに追突され、転生者さんと奥さん、3人のお子さんは全員重体、まだギリギリ死んで無いってところですね。救急隊が確実に救えるかどうかはまだわかりません。そこで我々神の国からのビックプレゼントということで皆さんを安全に蘇生して差し上げます‼」
ん?生き返らせてくれるのか。
「ええ。その代わりあなたにはすこーしお力を貸していただきたいのです。」
わかった。何をすればいい?
「即答ですかー。ちょっと悩んだりしませんか?何させられるかわからないんですよ?それに出会ったばかりの私を全面的に信用していいのですか?」
あの事故現場からして全員生存することはほぼ不可能に近い、それを助けてくれるのなら何でもする。
家族を助けられるなら悪魔だろうと俺の命と引き換えだろうと関係ない。
「ふむふむ。急にかっこいいこと言いだしましたね。父親の矜持って感じですか?さっきから人の身体をジロジロ見ていた人とは思えませんねー。」
む。ばれていたか、男の性だ、許してほしい。
で?何をすればいい?
「そうですねー。転生者さん、いえ救世主さん、世界を救ってください。」
…………は?
「世界を救ってください」
嫌な予感は的中だ。